タロー > がしょん!がしょん!がしょん!がしょん!がしょん!がしょん!がしょん!がしょん!がしょん!がしょん!がしょん!がしょん!……金属の大きな足を前後前後前後にかっぱかっぱ動かして、ずんぐりむっくりとした達磨みたいな体の、鉄のかたまりは保護サイトの渡り廊下を重々しく駆けていた。通り過ぎる牢の中へ収容されたカミサマ達に向けて片手をしゅぴい!と上げては『スミマセン、アナタ達はまた今度、”カウンセリング”します!タローは今日、ようやく面会許可が取れたのですヨ!』なんて挨拶しながらなものだから、人外の唸り声や檻を叩く金属音は、この一時だけ軽快なBGMみたいだった。専用収容室の扉へとたどり着く。タローはウィ~~ンとの腕がくっついている接続部のチューブを伸ばし、服なんか着ていないくせに、まるで人間みたいにぱたぱたと身体のほこりを落とそうとした。 (1/9 01:18:17)
タロー > 鉄と鉄の鳴る音ががらりがらりと鳴り響く。……プシュウウウ………。「……アア……」専用収容室の扉が開くと、内部から漏れるまばゆいばかりの光にタローのサーチ・アイが照らされる。目を文字通りぴかぴかと輝かせ、どすん、どすんと中へ歩みを進めた。「……ようやく会えました!ヒメサマ!」ティロリロリ。タローのお腹に表示されたモニターから音がして、プシュウウとまた、扉が閉まる。二人きりになったところで、タローは頭部がくっついている関節部をくるりと上へ向け、人間みたいにあなたを見上げました。「13番小隊所属、医療班!……【機動要塞】、タローと申しマス!アナタはカミサマですが、アルマデルの局員ですヨね?メンタルチェックをしに来ましたヨ!」 (1/9 01:18:24)
タロー > そして、タローの腹のモニターは、スピーカーから合成音声を流しながら以下の選択肢を映し出す。【……あなたは、タローとエンカウントしました。行動種別を以下の3つのうちから選んでください。『ドラマティック』『ロマンティック』『ポエティック』】タローのほうは、少し照れたように足をもじもじさせて、いと美しき天女の姿に見惚れていました。 (1/9 01:18:28)
ヒ メ サ マ > (衣着せつる人は、心異になるなりといふ。)(それは、かつての記憶から想起されるいつかの記憶。)(我等に元々、憂いとは無かった。)(我等は元々、感情を知らなかった。故に、我等が覚えているいといたうこころ病みける日々というのは、悉く敢へずる事であったのだ。)(………………………今日はなぜなのだろう。)(そんな事を思い出す。)(いや、この部屋に、例の〝刻み屋〟が置いていった和時計の奏がそうさせるのだろうか。)(チクタクチクタクチクタクチクタク。)(ただ時を刻む。時を進める。)(それだけの意味でしか無い時計に、その筈なのに、どうして心がこんなにも憂うだろうか。)「おや────────?」(がしゃん!)(カチリ)(がしゃん!)(カチリ)(がしゃん!)(カチ───────)(繰返す度、凡そ拾ト弐)(そしてその、謁見の扉が開かれた。) (1/9 01:46:16)
ヒ メ サ マ > 『……ようやく会えました!ヒメサマ!』(底へ、愉快な、あの刻み屋とも違う軽快な電子音を鳴らし、こうして出会うその日を待ち焦がれた貴族達と同じような様子で、人────────ではなく、)(鈍重な自立する鉄の箱が、人間のように振る舞い入ってくるのです。)『13番小隊所属、医療班!……【機動要塞】、タローと申しマス!アナタはカミサマですが、アルマデルの局員ですヨね?メンタルチェックをしに来ましたヨ!』「───────あらあらぁ、まあまあ…………………………。」「こはいかにもねんごろにぃ。あるじぃたてまつるぅ………………………。」「うふっ、御初にございます、たろお様。」「小さき、鉄の人。そのかたに、何や書かれたるや。」「………………もぉと、ちこう、寄って下さりな。」(はて、めんたるちぇっくとは。新顔の来訪人、人の熱を帯びないのにも関わらず、くどいほどに人っぽいこの方は、私に何を与えてくれるのか。) (1/9 01:47:10)
ヒ メ サ マ > (座せども、巨躯である己には、小さき貴方のそのお腹にはなんと書かれているのか分からない。それを確認するために、あなたから見れば、大きな大きな手を差し伸べ、そこに乗れと云うのです。) (1/9 01:47:29)
タロー > 『───────あらあらぁ、まあまあ…………………………。』ころころと鈴の鳴る音のような、なんと可憐な響きなのだろう、とタローはうっとり、ブリキのまぶた半分閉じた。巨軀から発せられるヴォリュームも、そのように淑やかな響きであれば気にならないのだろう。ヒメサマの、タローにとってはちょっと何を言ってるかわからない言葉も、聴覚を擽ってやまなかった。「あるじたて……はぁい。うふっ。はじめましてなのですヨ、ヒメサマ。……おおう?ちこうよれと……アア!このモニターが、見えないのですネ。……ちょっと、おまちを…よいせっ!」差し伸べられた大きな大きな手を見て、タローはぴょこんと前に跳んだ。その手があなたの眼前に運ばれることとなれば、やはり少し照れたように笑うのだろう。「タローは精神医療専門の、機動要塞なのですヨ。サミシイ気持ち。カナシイ気持ち。たとえなんにもなくたって、満たされない気持ち。そういったものが暴走してどうしようもなくなってしまう前にお話をして、癒やしたり、和ましてあげたりするのが役目でございマス。」 (1/9 02:08:37)
タロー > うぃ~~んと右手を上げ、ひとさし指を立てタローは続けた。「熱くもえたぎるように思いの丈を発散したい方は、『ドラマティック』がオススメです!時には荒療治になりマスが、退屈だけはさせないと約束しましょう!」カーチェイス、夕日をバッグに河原で殴り合い、愛憎の末の激しき情念、ブロマンス!ピコピコと音を立て、タローはモニターにドラマティックな映画のワンシーンを切り取って、ザッピングのように行事させた。「トキメキを感じ、愛されたい方には、『ロマンティック』がオススメです。こんなタローでも、頑張ってみますヨ!」薔薇の花束、降りしきる雨の中でのプロポーズ、せつないわかれのキス、コンフェッティ・シャワー。「どれも強引だなあ、なんて繊細な方には最後の手段、『ポエティック』がオススメです。タローはきっと、良い聞き役に徹する事ができるとおもいます!」月明かり、降りしきる雪、ほのぼのとした食卓を囲む日常の1ページ。「さあ、ヒメサマ。あなたはどれをタローに求めますか?選んでもらわなければ、タローはこのままお話することがデキません……」立てていた指をしまい、タローは両手のひらを見せて上へ向けた。 (1/9 02:08:47)
ヒ メ サ マ > (掌の上。)(そこで貴方はうぃーんうぃーんと、合成音声で奏でるセールス。)(そのお腹が、紙芝居のように切り替わっていき、その光景に、テクノロジーとは格別されたヒメサマは目をぱちくりとさせるでしょう。)「なでふことならむ………………、」「鉄の人のいといみじうおもしろき…………………」「君、やっぱり人ではないのねえ。」「ゆゆし事です。」(その体の輝きは一層強まる。)(それはヒメサマが、興味を持ったように、輝かせた眼差しをあなたに向けてからだ。)(どうやら随分とお気に入りになったようだな。)(この構図じゃ、新しい玩具をプレゼントされた子供のようだが。)(でもあなたは、中に人がいるわけでもなかろうに。)(動いて、話して、そのお腹のモニターだけでもころころ笑うくらいに輝いた。)(カチリ──────────) (1/9 02:30:00)
ヒ メ サ マ > 「そうねえ………………………」「どおしようかしらねえ」「私の知っている男は、ことある事に皆々、詩を詠むのです。」「でも、ここの男の人達は、どうやらそうじゃないみたい。」「ねえ、鉄の人。」「私は懐かしく思うわあ。」「…………………君は、私に詩を詠んでくださるのかしら?」(そう言って、大きな指先は、貴方のパネルのポエティックを。)(なんとか選ぶのです。) (1/9 02:30:35
タロー > 『ねえ、鉄の人。』「はぁい?」『私は懐かしく思うわあ。』「ほうほう?」『…………………君は、私に詩を詠んでくださるのかしら?』「………ウタ、ですと?」白いるかのように大きく滑らかな指の爪先が、タローのお腹に静々と触れる。痛覚などその鉄の身体にありはしないだろうに、少し擽ったいような気がしたのかタローは「クフフ」と笑い声を上げ、起き上がり小法師のように細かく揺れた。ティロリロリ。【ポエティックを選択しました。】「なるほどですねえ。歌ですか……古典の成績はあまり良くなかっ……あぁ、イエイエ。」「もちろんですよ、ヒメサマ。」『うた』というのが、必ずしも和歌とは限らないのだろう。それがラップだろうが、ポエムだろうが、うたはうた。けれど貴女のその神話のようなひいな姿がどうしても彷彿とさせるのは、かつて求愛の為に詠まれる事も多かったという和歌の歴史だ。───────いっしんに偲ばるるまま事なしぶきみ。姫なるべしや神なるべしや。───────無垢なそぶりは、姫だからなのでしょうか、神だからなのでしょうか。 (1/10 03:03:57)
タロー > いわく『私の知っている男』は、単なる曲水の宴に、和歌を詠んだのかどうか……今となっては、歴史の深層に葬り去った真相なのだろう。「……こほん……では……」「ヒメサマや ああヒメサマや ヒメサマや これからよろしく たのみますゾヨ。」「……なんちゃって。くふっ!」慣れない事をしたものだ。この起き上がり小法師はまだ【良い聞き役】にはなりきれそうもない。……けれど次に尋ねる時は、ちゃあんと『ポエティック』な一頁を刻めますように。かるたや花札なんか持ってきてみるのも良いかもしれない。この部屋から動けぬあなたのために、タローはまた、何度でも足を運ぶつもりです。だって、この腹に写った月明かりを見て、貴女は懐かしそうに笑ったんじゃあありませんか? 〆 (1/10 03:04:03)