ハリィ・バンホーテン > 『こっちの食堂ってのはイマイチ使ってねーからなあ、ヤポンスキーの飯は美味いっつーし楽しみにしてたんだよ。ただ、酒(こいつ)の度数がちょーっぴり低いのが難点だな。ウォッカは結構安く売ってるのがこれ幸いだ。』任務の帰りにスーパーに寄り道をして買い込んだ酒を、持ち込み禁止とは書いていないだろ?とばかりに食堂の机に大っぴらに並べていく。北国の酒は底なしの感があるものだが、第三支部から来たこの女も同様で、一桁代の度数のそれは酒でもなんでもないと言わんばかり。缶のものなんてなし、透明か茶色のもので揃えており、せいぜい弁護できるとしたらそれらが小さな瓶であることくらいであった。『___んで、お嬢さんはどうだい。出来れば付き合ってちょうだいな。一人で飲むっつうのも悪くはねぇが、酒は一人よりは二人、二人よりは三人ってのは聖書にだって書いてある。』食堂では三食とることがひとまずできる。つまり肴はいくらでもあるし、腹減りのままで呆然というのもないし都合がいいという理屈だ。席について暑苦しいのか半分下着のような格好になりながら、おいでよ。と君を呼ぶだろう。 (1/10 20:57:08)
Iberis > ( 人いきれ雑踏エトセトラ。 香り立つスパイス、焼けた肉の匂い、それから。それから……砂糖菓子のあまい、あまい香りが、きっとあなたの鼻を掠め取る。)(夕食を求めた人々により食堂は大きな賑わいを見せており、空いている席の方が疎らである盛況ぶりだ。 『カミサマ』である彼女に食は不必要であったのだが、 何となく食事を行うのが日課であった。 席を探そうと伽藍堂の暗闇を右左、 ひとつ見つけた空いた席。 かつ、かつ、かつ、と。 ヒールの鳴る音が食堂の雑多な喧騒に紛れ、君の耳に届いたことだろう。 その音が止まるのは、 少しばかり酒に焼けた、耳障りのいい女の声が彼女の耳に届いたからだった。 薄いベールが揺れる。 白絹は柔らかさをもって舞う。 柔らかな唇は弧を描き、初恋は君の姿を捉えたのだ! 「あら、わたし? 」 出会いを祝福する鈴が鳴る。 振り向いたのはは、度数の高い安酒には不釣り合いな、 神聖さを纏う、白い髪の女だった。 ) (1/10 21:36:34)
Iberis > ( 職員である君は知っているかもしれない。 〝Dev_0214_Fra〟、通称初恋の魔女。 第05小隊に所属している彼女は、恋を司るカミサマだった。キミがそれに気がついたなら、不自然に合わない視線にも頷けるかもしれないね。 ああそれから、 ほら。 ゆるりと妖艶に小首を傾げる姿は、人にしてはあまりにも。 ) 「……ふふ、こんばんは。わたしで良いのなら喜んで。 ……声をかけて頂けて嬉しいわ。 」( 小さく頷いた後、彼女は君の目前の椅子を引き腰掛る。その所作一つ一つが丁寧で、何かしらの教養を感じさせる風であった。 厳粛さとは対して、 その声色は少女のように弾んでいた事だろう。 そして彼女の視線は、 小さな小瓶たちに注がれる。) (1/10 21:37:38)
ハリィ・バンホーテン > 『ああ、そうだアンタのことだスーパースター。もったいぶったご登場もいいがー……今は生憎、テキサスの夕暮れよりも最悪な治安な酒場だ。誰のことか分からないなら、スカートでも風に吹かれてみるかい。』注文した食事は、せっかくだしというところで和食だった。鯖の味噌煮と豚汁、白米、漬物とくれば、典型的で、なんともないようなものだけれど、西欧生まれ欧州育ちの風来坊には目新しく見えるもので。アチラ特有の煌びやかな皿やら、見た目を凝った前菜やらがないし、スープやらフルコースやらといった出し惜しみもなく、そこに定食としてみんないっぺんに、いわば一画面に出てくるのは驚きだった。『あん?まさか酒のひとつも知らねーのか。あー、カミサマだったら知らねーということもあるかぁ。ロシアのカミサマだったらみぃんな子供の頃から飲まされるっつうのによ。』 (1/10 22:03:15)
ハリィ・バンホーテン > もしかしたら酒を知らないのか?と首を傾げてから、はあ。とため息。シキガミだの、機械だの人間ではないモノ達もいる、そうした手合いを今更仲間であるわけだし気にはしないが、こうした文化のズレというのはいつの時も疲れるものである。『____なら、適当に上手いこと作ってやるよ。生憎、バーテンの経験はねぇから適当なもんだが、飲みなれてねぇのがそのまんまで飲(や)るもんじゃない。目覚まし時計に大砲の玉を用意するようなもんじゃあねぇし、スーツはイタリア製からじゃあなく、日本の安物から用意するもんだ。』混ぜるものがないからと、先程の任務で使った薬莢を、取り出した拳銃のシリンダーから抜き取れば、食堂の机の端に積まれていたグラスに、氷と一緒に少量のウォッカを注ぎ、それから買っておいたオレンジジュースをなみなみまで。それから少量の塩を振れば、無骨極まりないマドラーでかき混ぜて、彼女に差し出した。 (1/10 22:03:31)
Iberis > 「 あら、ごめんなさい。 私ってば生憎、テキサスにも治安最悪な酒場にも行ったことが無いの。 〝カミサマ〟の世界って、とうっても狭いのよ。……」( パラパラをコマをめくるように回る舌。 宛ら西部劇のようなトーク、若しくはアメコミ? あなたの隣にフキダシが見えるようだもの。 彼女もそれに乗るように、ジョークにも満たない拙い冗談を並べてみせたのです。 わたし、貴方のようなユーモアは無いけれど、お話するのは好きなのよ。「───────…… あなたが連れ出してくれるのなら別だけれど、ね。 ふふ。」ベールの下から、悪戯に弧を描く、ぽってりとした朱色が覗いてみせた。 夜風が頬を撫でるような笑みが、 自嘲を曖昧に溶かしていくのに、果たしてキミは気がついたのだろうか? ) (1/12 22:33:07)
Iberis > 「 もう、ひどい。 お酒くらい飲んだことあるわ。」( もう、と頬を膨らます様は少女であった。 いじらしく、それでいて愛らしく、彼女は生まれ落ちたその時から、そういう〝機関〟であった 。 それなのに君が一人、荒野のウエスタンを一人歩きするものですから。 もっと目の前の私を見てくれなきゃ嫌よ? )「……嗚呼でも、此処に来てからは無いのかも。 …………」(回想シーンを遮るように、 彼女はひとつ、ゆるりと瞬きをしたのであった。 思い出は皮肉なことに煩わしいものばかり。 過去を憎むほどの阿呆では無いけれど、 封を閉じて海に流したい事の一つや二つ、カミサマですらあって当然でしょう。 カラカラと薬莢と氷の当たる、爽やかな音色がやけに耳に入るのは、それは。ぼやぼやと豚汁から立ち上る湯気がばかばかしい。 ) (彼女は微笑みを絶やさなかった。 薄布に隠された〝少女性〟は嘘に塗れているのだ。) (1/12 22:33:31)
Iberis > (瞬き、暗転、それから。 …… 目前に置かれたグラスの形状は、カクテルと言うには些か素朴な品物であった。 して彼女、差し出されたそのカップに残る掌に触れる。 女性といえど職人らしい皮膚の厚い手のひらに沿う、 女の指先は白魚のように白く、冬の静けさを纏うように冷たい。じわりときみの、酒で熱を孕む指先を冷やすように。 )「自己紹介がまだだったかしら。 ……わたしはイベリスという。 05小隊所属よ。 …………よろしくね、素敵なバーテンさん。 」 (重なる視線は、運命を引き寄せた。 きみを鏡のように写すくらやみは柔らかく、目が合えば引き込まれてしまいそうな海の底。《ファム・ファタールの花束》は手向けられた。───────そして、きみの心臓の高鳴りはまやかしだった事を、 離れた手の、ひんやりとした余韻から知ることだ。グラスに唇をつけ、 一口。 口の中に広がるオレンジの中に広がる仄かなバーボンの風味。 喜色を称え、小さく頷いた。 )「……うん、美味しいわ。やっぱり才能があるのかも。 」 (1/12 22:33:47)
ハリィ・バンホーテン > 『……サーカス団をお前が開いたとして。仲良しこよしだからって、団員のライオンと外でビールを飲みに行くかい?』よしてくれよと目を逸らす。ルクレルク人やらカミサマやら、気を遣わなければならないような立ち位置の相手がここには多すぎる。第三支部もそう変わりはないのだろうが、第八支部のような猫の手も借りたいような支部は恐ろしいくらい出入りも激しければ、それだけ素性も危うい。『ああ……イベリスさんね。アンタ能力(そいつ)は引っ込めらんねーのかい。さっきまでアンタは僕の初恋の人……だったはずだ。何がとは言えねぇがそんな認識でいい。それが、マジシャンじゃあるめーし手を触れたらPON!だ。忙しねーったらありゃしない。星どころかせいぜい豚の鼻が着く程度のバーテン相手でもな。』常時発動してしまうようなもの、生理現象に近いものもカミサマならばあるだろう。だが、治療や美容など望んで平和的に向けられた能力であるならばいいが、得体が知れないものなら気分はよろしくはない。 (1/12 22:55:30)
ハリィ・バンホーテン > 薄氷で編み込んだ絹糸が如き指先が、冬の終わる日のように冷気の残響を残して離れていけば、道連れになるものでもあるまいに、同時に春も過ぎていった。偽物の初恋。今更ときめいても仕方ないものだとは思うけれど____勝手に渡されて勝手に奪われたら心外だ。『そいつはテーブルマナーってものがあるぜ。』それ以前にあらぬ疑いだってかけられるだろう。と忠告するように眉を顰めて胸ポケットに手を入れる。先程取り出していた拳銃の行先がそこだったくらいは、誰が見ても覚えていられる範疇だろう。『僕ァ、ジェントルマンじゃないが、敬虔で善良な市民では """"いてやれる"""" 時間は多少長い方だ。気の短いヤツじゃなかったのに感謝しな。』 (1/12 22:55:40)
Iberis > 「……もう、全く紳士的じゃないこと言うのね。 わたし、猛獣の扱いならきっと上手よ? 」(怪訝そうな、不服を感じさせる表情は実に演技的であった。二人、筋書きのない戯曲を、永遠と踊っているのだ。 頬に手を当てて、 悩ましいポーズを取り、 小さく吐いた溜息すらもフリだった。 然し乍らこの箱の中を〝サーカス〟 とは良く例え物だ。 或いは見世物小屋と例えた方がいいだろうか? 箱庭じみた、檻の中で〝わたしたち〟は息をしている。 ……檻の中に居たのははたして。───────)「 あら? 怒らせてしまったみたい。 ごめんなさい……わたし、あなたを怒らせるつもりは無かったのよ、これは本当。 」 (1/12 23:47:54)
Iberis > ( 赤子の悪戯を責めるものが果たして何処に居るだろうか? 其れを責めないのはそこに〝実感〟が無いからであろう。共通の倫理観の上にこそ、善悪は存在している。 だからこそ、彼女はキミの口上に耳を傾け、手先が胸ポケットのに向かう時、 薄布の奥の眉を下げるのだ。 それはもう至極残念そうに、悲しそうに。 それは拒まれた人の温もりへの寂しさであり、《罪》の意識などまるでなく。 価値観の相違宛ら、 視線は二度と交わる事がなかっただろうか? (わたし、あなたを見詰めることも出来ないもの。 )伏せられた目蓋に灯るのが愁いなのか、憶測すらも無意義であった。 ) (1/12 23:48:12)
Iberis > 「 敬虔で善良な市民のあなたは、 私に 〝テーブルマナー〟を教えてくれると言うの? 」(牙の収まらぬライオンの気持ちにもなって欲しいものだ。 牙を剥く言葉と冷徹な忠告ゆるりと躱すよう、黒猫は首を傾けた。視線は君の溜飲を表すように噤まれた口元へと向けられる。純度百の疑問符。 白髪は死を恐れていないようにも見えた。否、引金を引かれない確信があったのだ。 彼女は〝カミサマ〟であり保護対象である。 そして何より、二十四時間の監視が義務付けられている。 拳銃が彼女を貫く事で収まる溜飲と処罰は割に合わない。 そして何より、彼女はそれを知っていた。弾丸は彼女を殺すこと。そして、 恋心もまた、キミを殺すことが出来ること。 ) (1/12 23:48:15)