Iberis > 「( 空腹だった訳じゃない、ただ少し……孤独を抱く夜闇は、 人にばかり優しいものですから。 )( 気の向くまま訪れてみると、 真夜中の食堂にはまだ疎らに人影が残っていました。 特段食欲が有った訳では無いのだけれど……そう、彼女はひとりきりに耐えられない。 近未来的な風貌に成ったとて機能の1ミリも変わらぬドリンクバーにてホットココアのボタンを押しながら、ちらりと後ろ目に見遣り驚きました。 大ホールのような其処に、ひい、ふう、みい…… 少なくとも指に数えられる以上は残っていたでしょうか。成程、 その部屋の中は季節や時間と行ったものとは区切られてある様にも感じます。 冬の凍てつく寒さは暖房が飲み込み、 人工的な白の灯りは夜闇などまるで感じさせません。懇切丁寧に、生活しやすいように管理されたその場所。一種のサナトリウムと言った所でしょうか。 酒を煽るモノ、目一杯腹を満たす物、軽食を貰いに来た者、過ごし方すら実に多様です。 夜行性のオトナタチの活動時間。だからこそ、 そのあどけない横顔を見た時には驚いてしまったんですね。 (1/12 00:31:33)
Iberis > そこからは、もう、物語の始まりみたいに、衝動に突き動かされるよう、足が彼女の足跡を追い掛けました。……心配?否、知的好奇心と言ったものでしょうか。 飛んで火に入る何とやら。)( ───────かつ、かつ、かつ。 )(テーブルに着いているきみに声を掛けたのは、白い髪のうつくしい、 夜のようなヒトだったことでしょう。目前の席に手を掛けたその女のベールの下から、アナログの色彩に映える朱の唇が覗く。 立ち込めるのはきみの頼んだ料理の匂い、ホットココアの苦さの混ざる甘ったるさ、それから。 )「 ねえ、可愛いリボンのお嬢さん。 相席良いかしら。 ……ほら、 こんなに広いと、少しばかりさみしくて。 …………」 「少しの間、お話ししましょうよ。 あなたがそれ、食べ終わるまででもいいの。 」 (1/12 00:33:43)
うぉっか。@マルス > 『ぐぬぬぬぬ……』ひと気の少ない食堂に小さく響く少女の声。それは何処か唸り声のようにも聞こえ、少女は机の上のある一点を恨めしそうに見ていただろうか。いったい少女の目の先に何が映ってるいるのか。それは、いっけんごく普通そうな見た目の〝カレーライス〟 だっただろう。しかし、よく見ると、どうやらそのカレーライスはほとんど食べ進んでいない様子が窺えたであろうか。…いったい、何があったのだろうか、と、もう少し様子をみていると…。『辛い…。』と、涙ぐんだ表情で小さな舌を垂らしながら、少女は小さくそう声をあげていただろう。どうやら、不幸にも少女が注文したカレーライスの辛さの設定が何者かの仕業か、料理人の手違いによって、食べられないほど辛くなってしまっているようで、普段甘口のカレーライスしか食べていない少女は、こんな時間までひとりで食堂に居座って、辛すぎるカレーと格闘していたのであった。 (1/12 01:35:06)
うぉっか。@マルス > 『……。』では、そのカレーライスを『辛すぎる!!』と言って、食堂に返品すれば良かったのではないか?とも考えられるような気がするが、少女はそうはしなかったのである。何故ならば、少女は〝食べ物を大事にする〟 主義であるからだ。〝お残しはいけない〟 そんな可愛らしいルールに縛られているが故に、少女は例え食べれない辛すぎるカレーを前にしても、『食べ物を捨てる』という選択肢を取らず、時間をかけてでも、絶対食べきろう、とこうして奮闘しているのであった。『ひっぐ、…う、…うぅ……!!』そうは言っても辛いものは辛いことに違いない。少女が懸命に我慢しながら食べ進めようとしても、現在8分の1にも満たない量しか食べ進められていない。加えて、時間をかけて食べていたせいか、お腹の方もなんだか満腹に近い状態になっていて、これ以上は本当に精神的にも限界というところまで差し迫っていたのであった。 (1/12 01:35:22)
うぉっか。@マルス > 「 ねえ、可愛いリボンのお嬢さん。 相席良いかしら。 ……ほら、 こんなに広いと、少しばかりさみしくて。 …………」 『あ…?』カレーライスの皿に少女の涙が落ちようとしたその時である、不意に傍から誰かの声が聞こえて、少女は思わず、その声の方向へと顔を向けると同時に小さく声を漏らして。すると、そこには白銀の髪をした蠱惑的な女性が佇んでいただろう。まるで花のように可憐で、けれど、蝶のように妖艶なその雰囲気は、少女もすらも一瞬惚けてしまうほどの美貌で、思わず貴方と目を合わせた少女は目をぱちくりとさせていたであろうか。 (1/12 01:35:42)
うぉっか。@マルス > 「少しの間、お話ししましょうよ。 あなたがそれ、食べ終わるまででもいいの。 」『ぅ……』少々見蕩れていた少女は、あなたのその一言で現実に引き戻され、残ったカレーライスをちらり、とみてから俯いて、押し黙ってしまっただろうか。『……?』しかし、貴方がここへ来てから、なんだか妙にあまいにおいがする。と、少女はそんな疑問に気がついたであろうか。『あっ!!』そのにおいの正体に気が付いて、少女は大きく口をあけてひとこと発する。『ココアだ!!』そう、あまいにおいの正体はホットココアだった。ずっと辛いものを食べ続けていた少女にとって、この甘いココアはもはや救いの手といっても過言ではない。そうして少女は目を輝かせて『いーよ!!ぼく、おねえさんとおしゃべりするー!!』元気の良い明るい返事で貴方の誘いを受けた少女は、それから続けて『ぼくね!!マルス!!ねえねぇ、おねえさんは名前なんていうの??』というふうに、無邪気な笑顔を浮かべて、少女は貴方にそう問いかけただろうか。 (1/12 01:35:54)