タト@助六 > (───『市街地にカミサマが出現した。2人で調査してきて欲しい』───)(…先刻の上司命令だった。何故上はこの2人を選抜したのかは分からない。『どうせ死んだって代わりがいる駒でしかない』からだったのか、或いは『危機管理力の欠如と引き換えに抜群の戦闘センスと度胸を見せてくれる〝 大江 楠美〟』と『未だ人前で能力効果を発揮出来やしないが並外れた危機察知能力と人知を超えた逃げ足を買われた〝 八百万 助六〟』のコンビならば〝 調律が取れている〟と判断したのか、或いは。案の定蹴っから淡々と装備を整えて向かう貴方に相反して、この男は後ろで『ぜぇーーーーッッてえやべえですッてェェッ……何もアタシ達じゃなくてもよくありゃせんかッッ?!ね゛ええええぇッッ!!?ちょっとぉぉぉぉぉぉッッ?!?!』と過剰にビビり倒す始末。結局行ってみてもそこには『カミサマ』なんてのは存在せず、『誤報告』が判明した。)
(──────そして。)「ヒャア〜〜〜〜〜〜〜ッッ……も゛ォォォ、ホント!人騒せなヤツらだぜェ……肝だって冷えまくり、一時はどうなる事かと思っちまったがァァァ………こりゃまた一安心ですねィッ!」(現在2人は、某ファミレスのテーブル席にて、帰りに軽く飯でも食べて行こうか、という話になったようだ。彼は帽子を脱いだのならば天井を仰いで深い深いため息を。続ける言葉はなんとも男らしいとは呼べぬ、言っちゃあ悪いが情けないものだったのには違いはない。)「アタシホント喧嘩の1つもやりたくねェ『平和主義』なンで、ましてや戦闘なんざァてんでダメ。…もしもホントにカミサマなんざァいた暁にゃあ、アタシはアンタの文字通り『お荷物』になるわけでィ……………」「あっ、………それでえぇーーーーッと、そンで、何頼みます?アタシこういうとこあんまこねェもンで、先決めちまってくれ。」(彼は、あなたの方にメニュー表を差し出す。)
大江 楠美 > よく喋る人だった。多分、こんなに忙しく話す人は初めて会った。少し興味が湧いた。興味はあったけど、話す内容は重要でないことばかりだったから。結局今となっては、この人が任務の間何を忙しく語っていただろうか、なんてことは何一つとして覚えていないのだけど。それで『何頼みます?アタシこういうとこあんまこねェもンで』何を考えるでもなく、寒さに曇ったガラスを眺める私に『先決めちまってくれ。』男はメニューを差し出した。『……え?…分かりました』外を走る車の光に集中していた私は反応が、多分3秒くらい遅れて、畳まれたそれを受け取る。もう頼むものを決めていたから。『では、私はリブステーキのスープセットを』メニューを開く前にそう言って、男…すけろく…さんだったかな。その人に、両手でメニューを手渡した。
タト@助六(そう、彼は『よく喋る男』だ。職業柄と言ってもいい。貴方とは相対的と言うべきかもしれない。)『リブステーキのスープセットを。』「·····リブ、·····え?なんてェ………………?嗚呼、ンまあ、………いいやァ。」(先程言葉にした通り、彼はここに〝来慣れない 〟。故に貴方の言葉に再度聞き直そうとしたのだけれど、無論店員ではない故に口篭り、メニュー表を開いた。どれも美味しそうな写真だけれど、羅列されたカタカナはこの男にとっちゃあアブラカタブラ、呪文も宜しく扉が開くようなもンばかり。メニュー表に顔を近づけ遠ざけ、〝 えーーーーーーーーーッッとおォォォ·····??? 〟とぐいいぃ、と目を細めたってやっぱし、〝 てんでダメ。分かりゃしない〟。)(結局·····)
「·····なァァァんかよくわかンねェから飲みもンで。緑茶ァァァ··········はねェんですねィ、じゃあ··········〝めろんそーだ 〟でェ、いいかなァ。」(〝 飲み物〟のみ。値段はもれなく全て〝リーズナブル〟。だけれど分かりゃしない未知の中じゃあ、奥手になるのは彼の性分。呼び鈴を鳴らして間もなくして、店員が来りゃそれぞれ注文を済ますでしょう。貴方はステーキとスープ、彼はメロンソーダ。『少々お待ちください』の一言返されりゃ、彼はハーイ、なんて手を振って、深く椅子に凭れ掛かるのだった。)
「………………………ね、お宅はよくここにゃあくるンで?」(·····開口1番、無難な話題を投げかけたのは彼である。)「ほら、さっき〝 献立表(メニュー表)ォ〟見なかったでしょ。ンでもお宅は迷いなく頼むときたもンだ。·····その年齢じゃあ、『ご友人』やらなにやらと立ち寄るのは不思議なことじゃあねィですけどォ·····シシシッ·····」「1番美味いのはやっぱ肉ですかィ。」(口数の割に言葉は空気の如く軽薄に。貴方が今、雨を想う女性なれば彼はカラカラ、ケラケラ、乾いたように。下駄を鳴らすように、舌が踊るよう、カランコロンカラン、────── )(カラン。)『 お待たせ致しました。〝 メロンソーダ〟でございます。』(あらま、乗せられて〝 氷〟を鳴らして来ちまったよ。)
大江 楠美 > 男は言葉も知らぬ異国の地で渡された召喚状を睨む被告人のごとく、メニューを凝視していたから。そうか字が読めないのかと、メニューを奪おうとして。「めろんそーだ 〟でェ、いいかなァ。」どうやらそうでもないらしい。男は呼び鈴の鳴らし方は知っていたようで、近くの皿を片付けていた若い女の店員が来て、私はいつものセット、男は緑の甘い炭酸水を注文した。(不快に思われたら申し訳ないのですが、どうしてそんなに喋ることができるんですか。)礼儀正しい百合子なら、こんな時なんて言うだろうと想像して、「….ふ」「『ご友人』やらなにやらと立ち寄るのは不思議なことじゃあねィですけどォ」また、男は先手を打った。また演劇者のような語り口調で語り出す『そうですね…』情けなくそう言って台詞を代わり、私は今度こそ話そうとしたが『 お待たせ致しました。〝 メロンソーダ〟でございます。』洗口液のような緑をした炭酸水が届いた”カラン”と氷が揺れる。コップには結露の雫と、赤いストロー「……スゥ」前歯の隙間から息を吸う。目を閉じ、眉間に力が入る。
片足を組み、両指の5本をテーブルの上で合わせて。
「ここに来た時は……いつも煮込みハンバーグかリブステーキです」質問は……諦めた。元々そんなに興味のあることでもない。……それはすっぱい葡萄なのかな。一々まともに取り合っていては、ただでさえ萎縮している私の前頭葉では太刀打ちできないだろう。目を開ける。過剰な照明の光が眩しい。前の男は何が楽しいのか、私の方をずっと見ている。目を逸らすように首を回し、窓をみる。やはりガラス曇っていて、私のステーキは当分来そうになかった。「友人と来たことはありません」
タト@助六「·………………へェ?肉が好きなンですねィ。アタシ無知なもンで、カタカナばかりじゃあ分かりゃしねンだけれど。全部呪文みてェなンだから。」「…………女は蚊帳に閉じこもって男の詩(ウタ)を聴く時代は、もう終いかァ。時代の流れは早いンだから。」(きっと彼は〝 沈黙〟に耐えられないのでしょう。カミサマ討伐をしに行く時だって、貴方はきっと聞いちゃいないが彼はずぅーーーーーーーーーーーーーっっっと喋っていた。〝 静寂が怖い〟、とでも言えばいいのか。だって周りが静かだと、聞こえちまうでしょ。〝 余計な音(コエ)〟。薄い会話で塗り固めて、紡いどきゃあ〝互いに深入りせずに済む 〟。後に続きた言葉は比喩表現にしちゃあ懐かしむように。やってきたメロンソーダ。店員に頭を下げたのならば、ストローをはみ、炭酸を喉に通したのでした。)『友人と来たことはありません』「……………へェ。」「…………そンならアタシと〝 お揃い 〟だ。」「職場が職場。怖い上司に命懸けの任務、正直〝 肝〟が冷える。」「………………………………、………」「……………………………………なァ。」
「──────お宅は怖くねンです?」
「今日の任務だってホントに、あの子ら(カミサマ)が来てたら、アタシなんざろくな能力も使えねえ。……下手すりゃあ………………」(〝死んでたかもしれないのに 〟。)(彼は、飲み込んだ。何故彼がいつになく笑い、いつになくお喋りなのか。それは寡黙な貴方に必死に話題を振る、……と言うよりも。〝 誤報告〟とはいえ任務が来れば彼は酷く〝 憔悴〟して手が震える程に怯えるのだ。必死に日常を取り繕おうと紡ぐ言葉に〝 色〟はない。なのに貴方は『1回も恐怖に濡れる様子』はなかった。まるでそれが『日常』と言わんばかりだった。ヘラ、と困ったように、軽く目を逸らし、指先を合わせ、また笑ったのならば1つ。)「……………………………………喋り過ぎやしたねィ。」「そィで、お宅は今、〝 何話そうとしたんで〟?」(頼んだステーキが、まだ来ない。)
大江 楠美 > 男はストローから緑の炭酸水を吸い上げて。「アタシなんざろくな能力も使えねえ。……下手すりゃあ………………」。私に弱音を吐くこの男はなぜ研究員になったのか、その足の速さを生かして陸上選手でもしていれば良かったのではないか。俯いて、今にも頭を掻きむしりそうな哀愁を漂わせていた。だが男は弱さを好きになれないらしく、不安をすぐに取り繕ってしまった。顔を上げて、私を見て「そィで、お宅は今、〝 何話そうとしたんで〟?」話すばかりと思っていただけに、耳ざとく、私の意図に気づかれたのは意外だった。(どうしてそんなに喋ることができるんですか。)質問するべきか。それは、面白いのか。私にとって、意味があることなのかとか。「どうしてそんなに喋ることができるんですか。」そんな思案が終わる前に言葉は口から出る。目が合う。あれは面白そうか、そうでないか。常にその考えに支配されている。ロシアンルーレットの日からも、ベガスでの一日を終えてからも(変われないのか)…私もこの男と同じで、感情に支配される人種らしいから。
タト@助六 > 彼は、貴方と目が会った瞬間、ふ、と得意げに笑い、肩を揺らす。そして答えることでしょう。)「…………シッシッシッ…………何を隠そォアタシの表向きの職業はァァァ…………探偵、弁護士、エトセトラ。頼まれりゃあなんでもやりやす〝 便利屋〟なもンでェッ!」(腰に携えた算盤がジャラリと鳴る。ではあなたは【何故命懸けの研究職を⠀?】と不思議に思うかもしれない。なあそれはもしかしたら、『こう見えて妖怪』である彼が監視、及び人体実験に使われたくないからとも申し出たギブアンドテイクだったか、それとも単になにか目的があったのか。そんなの分かりゃしないけれど。) (1/14 21:22:52)
「会話ができンのは必須条件ッ………あたしゃ昔から口だけは達者なんでさ。分かるでしょう?」「…………独り言だって目前に人が居りゃ『会話』になる。お宅はあまり、好きじゃねェみてェだけど。」「……みたところォォォ………アタシと違って、他人に……………いやァァ………?違ェなァ。」「〝自分 〟に、………興味がないみてェで。………こいつァお節介かもしれねェが、お身体は大事にした方がいいぜィ。」「〝 心配〟する人間だって、居ンだろォし。」(メロンソーダをまた喉に通す。そして漸く、じゅわりと音を立ててやってきたのはステーキだった。さすがファミレス、普通の専門店じゃあ、きっとこうは行かないね。彼は一言、〝 ひゃあ!美ッ味そう!〟と、薄っぺらく笑ってみせるに違いない。)
「〝自分 〟に、………興味がないみてェで。………こいつァお節介かもしれねェが、お身体は大事にした方がいいぜィ。」「〝 心配〟する人間だって、居ンだろォし。」
大江 楠美 >「失礼します」“ガチャ”と、カトラリーが置かれる。「リブステーキとスープセットの客様…あ、はいっ」私が右手を真っ直ぐ上に伸ばし、店員がリブステーキをテーブルに置く。”ジュゥウゥゥゥ”鉄板に漏れる肉汁が気化する音、肉の焼き目から香る匂いが胃酸の分泌を促す。店員はライスと、最後にコーンポタージュが置いて。「ごゆっくりどうぞ」会釈をしてその場を去った。「ありがとうございます」飢餓状態にある時、飲食店のウエイターに無性に感謝を示したくなるのは人の本質的な習性なのだろうか。それとも私を育てた社会福祉法人の教育カリキュラムが優れていたのか。どうでもいいか。右手を四角い箱に伸ばす。フォークとナイフを取り出して、両手に構える。
「いただきます」左のフォークで肉の左端を抑え、ナイフの腹をリブに当て、ノコギリのように動かし切断する。(今日のは当たりだな)肉は想像より容易く切れた。
客が少ないから、というより2人しかいないからだろう。このステーキは今、食品開発部が想定していたであろう本来の実力を発揮している。切ったものをソースにつけ、「…ぁむ」口に入れる。醤油ベースのガルムソールは口の中で肉の香りと上手く調和していた。「…ん..んん..」相変わらず肉は噛みがいのある食感だった。だがスジなどはなく、咀嚼に疲れは感じない。それは純粋な肉の食感だった。
”ごくん”肉を飲み込んで、”カチャッ”「…あ」音を鳴らしてしまったと、あぁ、内心反省しつつも、急いでライスをフォークの背に乗せ口に運ばなくては。「….」ライスを口に入れる。米の甘味は口のガラムソースを絡め取り、喉を通過した。それを、繰り返す。肉を切り、口に入れ、咀嚼し、ライスをフォークの背に乗せ、口に入れ、これはあまり噛まずに飲み込む。これを8回繰り返す。肉はなくなった。10分は掛からなかった。
「…はぁ」息をついて、水を飲む。ちょうど良いくらいに緩くなったポタージュをスプーンで口に運びながら、鉄板の上のコーンや芋をガルムソースにつけて、これもまた交互に食べる。やることは変わらない。ソースは塩味を演出し、ポタージュは甘みを演出する。前の男が、何かさっきから喋り続けているような気がしたが、肉を割くことはあっても、内容を理解するために脳のリソースを割くことはない。
完食して、最後に水を氷ごと飲み切った。「ごちそうさまでした」ナイフとフォークは鉄板の上に、斜めに揃えて置く。男のメロンソーダは、よし、しっかり空になっていた。「じゃ、帰りましょう」窓は相変わらず曇っていたが、私の心は晴れ、前の男がどんな顔をしていたかなど覚えてはいないが。多分、私はこのステーキを美味く頂くために、今日残業したに違いない。(百合子はもう晩御飯食べたのかな)ドリンクバー代の190円を男に請求し、金銭を受け取る。伝票持って、レジに行くと既に店員は待っていて、会計はすぐに終わった。店に出ると、日は完全に沈んでいて、雪も降りそうな寒さだった。上着のポケットに両手を入れて、施設までの道のりの最中、やはり、この男は白い息を吐きながら喋り通していた。私は慣れない相槌を打っていて、それでも、やはり一人の道のりよりは退屈しなかったのか、まだ20分はかかると思っていた頃、見慣れた建物は既に見えていた。〆