白雪&円澪

【運命の部屋 ver.3】

白雪 > 使えぬ局員達がいる。とりあえずは、調査レポートを提出しない局員達だ。言葉の通じぬシキガミや若い子ならまだしも、普段自分は有能だとばかりに豪語している局員ほどこういった無責任な行動を見かけると雪にすればほとほと呆れ返ってしまい、ただ暴れまわりたいが為にカミサマをサンドバッグにしているのではないかと、軽蔑の念を強くする。『遊びに来てるのかしらねぇ。』そんな愚痴を零したのが約一時間前、恐らく聞こえてはいなかっただろう。それから、そんな局員達の顔と名前を一致させ、調査報告書の督促状を発行する為に情報室長である貴女の力を借りてかれこれ、午後五時になろうとしているところだった。「……ありがとう、円さん。それじゃ、また宜しくお願いしますわ。」   (1/16 16:22:55)
白雪 > 情報室の扉に手をかけて、それを引こうとする。……けれど、なんだかおかしい事に気づいた。びくともしないのだ。「……建て付けが……悪いのかしら?」両手で力を込めて扉を押したり引いたり、浮かせてみたり。扉はがたがたと揺れるばかりで、うんともすんとも言わない。流石におかしいと思い始めた頃、一つの仮設が頭をもたげる。上を見ると、聞いたことのあるプレートが鎮座ましましていた。「………」ちらり、貴女にアイコンタクトを送って頷く。【コンコン、とノックをしてみた。】『1分間キスしないと出られない部屋』「……………………………………………」仮設は立証された。我々は運命の部屋に閉じ込められたのだ。腕を組みながら眉間を親指と人差し指でつまみ、はぁーとため息をついてから。人差し指でプレートを指し、「……やりますか?」とひとまず貴女に意見を伺ってみることにした。   (1/16 16:23:02)

円 澪 > 『……クク……』やりますか?という諦めに近い問いに対して口火を切ったのは、自分のオフィスが運命の扉という、最悪の状況に落ち込んだはずの円 澪だった。彼女は嗤う。この状況を喜ぶような、変態的なものではない。そう、諦めていない表情___『心理戦とは鏡を見ること。何が起きているのかを客観視しているはずが……気づけば自分ならどうするかという閉塞状態……!負ける人間が飛び込む、脱出不可能の迷宮っ……!』多分運命の部屋で間違いないという見立てに対して、勝ち誇り、もったいぶったふうに口にしてから____『そう、確認するべきなのはカメラ……。あるだろう、イタズラという線が……!』よく考えたら自分のオフィスは防諜を司る情報室なんだし、カメラなんてあったらおしまいじゃね?という根本的な話に一向に気づかないままカメラを探し十数分……『あ、の……どう、しましょう……。見つから、ないなあ。イタズラの形跡、が……。』自信満々だったこと、そもそも一分間も彼女とキスすることに分かりやすく顔を真っ赤にしながら、たどたどしく述べるのは____しなきゃ出れなそうという意。   (1/16 16:36:21)

白雪 > 「………イタズラだと思うより………、カミサマだと思ったほうが自然な程に、この組織に慣れてきたわ。試しに窓でも開けてみる?」つかつかと部屋を横切り、大きな窓ガラスのサッシの鍵へ触れる。鍵はくるりと回ったが、窓の方は、やはり微動だにしなかった。「新しい情報が手に入ったわ。調査と同時進行で報告書をかくわよ、円さん。」貴女へ声を掛けたあと、ちらりと貴女がさっきまで仕様していたPCを見遣る。そこへ座って調査報告書を書けと案に言っているのだ。「調査報告書、遭遇者、白雪ならびに円澪。このへんはテンプレート通りで良いでしょう。遭遇場所は情報室、ノックによって出た指令は『1分間キスしないと出られない部屋』とのこと、窓を開けようと試みたが不可能であった。」捲し立てながら右足の靴を脱ぎ、─────────バアンッ!!……それを思い切り窓に叩きつけ……「破損も不可能。」肩を竦める。   (1/16 17:11:00)
白雪 > 力を加えたサンプルが180cmの成人女性のみというのも偏った情報かもしれないが、本来は割れるはずのものが割れなくなっているという事だ。円澪ならうまく書くだろうと、特に何も言わず、靴を履いた。「”運命の扉”じゃなく、あくまで”運命の部屋”である訳ねえ。……貴女の情報室だし、連絡手段、飲食物は一通り揃っているのでしょうけれど、問題が一つ。」「トイレがないわ。」もしも仕事のお供に甘い珈琲でも飲んでいようものなら、それはほとんど死刑宣告に近いものとして聞こえるだろう。「やりましょうか、何もディープキスをしろとは書いてないわ。一分間唇を……あら、待ってよ。唇に、とすら書いてないわね。思ったより簡単なんじゃない?」雪は貴女のPCが置いてあるデスクの上に軽く腰掛け、すっと手を差し伸べた。   (1/16 17:11:07)
白雪 > ───────あなたは女性を呼ぶときに、ミスやミセスと呼ぶ。聞いたことはないけれどあるいはミズとも呼ぶのだろう。けれど、31にもなってあえてオールド・ミスだと呼ばれるのも、気にしちゃいないがデリケートな呼び方ではある。雪はたった今、ほとんど関係のないような事ではあるが、こんな事を考えていた。呼ぶなら【Lady】、ツクモ女史と呼んでもらうのが、相応しいのじゃないかって。   (1/16 17:11:12)

円 澪 > 『……出られないのなら致し方ありません、ミス。お手を、失礼いたします……。もし宜しければ、こちらを見ないでいただけたら___幸いだ。』おずおずと何度か躊躇う様子を見せてから彼女の前に屈むと、軽く唇を触れさせる。それは叙勲された騎士の取るようなもので、いやらしさや、薄汚さとは無縁の仕草___だと、円は自分に言い聞かせたが。何もこんな体勢でなくてもいいのではないか、とは思わなくもなかった。『およそ助けを呼べる気配も、外に見られる様子もない。でしたらこの場で一つ____貴女にお尋ねしたいことがあります。』さて、キスをしながら一分間は、この部屋の隠匿及び、この部屋の外部への干渉もストップしていることは間違いないだろう。   (1/16 17:34:57)
円 澪 > 『ゴールデン・スランバーことgol-0991-USA。その調査中に果たして何が起きたのでしょうか。』ならば___と、キスをするのにおどおどしていた少女のような緩めた顔つきは伏せ。口にしたのは、ある事件についてだ。取るに足らない事象、有り得ている事故。音声などのデータも平和裏に提出されているが……しかし。『……ああ、もちろん。変なことをお考えになるのはよすべきだ。私は単純な興味で聞いていて___それ以外の尋問をするとしたら、この部屋では少し狭い。』当たり前をこそ疑え。探偵の基礎だろう?   (1/16 17:35:00)

白雪 > 一分間は思っているより長いだろう。忠誠のキスに似たそれを手の甲に与える時、綺麗に切りそろえられた淡く白い髪がさらりと揺れるのを目にした。高潔な美しき姫騎士の秘めやかな甘い躊躇い。下衆な運命の部屋はそれを餌にせんとして、こんな生体を持つのだろうか。『……この場で一つ____貴女にお尋ねしたいことがあります。』柔らかい、血の気の少ない唇がするりと蠢く。こそばゆい感覚に、白雪はぴくりと眉を動かした。『ゴールデン・スランバーことgol-0991-USA。その調査中に果たして何が起きたのでしょうか。』顔色が変わった。─────どちらの顔色?……白雪は、貴女がこちらを見ていないのをいい事にか、酷くグロテスクな表情をその赫い唇に乗せたのだ。微笑みか、畏れか。貴女がこちらを見据える頃には、もうポーカー・フェイスを気取って、答える。   (1/16 17:59:18)
白雪 > 「……ああ、貴女も特権階級だものね。その上、情報室長──────報告書を見られている事を視野に入れるべきだった……おっと。」一分が経たないうちに、さっと手を引いて。「いいえ、見られて困るものを提出させるわけもないから気しなくていいのよ。良くある事故でしょう?調査報告書を提出した、大江楠美は私の部下なの。」「でも、そうねえ───────」部屋をぐるりと見渡す。果たして、本当にこの部屋は尋問に向かないだろうか?むしろお誂え向きにすら見える。「カメラもなければ、邪魔者も居ない。……都合が良いわ。」   (1/16 17:59:24)
白雪 > その瞬間、白雪は両手をデスクのふちにかけ、貴女の肩を思い切り蹴飛ばそうと足を伸ばした。「あなたは私の協力がなければ、この部屋を出ることすらもできない。根比べと行きましょうか?あなたが餓死した後、死体にキスしてこの部屋を出たら私の勝ちねぇ。………あはははははっ!!」悠々と足を組み、ゆったりとした袴でもって、手の甲を拭った。   (1/16 17:59:40)
白雪 > そして続けた。「……能力を使って私を始末しようと考えるのは、よしたほうがいいんじゃない?この部屋がカミサマである以上、物理的な干渉にはびくともしないはずよ。恐竜の背と天井、どちらが大きいでしょうね?……人の形を取る事を辞めたら、恐竜の頭は天井に潰されてあなたは死ぬことになる。」   (1/16 18:06:18)

円 澪 > 『……なるほど。私を殺して外に出る。と言ったデスマッチも視野に入りますか、今の貴女には。私は、貴女を信じたかった……信じたかったから、脱出のための手段を ""続行したまま"" 可能な限りは話すつもりだった。』本当は、何もないと信じたかった。本当は、なんてことはないと思いたかった。本当は_____同じ仲間として尊敬があった。だから、彼女に逃げる隙を与えた。徒労に終わるならばそれでいいから、一分を待ちたかった。ああ、そうだ____本当に。肩への蹴りを受けたのは。鈍い痛みを許したのは、何も体勢が悪かったから、とそれだけではない。『しかし貴女からの弁明は、何もなかった。』立ち上がりながら、拳を構える。それは怒りというのだろう。   (1/16 18:38:02)
円 澪 > 奴を心ゆくまで粛清したいと考える、これを怒りだと言うのだろう。『奴隷階級や、一般職員なら___貴女に手を出したら色々な形で逃げ切られそうだが、せっかく舞い込んだ特権階級(どうかく)同士だ。……来いよ、裏切り者。遺言の代わりに___もう一発だけ聞いてやる。』能力は確かに使うのは厳しい。しかし、そうでないなら話は違う。相手を殴り殺す、切り殺す、撃ち殺すのが本領発揮の商売だ。磨き上げた技で十分。そう口にするのは慢心ではなく____身を焼く憎悪。回答はつまり。楽に殺して貰えると思うなよ、だ_____   (1/16 18:38:18)

白雪 > 貴女はその蹴りが、やけに弱々しかった事に気づいただろうか。それには、貴女が訓練を受けた戦士であり、白雪はそうではないという事以上の何かがあった。白雪はまるで、くつくつと燃えてくる感情を抑えるかのように腹を擦った。「……勇ましいわねぇ。私は基本的に女は嫌いなのだけど、貴女のような人は好き。」けらけらと威圧的な笑みを放ちながらデスクの上に立ち、白雪の【もう一発】を律儀に待ってくれているのをいいことに、紙の上のものを蹴散らしながら島を歩くようにして、もういちど扉の前までたどり着いた。誰かが飲み遺したのであろうマグカップの中の珈琲は溢れて床に染みを作り、足跡のついた紙はバサバサと地面に落ちていった。扉を背にして白雪は続ける。   (1/16 18:57:26)
白雪 > 「私を殺したら、貴女が加害者ね。証明できる?この部屋を出た後、”白雪は裏切り者だった”と言って信じさせる証拠を持ち帰る事ができる?次は貴女が裏切り者にされるかもしれないのに、そんなリスクを犯せる程、貴女は支倉百合子と仲が良かった?……あはっ、偽善、偽善、偽善───────!!」「正義感に酔いしれて、さぞかしいい気持ちでしょうねぇ!!」話しながら、後ろ手でコンコンと【二回目のノック】をする。『相手の下着の中に1時間手を挿入しないと出られない部屋』プレートを確認し、【三回目のノック】。『サックスしないと出られない部屋』【四回目のノック】。『互いに殴り合って勝敗を決しないと出られない部屋』……円澪もとろくはない。そうこうしているうちに、次の行動を決めるだろう。限られた時間(ターン)の中で、白雪ができるのは恐らく此処まで。   (1/16 18:57:32)

円 澪 > 『____かもな。』自分が裏切り者だと言われる。それはその通りかも分からない。しかし……構わないよ、とそう瞳は言っていた。偽善、偽善、気持ち悪いほどに偽りの善意____そうかもな。と言葉で口にした。それでいいのか。と小さく口にする。最初のプラン通り、殴り殺すなり刺すなりする方向に訴えられたら、本当に一撃は食らうつもりだった。それがどんなに危険な場所でも、箇所でも。アルマデルの仲間だった彼女に思いっきり食らわせるなら____そのくらい、気持ちを決める猶予が欲しかった。『何度も何度もミット殴って……何日も何日も飲まず食わずで山籠って。何人も何人も殴り倒して、何人相手でも勝てるように鍛えて……私、何してんのかなあ。』だが。無いのならやるべき事は一つ。それはスポーツとも、格闘技とも一切の出自を別とする。ただ打ち合うのが喧嘩なら、綺麗に打つのがスポーツで、打たせず打つのが格闘技。ただし、彼らはあくまで素手同士。刃物を拳で。銃を拳で。   (1/16 19:16:30)
円 澪 > と磨きあげる狂気の沙汰は、類を見るまい。『馬鹿だなあ、理由みたいなもんが欲しいよなあとよく思ったものですが____』何度も何度も練習する度、思ったのは一つ。何故やるのか。喧嘩になんてもっての外。スポーツ大会などまさか出ない。外国に振るう拳はないし、テロリストなんてものもここに来るまでは知らなかったから、犯罪者に振るう拳もない____しかし。『 夢 が叶った 』裏切り者に、振るう拳ならあった。乾坤一擲の拳を、扉を背にした彼女の端正な顔面へ。かわされたらどうしようとか、実は罠だったらとか。そんなことを微塵も気にしない勢いで---拳を解き放つ。いわゆるアッパーカット。顎を砕くための一発。   (1/16 19:16:41)

白雪 > 扉を背にした白雪に、逃げる場所などなかった。鍛え抜かれた身体に、立ち向かえる特技などなにもなかった。単なる甘ったれのヒーローにしては、貴女は何かのタガが外れていた。覚悟の決まった拳はつんと澄ましたようにまるく尖った顎へ、いとも簡単に命中する。───────骨に罅が入る。血は出ただろうか。嫌な感触はしただろうか。オーディエンスの居ないリングじゃ、意外と派手な音は鳴らないものだ。サイレンサー付きの銃みたいに、あなたの拳は確実にお高く止まった女王の顔を仕留め得る。「───────……………………………………ッ!!」衝撃を受けて、白雪の頭は扉に打ち付けられた。ずるずるとつづらにくずおれ、その場に尻をつき。「………私の、負けだわ。勝てるわけがない。」   (1/16 19:55:47)
白雪 > ──────────────おや、どうした事だろう?貴女は、【ずいぶんあっさり】だなんて顔をして見えるような。………………不完全燃焼?後味が悪い?─────────────白雪は口端から出た血を拭い、唇を弧に描いた。カチャ。   (1/16 19:56:04)
白雪 > 扉が空いた。「………………誰かッ、誰か助けて………殺されるッ……裏切り者よ!!誰か──────────────!!」扉を開けて、彼女は叫んだ。近くに居る局員が異変を察知したのか、足音が聞こえる。「……よりにもよって顔を。やってくれたわねえ、円澪。だけど、私は貴女を殺すつもりはないの。勝てない相手に勇敢に立ち向かうなんて、ヒーローのやることよ。」よろよろと立ち上がり、白雪はそのまま逃げようとするだろう。(【目的は達成した。】)勝負に負けて、試合に勝つ。そんな言葉を思い出しながら。〆   (1/16 19:56:12)

円 澪 > 『お前に一手、思考時間を譲ったのはな……最初から首でも折ればいいいのに殴ったのはな、信じてたから、以外にも理由があるんだ。』走り去れば。今この部屋から抜け出せたら。今この場所からさえ居なくなり、誰かを呼べるなら。そんなことを考えたのだろう。扉が開いたことに失笑する。戦いを投げたことに微笑する。さあ走れ、扉を開けて___まるで野ウサギのように。『私はお前に、"""ああ、逃げ切った""""って。思わせるために逃がしたんだ。まあ……少しも見たくなかったですが、その展開は。』腰元に手を添える。ワイシャツを持ち上げ、ホルスターに手をかける。情報室の役割は、コンピューター係でもなければ、まさかカミサマの情報集積所でもない。   (1/16 20:14:41)
円 澪 > それは言わば防諜・内定の機関である。『大体。』対人戦が起こり得ることを想定した部署である。それゆえに能力を室内で使えない場合や、丸腰のフリをしなければならないことだってある____『ヒーローが、拳銃(こんなもん)普段から持って歩いてるわけないでしょうに。』だからそのために、任務用として普段から拳銃を携行していた。殴り合いばかり要求したり、戦いでは大味に食らいついたり、この時も殴りかかったりして来たのは、言わばこんな場合のための普段からのブラフ。抜き放ったサイレンサー付きのそれを、雑踏の合間を抜くように躊躇う事無く放つ。鴉の濡れ羽色をしたしなやかな髪が悲鳴をミュージックに踊る____頭の、向こう側に目掛けて真っ直ぐに、だ。   (1/16 20:15:05)