雨夜鳥&ヨモギ

【あかないアキカン ver.1】

雨夜鳥 志乃紀> 
「はぁい!」(30分という時間制限付きでも、遊べるのならなんだって楽しい。子供の様に片腕を上げて元気に返事をしたのなら、楽しみでうずうずする体を慣らすためにその場でぴょんぴょんと跳ねてみる。思いつきの遊びだから動くのに適した服では無いけれど、小さな小さな不正規の調査。これくらいが、きっと丁度良い。)『えと、オレ…缶蹴りって知ってはいますけど、やったことはなくて…どんなもの、なんでしょう。』「えっとねぇ……その、説明上手じゃ無いんだけど、」(彼女もそこまでルールに明るいわけでは無いけれど、一応やったことは何度かある。)「えっとね、まずね、隠れる人と、見つける人に分かれるの。で、えっと、隠れる人は、見つける人に見つからないように、缶を蹴れたら勝ち。で、見つける人は、隠れる人を探して、見つけたら、缶を踏みながら、その人の名前を呼んだら勝ち。で、えっと、ずっと缶の所に居たら、終わらないから、……、ちょっと、まってね、」(自分の覚えている遊び方を、ゆっくりゆっくり途切れ途切れに言葉にする。多くを話して息を切らして、さっき買った飲み物を飲んだら小休止。)「ふぅ……。えっと、なんとなくわかる……?しら、べる……?」(君を見上げて彼女は首を傾げながら、自身の携帯端末を取り出した。自分の言葉遣いも間の取り方も、おかしいことは分かっているから。)さて。(互いにルールを確認したのなら、彼女は先の宣言通りに隠れる側を先行し、いそいそと君の方から離れていくでしょう。)「目、つむってね、10秒数えてね、よもぎくんー!」(目を瞑ったって、そう大きな声をかけてしまえば隠れる方向はバレてしまう。なんて、そんなことくらい、彼女にだって分かりますから。)「(えへ……、さっき声かけたのと、反対方向……これならきっと、ばれない……?)」(彼女は【隠秘】隠れるのも隠すのも得意だけれど、彼女の赤いカーディガンは、自然物の多い中庭じゃよく目立つ。これならきっと、普通のひとと同じくらい。それなら、君との実力は拮抗するはずだ。)(君の腰くらいの高さの茂みの裏で、彼女は君の動向をじぃと見つめている。)   (1/19 17:15:33)


木靴下@ヨモギ> 
「は、はいっ!わかりました…!」(貴方の説明を聞いて、理解したと示すようにヨモギはその首をぶんぶんと大きく上下に動かす。)(アキカンを足元において、……それから、貴方の指示通り素直に瞳を閉じた。)(タイマーを設定して、ぴったり10秒。)(機械らしく一寸の狂いもなく正確な時間に瞳を開けた。)(───────────あ。)(【温度探知】。)(外はまだ肌をチクチク刺すような寒い時期だ。何せ、貴方もヨモギも暖かいものを買いたいと思う程だもの。)(それなら、冷え切った外の景色に、貴方の温度は探知できちまうんじゃあないかな。)「(………………ど、ど、どど…どう、しよう。)」(しばらくヨモギは考えるようにしてアキカンの前に止まる。どこを見るでもなくきょろきょろと、あくまでも貴方を探している振りをした。)(ここで、はい、見つけましたと簡単に言ってしまうのは如何なものだろうと思ったから。)(『ずっと缶の所に居たら、終わらないから…』)(たしかに。ずっとここに居たら貴方も缶を蹴りに行けないし、不審な行動をしていたらおかしいと思われてしまうだろう。)「え……えぇっとぉ…………こ、こっち、かなぁ……?」(だから、最初に声が聞こえた方向へと足を進めた。わざとらしく独り言まで呟いて、貴方の仕掛けた罠に自ら引っ掛かりに向かった。)   (1/19 17:46:48)


雨夜鳥 志乃紀> 
(君がそんな風に気を遣ってくれているなんてつゆ知らず。自分の思惑通り(?)先ほど声をかけた方向に君が歩いて行くのを見て、彼女はにんまりと得意げに笑うのです。君の動作のぎこちなささえ、優位に立っていると錯覚している彼女から見ればあかちゃんのつかまり立ちと似たようなもの。微笑ましさと優越感、遊んでいるわくわく感に、彼女のご機嫌は有頂天に達するのです。)「(ふふー、えへ。そろそろよもぎくんの方が缶から遠い……かな……、よし、)」(だから。)「っぁ!?……っ、」(だから、しゃがみ込んだときにスカートの裾を踏んでしまっていたことになんて、気がつけなかったのです。)(気付いた頃にはその身はもう傾いて、喉の悲鳴は確かに音に変わっていた。どうしよう。このままでは負けてしまう、なんて焦りながら、それでも彼女は、目先の転倒よりも君の事。この、勝負の事を考えていた。) (彼女は横につんのめり、その身をずさりと転ばせる。それは正面から転ぶよりも復帰と駆け出しが早くなるだろうと言う、咄嗟にでた機転だった。否、缶に向かう意志が体を傾けさせた、と言った方がふさわしいか。彼女だって一端の研究員。戦闘要員ではないにせよ、戦地に赴くこともあるでしょうから、敵の攻撃から『逃れる』為の、『回避』の動作くらいはお手の物なのです。) 「っ……、缶を、蹴った方の勝ち、だから……っ!」(彼女は体制を立て直し、隠れることを諦めて缶に向かって走り出す。彼女が転んだのは君が十分に離れてから。転んだ分のタイムロスを考えてもきっと缶との距離は同等で、足の速さや体格差を除けば勝率は五分五分のはず、である。)(……速力に大きく関係のある、足の速さや、足の長さなんかを含めた体格差を除けば、だ。)   (1/19 18:10:40)


木靴下@ヨモギ> 
(───────────彼は腐っても、【戦闘型アンドロイド】だ。)(貴方の悲鳴を聞き零すほど《壊れちゃ》いない。)(貴方の身長は156、対するヨモギの身長は196、40cmも違うのだ。それは当然、足の長さも変わってくる。)(そして彼は、壁を【貫通】する程の速度を出す【怪力】を持つ。)(普通に競ったら、適わないだろうね。…そう、〝普通〟だったら。)(忘れちゃあいけない。この男。)(───────《ポンコツ》だってことに。)「……ッ゛!」(貴方が缶に向かって走っていることに気付けば流石の彼も負けじとその足を踏み込むだろう。)(搭載されたモーターが重々しい音を上げて起動する。)(だが。)(──────────グンッッ!!)「────────へ?」(一瞬にして、風景の輪郭が認識できなくなり、全てが線に変わった。)(疑問を感じる間もなく、その外装パーツに感じるのは強い風。それにより、髪が巻き上げられるのを感じる。)(忘れたかヨモギ。その機能は、君の《ERROR》人格専用にカスタマイズされてるハズだよ。)(君が扱いきれないくらいには、強くね。)「あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………………………。」(貴方の頭上、10cmJUST。)(足の跳ねた勢いによって空中を吹っ飛んだヨモギはどんな感情であげているのか分からない悲鳴を口から零しながら向かい側の茂みに向かって思い切り頭から突っ込んだ。)(貴方もアキカンも、全部飛び越して。)   (1/19 18:44:21)


雨夜鳥 志乃紀> 
(彼女の頭上を、"何か"が飛んだ。)「っ、わ、」『あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………………………』(飛んだその一瞬後、忘れ物を思い出したように風が吹き荒れ、空っぽの軽い空き缶も、彼女の髪もカーディガンも、床に散らばる落ち葉さえ、その勢いに巻き上げられる。風の音に混じって聞こえるのはさっきまで喋っていたはずの君のなんとも言えない変な悲鳴。缶蹴りのことなんて忘れて呆然と立ち尽くし、風に待ったアキカンがカコン、と地面に落ちる頃、彼女はハッとして慌てて君に駆け寄った。)「え、え、よ!?」(茂みに突っ込んだ君の腕を、彼女は君が痛がらぬよう細心の注意を払いながら、ぐいぐいと引っ張るでしょう。舞い上がった落ち葉は雪みたいにぱらぱらとまい、2人の上に落ちてくる。) 「よもぎくん、よも、大丈夫…?何がその、起きちゃった…?の……?」(彼女は君の顔を覗き込みそう心配そうに問うでしょう。_____でも、でもね、)   
「…っふふ、」(茂みに突っ込んだ君も、転んだ挙句に落ちる枯葉にまみれた彼女も、きっと外遊びに沢山はしゃいだ子犬のようにきっとぼろぼろで、それが何だか可笑しくて。)「ふふ、くふ、あはは、えへ、ふふへへへ…、」(堪えきれない笑いは小さく小さくけらけらとそこに零れるのでしょう。だってほら、髪に乗った落ち葉がねこの耳みたいで可愛いんだもの。じくじく痛い擦りむいた足も、君の髪に乗っかっているであろう枯葉も、今はなんだか、とってもとっても可笑しくて。)「ふふ、1回、えへ、お風呂入りにいこっか、ふふ。あと……20分くらい、時間あるし、ね?ふふ、」(アキカンの調査は一応したし、そもそもたまたま出てきたやつだったからお仕事サボりにはならないでしょう。この後用事があるみたいだから、このまんまじゃ君も彼女も困るもの。)   (1/19 19:07:41)


木靴下@ヨモギ> 
(『ヨモギ、お前。自分の跳躍にそんないちいち驚いてどうするんだ。…ほら!引き腰になるな!いいか!お前は大丈夫だ!だから─────。』)(嗚呼。……人はこれを、走馬灯というのかしら。)(宙に浮いた体と、風を切る感覚はやけに遅く感じて、どこかの遠い記録が頭の中でリプレイされる。)(そう言えば、あの時はどうして怖いと思わなかったのだろう。)(ようやく輪郭を認識できるようになった視界で舞う枯葉をぼんやりと眺め──────。)(ガサァパキパキパキッッッ!!!)(なんて、乾燥した枝が折れる音とほんの少しの衝撃と共にようやく我にかえった。)(…………今どうなっているんだろう。)(頑丈な体故に外傷は殆ど見当たらない。…本当に、強く作ってくれたことは感謝すべきことなのか。)(貴方の慌てる声が遠くから聞こえて、あぁ、大変なことになってるんだなぁってどこが他人事のように感じていた。)
『よもぎくん、よも、大丈夫…?何がその、起きちゃった…?の……?』「あ、はは……何が起きたのやら………オレもさっぱり……。」(柔らかそうな淡い緑の髪をガシガシと引っ掻きながら、自虐じみた申し訳のない笑みを浮かべて、彼は貴方に特に損傷もないことを伝えるんだ。)(踏み込んだら勢い余って吹っ飛びました。なぁんて、ポンコツにも程があるよなぁ…。一体、どこのロボットなら、自分の力量を見誤って吹っ飛ぶのやら。)『…っふふ、』「……へへ。」(乾いた寒空の下、枯葉まみれの二人の笑い声だけが響いた。)「ふふ、へ……あはは……っ!……変ですよねぇ。自分で飛んだのに。」(一体、どんな風に飛んでたんだろう。上げた悲鳴がとんでもなく情けなかったことくらい聞いてた自分でも笑えてしまうほどだった。)(なんだか、情けなくて、可笑しくて、懐かしくて、楽しい。……色んな感覚が混ざって、初めてなのに不思議な感じがした。)
「はい、そうですね。…雨夜鳥さんも、転けてましたからバイ菌が入って、悪化しとかないようにしないと……。」(からから……と、軽い音を立てて転がるアキカンを拾い上げる。それから、貴方の髪に乗った撫でるようにはらいながら、彼は照れくさそうに笑って言った。)「今度、きちんとしたおやすみが取れたらまた一緒に遊びましょう。」(今日は時間を気にさせてしまったから、次は時間なんて気にすることもなく貴方がめいっぱい遊べたらいいなぁ。……って。)(約束しませんか。って、彼は貴方にそう聞くだろう。)   (1/19 19:44:17)