雨晴 高良>
「___さて。そろそろか。(資材庫と事務棟、女子寮を繋ぐ廊下の辺りに、時計を気にしながら待ちぼうけの男が居た。片手にはこじんまりとした茶色い紙袋が握られていて、ちょうどケーキが1つ2つ入る程度の大きさだろうか。ともあれ、目的の人物がおそらく帰ってくるであろう時刻へと達したようで男は周囲を見回していたが)……あ、円室長。お疲れ様です。今、お時間ありますか?(いかにも調査帰りといったふうな、少し崩れた服装の女性に話しかける。ひとまず、貴方の調子を伺おうか)」 (1/20 22:56:33)
円 澪>
『ええ、ございますが。』頷く円からは、石鹸の匂いがした。スプラッタホラーのように血だらけで帰ってきたのが小一時間前ほど。今はそこから多少の身支度を済ませはしたものの、やはり普段の様にしゃんとした衣服ではなく、黒地に白いラインが入った、言っては悪いが高価なものでは無いとわかる、使い古しの、楽な運動着姿のままである。幸い外傷は大したことはなかったため、要治療ということもなく、多少の消毒と手当だけ済ませた後は、時間は空いていた。『どう言ったご要件ですか、ミスター・雨晴。私と余り会っていると____生憎今はあまり善い顔をされないですよ、時節柄。』自分は何を隠そう殺人者だ。殺し屋でもやっていた気は無いし、殺人なんて好きでやった訳でもないが、そうした風評が出るくらいは予想できる。お互いに上役同士、嫌でも、円も白雪も派閥____慕う人間や部下や、一種のまとまりは____あったろう。上は無論、下もそれはそれはしっちゃかめっちゃかで、おもちゃ箱をひっくり返したような混乱を呈しているだろう、と円は予想を立てた。故に、身の振り方は気にした方がいいと助言して (1/20 23:21:27)
雨晴 高良>
「俺自身もそっちの話題は気になりますけど……少し、場を移しましょうか。(確か小隊長を殺したというはなしだっただろうか。一般局員を経由して聞いた話だったが、どうやら本物のようだ。君の言う通り、人通りの多い廊下ではすれ違う局員たちにジロジロと見られてしまうだろう。そこで、廊下奥の人気の少ない実験棟Fへと向かうように先導しよう。)………そんなに重い話では無いので警戒しなくても大丈夫ですよ。…どうぞ。(実験棟の特に人がいなかった2階の一室の扉を開きつつ、中へと誘導してみよう。)」 (1/20 23:34:26)
円 澪>
『構いませんよ。私も、これだけ見られていては照れてしまいますから。』顔色ひとつ変えず、途方もなく不謹慎な状況下で、ブラックジョークを吐いた。周りからの目が気になるようなら、憎まれ役の情報室など最初から請け負ったりはしない。円が周りを気にするとしたらそれは、逆恨みやら間違った情報やらで急に襲ってきたりする手合いが、疑惑と興味と、無駄な正義感と、そして今にも「実は違いました!ドッキリです!」とでも言って安心させて欲しいという感情をカクテルした視線の中に居るかもしれないということについてだけである。彼に従い、空き部屋に入ると、向き合うように席に着いては。『___本題からどうぞ。前置きが長いのはあまり合理的ではない。』逆に殺人意外の話とは何?と首を傾げるのだ。 (1/20 23:46:59)
雨晴 高良>
「そうですね、率直に行きますか。……この前のアラクネ討伐任務ではありがとうございました。結果論としてではありますが、俺の命を延ばしてくれたのは事実なので。これをどうぞ。(同じく向き合う形で適当な席につくと、述べられたのは感謝の言葉だった。あの任務の際、もしも彼女がアラクネを噛み砕く芸当をしなければ、代わりに自分が、文字通り命を賭けて討伐するというシナリオを支部長は想定していた。そうならなかった為、今自分は生きている。その事に感謝をしたくて、君に紙袋を手渡そう。中身にはチョコケーキとショートケーキを1ピースずつとプラスチックのフォークが2本入っていた。)」 (1/20 23:56:55)
円 澪>
『アークとこれから敵対していく可能性や、その他に様々な理不尽なカミサマが存在する以上、あの場で貴方は死ぬべきではなかった。そう判断したからそうしたのであり____感謝されるようなことをしたとは考えていません。』感謝されるようなことをしたとは思っていない。それは半分は事実だった。この場で死なれても困る。打つ手がある段階で諦められても困る。死なれて勝てなかったり再生されたら非常に困る。そうした合理的な、実利的な、そんなものが果たして自分の胸中にあったのか。本当に純粋な気持ちで彼を助けたのか_____自信がなかったから。しかしもう半分は、そう言ってくれる人が居て嬉しかったという、何も余計な気持ちが介在しない達成感と暖かな気持ちだった。『それに、仲間なのですから、その場で死にそうなら助けるのが道理でしょうに。ですが……。感謝されて、それをわざわざはねのけるような真似も、私はしたくない。有難く受け取らせていただきます。』仲間だから助ける。そう思う。しかし、誰かに仲間だから助ける。なんて言われたら私は嫌なんだろうな___と僅かな自嘲が、ケーキを受け取った後湧いた。 (1/21 00:09:22)
雨晴 高良 >
「………さてと…。話はもう一つあります。(君が何を考えていたかは分からなかったけれど、紙袋を受け取った時の表情をみて、どこかホッした気分になって。そして、そのまま言葉を続ける)…俺には小隊長という立場くらいしかありません。だから、貴方の答えをそのまま信じます。……アークに繋がりを持っていますか?(決して、声色を荒らげることはなく、ただ淡々と考えていた事を話そう。もし、そうだと答えたとしても、ケーキを食べ終わるまでは報告しないでおこうと考えていたが、君はどう答えるのだろう。)」 (1/21 00:22:54)
円 澪 >
『……は?』それは、彼女がふつふつと溜め込んだ怒りの一端だった。お前が裏切り者だろう!と自分に言ってこないまでも、名探偵気取りの誰それが口にしたのを耳に挟むことはあった。周りから蔑む目があった。仮に正しく標的を撃ち抜いたのだとしても殺人は殺人だと、そんなことを言われた日もあった。それもやむなし。仕方ないや。そんなふうに押さえつけていたのは、あくまで円という人物が、アルマデルを愛していたからだ。反対に、またある一面。『____尋問の際のコツを教えて差し上げよう。ミスタ・雨晴。』スイッチが入ってしまうなら非常に凶暴である。『一つはお前をいつでも……ぶち殺して豚の餌にかき混ぜられると示すこと。もう一つは____』彼女は座ったままだ。動いてすらいない。何か武器を手にもしなければ、それどころか安穏としたペースでケーキすら美味そうに食している。『笑顔だ。』_____はずだ。『何、サイコ野郎のフリをしてゲラゲラ笑えとは言わない。ただそれを、お笑い番組を観るように素直な気持ちで軽蔑すればいい。』次の瞬間である。任務用の軍用拳銃が、机に叩きつけられたのは。『貴方にはどちらができて聞いているのか?』グリップを握りはしない。銃口はよそを向いている。しかし、その照準器はいつでも向けられるのだぞ。という迫力が、巨大な甲虫を思わせる黒光りした銃身から放たれている。『いいや、違う。違うんだ。人を殺した目を貴方はしていない。不用意な質問には気をつけろ坊や。私は最近気が立っていて___』頭に来ている。同じ質問を色々な人間から繰り返されて、腸が煮えくり返っている。その上で命のやり取りをした直後だ。いつ燃料に火がついてもおかしくない。『""""あらぬ疑いを孕んだ質問""""は、すぐ引き金に手をかけたくなる。』しかし____彼女は裏切り者では無いと答えた。もしそうなら、とうに撃ち込んでいる。と、笑えない冗談____というか本音____を、拳銃を悠然としまいながら付け加えて。 (1/21 00:42:45)
雨晴 高良 > 「……分かりました。(貴方が声を荒らげ、拳銃を取り出したとしても、男は表情一つ、冷や汗のひとつもかかずに話を聞いていて。確かに人を殺したことは無い。だが、殺人者相手に自分が死ぬことを想定に入れない尋問官が居るわけないだろう。ただ、最後の言葉にはどこか焦りのようなものを感じて)……考えの浅い質問でした、申し訳ありません。……落ち着いたら茶屋にでも行きましょう。では。(ナチュラルに怒らせてしまったことに対して謝罪を。そして、怒りと共に余裕のない感情を顕にした君を1人にするために部屋の扉に手をかけ、別れの挨拶とともにその扉の向こうへと出ていくだろう)」 (1/21 01:00:25)