外@時計師 >
(──────チク、タク、チク、タク、チク、タク、チク、タク、──────………………)(響き渡る時計の音。)(砂の落ちる音。)(振り子時計。置時計、鳩時計、時計、時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計時計…………)(〝 時計〟。)(きっと誰かが言うかもしれない。『ねえ時計がちょっと多すぎやしない?』…けれど、彼にとっては、カレ、彼、〝 彼〟にとってはこれが正しく『ちょうどいい』。いいや、これでも『少ない』ぐらい。)(キリリ、カッシャーン。キリ、カッシャン……………)(回る歯車の音、ゼンマイは時計回りに、ヒューーーーーーッッとお湯が湧く時間。)(彼は紅茶を飲まない。)(彼はクッキーを食べない。)(それなのに3時になれば必ず『クックロビン』は独りでに紅茶を沸かすようにと動き始める。『あの時』、生まれ損ないのあの男に〝 お前は本当に完璧か〟と問われた当時はうんと、こっぴどく追い返したけれど、実の所は以前から彼は、『自覚』していた。誰が自らを作ったのか。何故、………この身体を『砕こうが』『壊そうが』夜は頼んでもないのに治し来る癖に、この目だけは『直さない』のか。)(何故──────)(──────カランコロンッ!)(『お客が来たよ』と小気味良い『鐘の音』が秒針立ち込める室内に鳴り響く。〝やるべき事を果たさなければ 〟。今考えるは目前の未来。そして現在。彼は工具を置いて立ち上がったのならば杖を片手に帽子を被り、カツリ、コツリ、カツリ、と『天井をレールが走るようについてくるからくりのティーポット』と共にそちらへと歩み寄り、扉を開ける。)「アラ。」(音。静かな〝 モーター音〟。拍動は、皆無。)(寧ろそれが、〝 煩わしい〟。彼は両手を合わせてにぃ~~~~~~ッッこり!!!とすまぁいる!愛想のいい笑顔を浮かべて口八丁よぉく舌が回り出す。タイプライターは喋らぬようにと、そのお口は塞ぎながら。)「…………アラ、あらあらあらあら、まあまあまあお久しぶりじゃあ御座いませんかァ~~~~~~ッッ!!!!!!!!!!逢えて嬉しいワ!!3時はお茶会の時間とそう場が決まっているンです、良ければどうです?今日は〝 〟アプリコット〟ですがァァ……」(彼は扉にもたれ掛かり、どこからともなく取り出したティーカップを右手に構えればナイスシュート。トプトプトプ、と飛び散ることも溢れることも、多すぎることも少なすぎることも無く朱色の液体が注がれた。)「ついでにメニューはチョコチップクッキー!やだァ~~~~ッッ♡♡♡♡とォッッても美味しそう!」「ま、ワタシは食べないケド。」(そしてついでと言わんばかりにキリリリリ、……と受け皿に小さなクッキーが2枚、添えられる。美味しそうね!と乙女のようにはしゃぐ彼は、直ぐにその笑顔を引っさげて、相変わらずの嫌ァな皮肉まみれの性格悪いお言葉を紡ぎ続けるでしょう。)「食べないと言えばァァァァァ………」「そうだアナタ、〝 お口〟ないんでしたよねェェ????」「でも愚直に並べる言葉は用意出来るときたもンだ。」「今日はどんな御用事です?あんまりこの店に来ないモノだから『死んじゃった』かと!それかいよいよワタシのこと『忘れてくださったのかな』!なぁんて!!まあ機械であるアナタがそんな概念あるかのうかは定かじゃあありませんし、今も〝 アナタの時計 〟は順調に前に進んでるゥゥ……………いやというかネェ、その前にアナタなにか気付くことあるデショ。…………………………、…………ほら。」「…………………分かりません?」(そう、〝気付く 〟こと。まず貴方が何をしに来たかも気になるけどその前にほら、あるだろうに。『大きな変化』。何のためにあのクソスローリーなでか女とお喋りかましたと思ってるんだ。)(………と、まあ直接「なにかに気づいて欲しい」という内容を口にしないのは面倒くさいプライドか、或いは。) (1/21 19:35:56)
風鈴@α-007 >
(チクタクと回る時計。自分はまだ生きている。自分は未だ起動している。だけれども確実に何かを無くしてしまった。何かが破損してしまった。それを探すにはあまりにもヒントがなさすぎて彷徨っていると、いつの間にか時代遅れ、アンティークの塊である小屋へとたどり着いていた。看板にはなんで書かれているか分からない単語が並べられている。分からないと言えば、なぜ自分は【黒のハンカチ】を用意していたのかということだった。あんなものロボットである自分には必要のないもの。新品だったから買っていたのだろうけど、誰に渡すものだったのだろう。分からないもんだから、起動した時と一緒に捨ててしまった。もし、ニンゲンにあげるものだったとしてもきっと彼らは機械(兵器)からもらったものを嬉しがったりしないだろうから。そうこう考えているうちに、目の前の家に入らないと……何故?理解ができないままカランコロンと軽快なベルの音と、愛想良く笑う貴方がいて) 「…………アラ、あらあらあらあら、まあまあまあお久しぶりじゃあ御座いませんかァ~~~~~~ッッ!!!!!!!!!!逢えて嬉しいワ!!3時はお茶会の時間とそう場が決まっているンです、良ければどうです?今日は〝 〟アプリコット〟ですがァァ……」『久しぶり……?』(初めて出会う機械に久しぶりだと言われてしまい、少し困惑を隠せなかったのは"忘れてしまったことへの罪悪感"だろうか。もしや自分は知り合いを、仲間(機械)を忘れてしまったというのか。とぷとぷと注がれていく紅茶と共に不安が募っていくのは気のせいではない。何も知らないであろう貴方は、次々と会話を進めていくのだ。メニューはチョコチップクッキー。受け皿に2枚。だけれども自分は食べられない。分かっていながらやっているとしたら相当性格の悪い機械だ。だけれども、親しかったのかもしれない。そんなに悪口を言いながらも、まるで"自分に気づいて欲しい"とアピールしているではないか。だが分からない。何が違うのか分からない。彼女からどこか変わったとこなーい?と聞かれた彼氏の気持ちだと言えばいいのか。目があったならばキョロキョロと動かし、冷や汗を出しているだろう)『……』『……すみません。"死んだ"ので覚えていないんです。貴方以外のことは、覚えているのにすみません』『貴方のこと忘れてしまい、すみません』(封は切られた。小さな声で言われたが、耳の良い貴方ならばわかることでしょう。よかったじゃないか。初恋だと勘違いをした馬鹿に付き纏われることはない。クックロビンに毎日のように来ては花や紅茶とプレゼントをしてくるような機械は現れない。はじめましてからのスタートで、これで嫌われてしまえば貴方の前に現れることはないだろう。本人は指を合わせて祈るようにぎゅっと固く握っていた。まるで斬首台に立たされた死刑囚の気分だ。どんな言葉の刃が下ろされるか、いや、もしかしたら"無視"されるかもしれない。何もかも台無しにしたのは自分だから仕方がないのだけれど)>外さん (1/21 19:57:23)
外@時計師 >
『……』『……すみません。"死んだ"ので覚えていないんです。貴方以外のことは、覚えているのにすみません』「………………え?」『貴方のこと忘れてしまい、すみません』「…………………………、………………」「……………………は、……」「はァァァ゛…………………?????ははっ、………Haha, ............ no, no, no, no, no, no. It was a little joke.…(いやいやいやいや、そんな。あれはちょっとした〝 ジョーク〟だったろう。)」「……おかしなことを言うようになりましたネ、誰に吹き込まれたンです?だってアナタ、前まで──────………………」(前、まで。)(チキチキチキ、カターーーンッッ…………)(トプトプトプッッ……カラン、コロン…………………)(耐えかねて、タイプライターが、鳴った。)(お茶もティーカップも零れて落ちた。)(両者とも共に指先が緩んだからだろう。彼の目は見えない。だからあなたがどんな顔をしていて、どんな様子で、どんな立ち振る舞いをしているのか分からない。だけれど確かに『聴こえる』のだ。『聴こえてしまう』のだ。機械のくせに、酷く酷く、申し訳なさそうな震えた声色が。指先を合わせているのか、硬い金属が微かに擦れるその音が。)(カチャコン。)(悪い冗談かと思ったさ。誰かに何か言われて、貴方はバカ真面目だからそれを素直に実行したんだと思ったさ。でも。)『〝すみません 〟。』「………………………、………」(こうしてどうしようもないからと、謝ることしか出来ない貴方の様子は、どうにも悪ふざけのようには思えなかった。)「…………………………嗚呼。」(ならば。)「……………嗚呼、嗚呼、嗚呼ァ~~~~~ッッ!!!ワタシとしたことがッッ!!!大ッッ………………………変申し訳ない!!!!!!どうやら『ヒト違いをしてしまった』ようなのです。ホント、すみませンねェ????」(ならばこれって、絶好の〝 機会 〟って奴じゃない???貴方は都合よく自分のことだけを『忘れている』んだもの。あんな花を馬鹿みたく渡して、『要らない』と追い返しているのにも関わらず毎日毎日毎日毎日毎日毎日……煩わしかったんだろう??この手を逃さない手はない。腰に手を当てて笑い飛ばしたのならば、もう片方の手で自らの布に巻かれた本来目がある部分をなぞり、言葉を続ける。)「いやァーーーーーーーッッ!!!!ワタシ生憎目が使い物にならなくってネ、きっと〝 人目見れば 〟わかったんでしょうケドォ……………嗚呼いやどうかしら、ほらワタシはともかく、アナタみたいな機械ってさぞかしご兄弟(量産機)が多いンでしょう?ママ(工場)が頑張っているから。ですから余計に紛らわしくってッッ!!!」「気にしないでくださいナ。」「それはともかくとして、アナタ何しにここに来たンです??」「此処は時計屋『クックロビン』。アナタみたいな方が時計をわざわざ欲しがるかは甚だ疑問ですがァァァ………」「ここにはワタシの手掛けた〝 最高傑作〟が勢揃いッッ!海の砂で作った時計やオルゴール式の壁掛け時計、オーソドックスな鳩時計。」「過去を刻み記憶を編む、………アナタみたいなヒトでもきっとっ!!!」(続ける。)「……………………きっとッッ…………」(……つづ、ける。)「………きっと、………………………」「……………………………………」(………………………)(………………………そうだ。)(貴方は、覚えていない。アナタが毎日通いつめていても、完璧な日本語が話せるまではずっと英語だった。毎度の如くタイプライターには『来るな』と表記されていたのに、貴方はそれでもやってきた。文字が読めないのかと思って、……)(………貴方が覚えていないんじゃ。せっかく覚えた日本語だって【無駄】になるんだった。)「………、………」「……………………アナタ。よくこのお店がここにあるって分かりましたネ。」(……彼は、小さく問いかける。この店、よく入り組んでて、奥にあって、霧がかってて、そんな分かりやすいとこには置いてないでしょ。)「…お散歩ですか?呑気なものだ。全く、──────〝 世界は平和で羨ましい〟。」 (1/21 20:56:17)
風鈴@α-007 >
(自分が忘れたことを信じれないのか、乾いた陽気な笑い声が響いていく。ジョークだろうなんて言って信じようとしない貴方にモーターが苦しくなる。紅茶だってコップだってめちゃくちゃになっているじゃないか。嗅覚は普通なはずなのに異様にこびりついたアプリコットの匂いで眩暈を起こしてしまいそうだ。勿論、そんな機能はないけれども。自分が苦手とするニンゲンの記憶はきちんと覚えさせて、よりにもよって親しげな人を忘れてしまうとは、カミサマとやらはとことん意地悪らしい。もしもあの時、命令に従わずに離れていたならば生きていられたと思うし、死んだところで誰一人見舞いには来てくれなかった。それが自分の価値なんだと死んで改めて思えば虚しさとニンゲンに対しての不信感が雪のように積もるのだ。正常なはずなのに、欠陥品になった自分を憐れんでか)「……………嗚呼、嗚呼、嗚呼ァ~~~~~ッッ!!!ワタシとしたことがッッ!!!大ッッ………………………変申し訳ない!!!!!!どうやら『ヒト違いをしてしまった』ようなのです。ホント、すみませンねェ????」『……』(あれだけ動揺していて、よくも言ったものだと言いたくなるけれどそれを責める資格は自分にはない。自分は工場生まれではないと言いたいけれど、貴方が"他人"になりたいというのならば、それで構わなかった。過去の貴方が言っていたじゃないか【初恋は実らない】と。結局あれは初恋だったのかも答え合わせもできずに散っていったサクラソウは小さいものだから貴方以外気付かれることなく枯れていくのだろう)『わから、ないです』(何しに来たんだと言われると分からないとしか言えない自分に俯いてしまう。なんでこんな変虚なところに来てしまったのだろうか。ただ何もないからと歩いていたらいつの間にかたどり着いたのがここであった。時計屋なんて機械である自分に必要がないものだ。何故、こんなところにきた。ニンゲンに、なりたいから?時計ぐらいでニンゲンになれるわけないだろ)『……"偶然"歩いてたらたどり着きました。多分平和だと』(毎日繰り返されていた喜劇(悲劇)も終わりを告げている。ここに来たのは偶然、たまたま、気まぐれという言葉で片付けられてしまうほど簡単なものなのか。世界は平和だという言葉に胸元あたりがざわついているが、口にはしなかった。"死んだのに平和なのか"なんて口にしてしまったら、自分は戻れなくなってしまう気がしたから。この出会いに"運命"があるならば、奇跡が起きたって良いはずなのに一向に思い出せない。だって機械はメモリーで管理されているんだもの。メモリーがないと言えばないのだから……?) (1/21 21:21:35)
外@時計師 >
「…………………偶然、ねェ。」(彼は思わず鼻で笑ってしまいそうだと言わんばかりに一言呟いた。貴方はいつでもそうだ。口数少なく、決してそんなつもりなんてないだろうけれど、どうにもその口篭るような、…心臓の音すらも聞こえないのに『分かりやすいその態度』が。『察してください』と言わんばかりに主張してくるのだと。腕を組み、トントントントン、と足先を鳴らしながら彼。いつだって彼は不機嫌だ。でも今回ばかりは何故不機嫌なのか自分でもわかっちゃいない。)(…………〝 否〟。)(…認めたくないんだ。痛いほどにその理由を、分かっているからこそ。こうしてペラペラと日本語を話せるようにと練習したのは、他でもない貴方がきっかけだったんだから。)(……貴方は。)(貴方は、あの日から毎日花を渡してきた。目が見えているくせしてその花を選ぶ基準は、種類だとか花言葉だとか、なにか特別だからだとか、そんな小洒落たものじゃなく純粋に『綺麗だから』とか、単純明快な理由だったんじゃあないかい。それを目が見えていない自身が、『これはラベンダー……花言葉は……』と仕事をしながら懇切丁寧に教えては、花ごと追い返すのが日課で。)(いつの日か、貴方が来るのが〝当たり前 〟だった。)(皮肉にも『不必要』『非合理的』『くだらない』と吐いていた、【⠀聴覚】と【記憶力】に優れた彼だけがこの記憶を保有している。あの場には2人きり、誰もそれが本物の記憶だったと『証明する者』は、誰もいない。)(…ならば、今日この日。この日も二人しか居ないんなら。彼は、すぅ、と1つ息を吸い。1歩、貴方に歩み寄るでしょう。)「……………………──────以前。」「まあ、アナタには関係ないでしょうが。」「時計屋としての商売を此処で1つ。聞いてかないならそれでも結構ですが、………」「……………………あくまでも。「例え話」のようなものとして。」「…………──────少し前の話です。」(カツン。彼は、杖を鳴らし、1歩。また前に出る。)「ワタシ、アナタと似た〝ロボット 〟と知り合ったことがありまして。」「ええ、知り合いと言ってもホント、顔見知りというか…………………」「……………………彼ネ。……………〝 人間〟にね、憧れてたんですよ。」「………そこで、親切で完璧でオマケにハンサムなとある魔法使いが言ってやったンです。」「………〝 アナタをニンゲンにして差し上げましょうか〟?」「ニンゲンになればご飯も食べれる。家族がもてる。愛し合うことに理由もいらない。プログラムでないことを証明しなくったってそこに『感情』があるのが当たり前。」「そんな美味しい話はありませんッッ!!!」「魔法使いは、言いました。………『その代わり、アナタが『ロボット』として生きてきた生を全て捧げること』なのだと。『捧げたロボットとしての生と引き換えに、『家族の元に生まれた、当たり前のヒトとしての人生』をアナタに』………」「………──────〝 与えましょう〟と。」(貴方にそう、と顔を近付けて、御伽噺でも読み聞かせるように彼は『例え話』を切り出した。)(そしてその『例え話』がもしも。)「…………………もしも、ワタシがその魔法使いのように、…………『アナタのお願い』を叶えられるとしたのならば。こんな美味しい話、他にないとは思わないカシラ。」(…あの時は。〝 あの時〟は、『初恋』が邪魔で、叶わなかった。自分のせいだとは言わないし、そもそも貴方が勝手にそういうことを言ってきたわけだけれど、でもそれでも。その初恋が『邪魔』であったというのならば……今は、どうだろうか。)「………ええ、ええ、なんでも叶えられますよ。叶えられますトモ。アナタをニンゲンにすることは〝 造作もないコト 〟です。幸せな家族…暖かな料理、『眠り、夢を見ることでさえ』も当たり前となりましょう。」(なんのしがらみもない。なんの障壁もない。貴方の願い。【なんでも聞いてやれる魔法使い】が目の前にいると、したのならば。)「………………………………お代は今回は特別サービスで『無し』とさせて頂きます。運が良かったですネ。」(…別に。……嗚呼、別に貴方のためじゃあないさ。自分の成果が無駄になるのが癪に障るって、ただそれだけなんだ。)(それだけのはずなのさ。)(だったら【自分を調律して、あの時のことをなかったことにすればいい】筈だなんてのは当然分かってる。分かっているけれど、でも、今だからこそ、一つだけ。どうしても聞きたかった。)(今のしがらみの無いアナタなら、『なんでも叶う』と言われた手前、何を願うのか。)「ほォら、とっとと言っちまってくださいヨ。ワタシ案外気分屋なンですよ。………アナタもヒトに、〝 憧れてるンじゃないんです〟?」 (1/21 22:01:47)
風鈴@α-007 >
(鼻で笑われてしまいそうなほどの言い訳だと思われてしまったのだろうか。トントンと足を鳴らして不機嫌ですよアピールをされてしまったならば、縮こまりたくなってしまうじゃないか。だけどそんな資格はないからただ貴方の言葉を静かに聞くしかない。無音な空間がチクチクと自分を刺して痛いと思っていると助け舟を出すように、貴方は空気を吸って一歩自分に歩み寄ってくれた)『少し前の話……?』(唐突に例え話だといい、語り出したのは自分に似ていると口にするロボットの話だ。よっぽど彼についてが気になっているのかよく口にしているものだから、少し【モヤつく】。なんでかは分からないけれども、そのロボットばかり口にされるとどことなく嫌な気持ちになる。初対面の自分は言うことは出来ずに、話は続いていく。ニンゲンにしてあげようかという魔法使いがいるんだって。そんな魔法のようなことがあるんだと言われて胸がときめいてしまった。もしも、ニンゲンになったならばあの日のように捨てられるような命じゃなくなるかも知れない。先ほど食べられなかったチョコチップクッキーだって食べられる。プログラムに支配された人生とおさらばできる。素晴らしいお話だ。もしかしたらそのロボットは、ニンゲンになったのかも……。いやまて、なんで"ロボット"というのだ。彼はニンゲンになったならば元ロボットというはずだ。どうして"魅力的な条件"を飲み込まなかったのだろう。貴方は続ける)『……ニンゲンに』(魔法使いは目の前の意地悪な機械だった。今回ばかりはお題はいらないのだと口にしている。言ってしまえばい"ニンゲンになりたいんだ"って。そうすれば命を軽く見られずに済む。みんなと笑い合いながら生きていける。沢山泣けるし、温度だって分け合うことはできる。甘い甘い誘惑にプログラムがぐらついてしまうけれど)『私が、私が、もしそのロボットならばこう答えると、思います。"いらない"と。だって、ニンゲンになったら貴方と一緒になれないです』(素敵な魔法使いさんは機械だ。自分と同じ存在だ。自分だけニンゲンになるだなんてそんなことしたら、貴方が"寂しくなりそう"じゃないか。どうして前来ていたロボットが来なくなったかまでは分からないけれど、そのロボットがいたならば殴るかも知れない。どうして今まで会いに来てあげていたのに、来なくなってしまったんだと。皮肉屋だと思われる魔法使いさんが、紅茶をぶちまけるぐらいに動揺していたぞって。こびりついたアプリコットとチョコチップクッキーもいらない)『私は貴方と"一緒"がいいです。飲めもしない紅茶を、また注いでくれたら嬉しいと思います』(昔何度も言ってきた言葉を口にする。貴方が受け取ってこなかった言葉を、告げる。気分屋で我儘な魔法使いからしたら100点満点の回答ではないかも知れないから)『私は、"貴方を思い出したい"……ダメですか?』 (1/21 22:36:29)
外@時計師 >
(彼は密やかに、最終調律』の準備を整えようと左手を後ろに隠し、能力の発動段階へと取り掛かっていた。形ある者もそう出ないものも、勿論貴方でさえ、ある種の『時計』を持っている。彼の能力はその時計を『具現化』し、『あの時こうしておけば良かった』その後悔の念を生み出さないようにと、音階を当てはめるように調整する事だった。)(まるで舞台のエンディングを集結させる【機械仕掛けの神様(デウス・エクス・マキナ)】のように。)(……………しかし。)『私は貴方と"一緒"がいいです。』「……………………………、………」(貴方の返答は。)『飲めもしない紅茶を、また注いでくれたら嬉しいと思います。』(…どんなに忘れたって、調律を施そうとしたって『変わらなかった』。何度だって聞いたセリフだったさ。『貴方と一緒がいい』んだって。)(1度も受け取ったことなんて無かった。うんざりしてた。煩わしかった。来ないで欲しかった。秒針が狂わされる感覚が嫌だった。貴方が来なけりゃ日本語なんてわざわざ学ぼうとは思わなかった。貴方が来なけりゃ『お花を教えて、その上で追い返す』なんて日課は無かった。)(貴方さえ居なけりゃあな、貴方と出逢わなければな。何もかも〝 考える必要 〟なんてなかった。)『私は、"貴方を思い出したい"……ダメですか?』「…………………」「………………………………」「……………………………せっかく、………せっかく。『チャンス』だったのに。」「アナタどうして、…………………どうして『記憶無くして』尚も、……………〝同じこと 〟を繰り返すのです。」「そういうところが、『阿呆』で『真面目』で『どうしようもなくて』、『冗談が通じない』ンじゃあ、ないですか。」(彼は皮肉混じりに笑っては呟いた。展開しようとした能力を密やかに解除して、だらりと左腕を下げ、目元に手を当てる。)「……………………」「………………アナタは店に通い詰めて、毎日ワタシに花を渡してくるようなヒトでした。」「………要らないと言っているのに。」「…………花の種類はそれぞれで、………ラベンダーだとか、鈴蘭だとか、水仙だとか、クチナシだとか………いやほんと、季節バラバラで一体どっから拾ってきてンのかって………」「………目が見える方達ならともかく……………ワタシはね。ワタシは、この通り。」(彼は、ゆっくりと目元の布を指にかけて、するり、するりと降ろしていく。まるでリボンでも解くかのように。)「──────〝 見えない〟ので。」(ヒビが、入っていた。誰かに無理矢理砕かれたような、あるいは自分で力任せに砕いたのか。パキ、と微かに陶器にまたヒビが入るような音がした。その破片や名残りの中に、ところどころ青色の『硝子のような何か』が混ざっていて。きっと、それが。〝 瞳〟だったのかもしれない。)「………目が見えないのに毎日渡してくるンです。アナタ目が見えてるくせに花言葉とか吟味しないで、多分綺麗だからとか、『いい匂い』だから、だとか。それ言った子供みたいな理由で。」「毎日その花の名前を当てて、……花ごと貴方を追い返すのが日課でした。」「………………店に立ち寄ろうと外に出て、たまたま見つけられたらやたらと付き纏ってくるし。」「何でもかんでも、気になれば答えるまで聞いてくるし。」「…………………………………そんなアナタは、〝 サクラソウの花 〟を、………………初めて出会った時に。育ててました。」(半分ぐらい文句みたいなもんだった。馬鹿とか阿呆とかそんな罵倒ばかりで。彼は左手を貴方の胸、…ニンゲンならば『心臓』がある部分にそう、と手を添える。)(そして、……──────ドクンッッ。)(まるで心臓が鳴り響くように、1度だけ貴方の身体が揺れるかもしれない。そして胸からゆぅーーーーーっくりと、まるでホログラムのように浮き彫りにさせるのは金色に光る、現在進行形で進む【秒針】と【12個のローマ数字】。まるで貴方が〝 時計〟のよう。)「……………この世に存在する全ての者は『時間』に支配されています。アナタもその1人です。」「………………ワタシがこのまま『調律』を施せば、何もかも思い通り。過去の改変をし、都合のいい『エンディング』を持ってくることなんて簡単なことです。………上手いこと行きゃ『死ななかったこと』にだって出来る。」「…………………………──────ですが。」(彼は、ゆっくりと腕を降ろし、その時計を『閉じてしまった』。)「…………………………アナタを構成する要素が1つでも欠けてしまえば、またアナタは〝アナタ 〟であることから離れてしまう。本末転倒です。」「…………〝アナタ 〟は死んだ。」「故障して、……………ワタシのことは、〝 忘れてしまった〟。」「……………アナタの死はきっと殆ど、誰にも見向きもされなかったンでしょう。だって機械ですから。どうせ、『治ります』から。アナタみたいな護衛ロボットはそういう時のために、『造られてます』から。当然と言えば、当然です。」「……………………少なくとも、〝ヒト 〟はね。」「………………………………」「…………………………………………今後、………………何も忘れたくないというのなら。アナタがアナタでありたいというのならば、……………迂闊に『死なない』ことだ。」(護衛ロボットにかしたのは有るまじき『非効率』だった。『それは出来ません』だなんて言おうもんなら彼は、『じゃあ一生忘れてろクソ馬鹿野郎』と包み隠さず言うんだろう。そうさ、〝 ヒト〟はあなたの死を気にしない。少なくとも〝 ヒト〟は、だ。)「……………………………ま!此処で出逢ったのは何かの縁でしょう!此処は1つ、ぎゅーーーーぅって!ハグでもしますか~????触った瞬間アナタの口座から1秒につき1万円ぐらい引き抜きますケド。」「ホントに。」(彼は布を握り直したのならばきゅ、と再び目隠し代わりに結び直すかもしれない。後半のは気を紛らわすための冗談だったか、或いは本気か。 兎にも角にも、彼は貴方には。『調律』は、施さなかったのだ。) (1/21 23:54:02)
風鈴@α-007 >
『そう言われても、私なので?』(どうやら前話していたロボットは自分のことだったらしい。となると自分は自分を殴らなくてはならないのか?皮肉混じりに笑う貴方はどこか嬉しげにも見えたのは幻想かもしれない。だらりと左手を下げて語り出したのは過去の自分の行動だった。自分は毎日貴方に花を贈っていたけれど断られ続けられたらしい。他人事に感じてしまうのは、記憶がないからだろう。あの黒いハンカチは貴方に送るものだったのかも知れない。だとしたらもったいないことをしてしまった。たとえ受け取られなくても送ることに意味を見出していたのだろう。目が見えないのだと繰り返す貴方の目は"ひび割れていた"。息を呑むとはこういうことだろう。蒼いガラスのような何かが反射をしているのは、目の名残だろうか。自分でやったのかまでは分からなくても、痛々しい痕は残り続けるのだろう。貴方は自分の目など気にせずに文句に近い過去を語り続けてくれた。記憶を取り戻したいと願った自分への優しさだろう。心が暖かくなっていく) 『殆ど文句ばかりですねっ?』『……時間?』(ドクンと自分にはないはずの心臓の高まりを聞けば、浮かび上がったのは時計のような魔法陣。このまま調律をしてしまえば、忘れてしまった貴方の記憶を取り戻せるかも知れないのに、貴方は魔法をかけずにやめてしまった)「……………アナタの死はきっと殆ど、誰にも見向きもされなかったンでしょう。だって機械ですから。どうせ、『治ります』から。アナタみたいな護衛ロボットはそういう時のために、『造られてます』から。当然と言えば、当然です。」『……』(あの時魔法はかけてあげると言ったにも関わらず、気まぐれな魔法使いさんはもうやめてしまったのだ。しかもおまけ付きで。今それを言わないでくれよ。意地悪だな。見向きもされなかったこと分かっているなら控えて欲しいけど、それが"貴方"なのだから仕方がない)『貴方が死んでほしくないと思うなら、"死にません"』(人はねなんて、まるで自分は死んでほしくありませんと遠巻きに言っているようじゃないか。自分は護衛用ロボットだ。死なない方が難しい立ち位置だし、ニンゲンが死ねと言ったら死ぬしかない弱い立ち位置だ。だけれども貴方が死ぬなというならば、今回みたいにショックを受けて大事な紅茶を溢してしまうというのならば、死なない努力をしよう。たとえそれが見捨てるという選択肢になったとしてもだ。……そうならないように努力はするつもりでいるけれどね) 『……だったら10万円分あげますよ』(ほら、貴方が言ったじゃないか『阿呆』で『真面目』で『どうしようもなくて』、『冗談が通じない』って。何かの縁だというならば、"ニンゲン"らしく再会のハグといこうじゃないか。温度なんて感じない。触れ合った感触だってない。周りからしたら機械同士が戯れているだけで、そこには愛なんて存在しないと言われたって仕方がない。それでも抱きしめたかった。貴方は嫌がるだろうから10秒だけというんだ。たった10秒だけでいいから今生きて貴方に会えた幸せを噛み締めさせて欲しい) (1/22 00:27:07)
外@時計師 >
『……だったら10万円分あげますよ』「あァァァらヤダ嬉しいワ~~ッッ!!じゃあその10万円でとっても美味しいお紅茶でも買おうカシラッッ!まあ飲めないんですk……………………いやちょっと何近づいてるンですか。」(彼はにぃーーーっこりと笑って嬉しい~~~ッッ!!!っていうけれど、そんなわけはない。文字通りの相変わらずの皮肉である。が、しかし。どうやら貴方にはそれが理解できないらしい。ジリジリと近寄ってくる貴方に引きつった笑みを浮かべたのならば1歩、後ずさる。)「……ていうか……ははっ、………ね、ねぇ?……普通に考えて冗談だって分かるでしょう。ジョークですよジョーク。いや、ちょ、無理ですって。ホント、無理。何近づいてるンですか。やめろ、お゛い………No、No, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, no, NOッッ………!!!!!」(それでも懲りずに近づく貴方。終いにゃ逃げ場は無くなってまるで捕獲されるように、〝ハグ 〟をされた。機械同士硬く温もりのない身体が触れ合う感覚。何を隠そう50センチ差だ。細っこい腕で離れろと言わんばかりにその胸板をぐぃーーーーーーッッ!!!と押そうが足をじたばたさせようがピクリとも動かない。自分から持ち出したことではあるが、潔癖を拗らせているからかその様子は酷いもんで………)「Son of a bitch.………………You're kidding me. Give me a breakkkkkkkkkkkkkッッ……………………!!!(このクソ野郎ふざけんなよ、勘弁してくれ頼むからッッ…………!!!!!)」「ッッ……………!!!ッッ、………!」「ッ……………………ッ………」「…………………ッ…………………」(抵抗すること凡そ4秒…見切り始めで5秒……残りの5秒は。)「……………………………f■ck you……………」(この世で最も体感長い5秒間だったと思う。本当に目眩がしそうだった。そもそも『日本語をあれだけ苦労して(ほとんどキレ散らかして終わった)』習得したのにそれが無駄になる事実、貴方にあれだけ花言葉やら何やらを持ってくる度に叩き込んだのにそれさえ無駄になる事実、というか貴方に割いた時間が本当の意味で『無駄になる』という多大なる『非効率』は彼の手元から紅茶を零させるには充分だったのだ。)(キリリリリ、…………)(どこかで歯車のズレる、音がする。クソ野郎め。こんな奴にで会わなければと何度思ったことか。ともあれこれは約束だ。背に腕を回すことはしないけれど、彼は大人しくしているでしょう。)「…──────ほら10秒です早急に、〝 離れなさい 〟。」(こんなふうに、声をかけるまでは。)(………その恐ろしく不機嫌そうな声は、きっかり10秒たった時に。もしも貴方が離れてくれたのならばパッパっと手の甲で服の汚れでも払うかのような素振り。手袋を深くはめ直し、ネクタイの位置を整えながら彼は貴方に再び、先程の話題を混じえて言葉をかけた。)「………………勘違いしないで欲しいんですケドワタシはねェ………アナタが死のうが死ななかろうがもうホント、知ったこっちゃないんですよォォ…………ただ今回はねェッッ………………、」「…………………」(………………)(…今回は『見てください見てくださいあなたの為に日本語こんなに上手くなりました!!!』というアピールが出来なかったから不愉快極まりないです、とでも言うのか?)「ッッ゛~~…………」「今回は『諸事情』がァァァッッ……あってですねエエ゛ッッ……………」(いや言えない、わざわざそんな。プライドが許さない。忘れてる貴方に対してそれを噛ましたって凄さが分からないどころか『…はあ、そうですか』と生返事が返ってきそうだもの。だから握りこぶしを作り話題を切り変えるのだ。)「………というかアナタはもう少しユーモアセンスを磨いたらどうです?機械だからどうこうの前にその堅物な性格が人を寄せ付けないひとつの原因なンじゃあないですか………………知りませんケド。」「………ヒトも案外悪いものじゃないと、まだどこかで思ってンなら。注意深くヒトを観察してみましょ。『プログラムされていない』ではなく、………何か………………」「……………ッッあ゛?!?!?!?というかもうこんな時間ですか?!?!?まずいまずいまずいッッ!!!!!ほらアナタもうそこ突っ立ってないで用が済んだら出てってください!!これから仕事が山ほどあって──────……」(余計なお世話にお節介。彼は何かを話している間、どれだけ時間を無駄にしてるかに気づいたのか大声を上げて慌てて工具を取り出した。何かを話しながら動くものだから、きっと彼が何を話していたか、螺旋階段を登って行く彼の声を、最後まで聞き取ることは叶わないでしょう。) (1/22 01:19:01)
風鈴@α-007 > 『そんなに嫌がられると中々にきますね』(10万円分のハグでもまるで生ゴミを触ったかのように悲鳴をあげて嫌がる貴方。離れろとばかりにニンゲンのように細い腕で必死に暴れ回っているものだから猫を相手している気持ちになる。クソ野郎だとか色々と言われているが言ったのは貴方じゃないか。それに答えただけだというのに、難しい人(機械)だ。それでも暴れ回ったのは5秒で、残り5秒は大人しく抱きしめさせてくれたから、それだけで十分に思え。10秒経ったならばきちんと離れるだろう)『そうなのですか?でも、紅茶をこぼしていました』(自分が死んでもどうでもいいと言うけれど、じゃあ、何のために自分に生きろと言ったのだろう。難しいことばかり考えるのが好きな人のようだ。これからも色々と考える頭で色々と教えてほしい。また前みたいに"お花"を持ってこよう。いや、今度は匂いが好きそうな紅茶がいいかも知れない。色々と考えを巡らせていると用があるんだとばかりに慌ただしく階段へと上がっていく貴方は自分の返事を聞かずにどこかへ行ってしまった。ぽつんと取り残されたからか、扉に手をかけて出ていく前に) 『また来ますね』(次の日、前と変わらず運んできた花は真っ赤な薔薇とウバの紅茶だったのは未来の貴方が知ることになるだろう)〆 (1/22 01:33:26)