レイ・ラベットVS狗咬当馬

レイ・ラベット> 
『__________.........』[医療棟のベッドで目を覚まし、レイは助けられた事をさとりました。しばらくうとうとしながらまぶたを重たげに天井を見つめ、はっと、飛び起きます。持ち物が取り上げられていないかと周囲を見渡しながら布団に手さぐりになり、ようやく見つけたのは、あの日しのちゃんにもらった、お守りでした。]『....あ.....そっか。』『しのちゃん...守ってくれたんだ。』[_____そうでしょうとも。レイには、わかっていました。タマシイのミチビキに従えば、灰は再起するということ。彼女が仲間だってこと。《ルクレルク人にひどい扱いをしない、いいひと》だったってこと。これで貸し借りは無しだろう、とぼんやり思いながら、けれどそれを言葉にするだけの賢さはなくて。ただ自分の思い通りに事が運んでくれた事にほうっと安堵して、そのあみぐるみをぎゅううと握りしめながら、前屈して布団へ突っ伏しました。] [お守りの編みぐるみの胴体は骨でも入っているかのようにごりごりとしていて、その中に何かがあることがわかりました。恐らく、それが彼を生かしたものなのでしょう。]『........めいじさんは、どうして、ここ(アルマデル)にいるんだろう、ね。』[レイは、編みぐるみに話しかけました。]『めいじさんがぼくらとおんなじなら、さ。こんなところにはいなかったとおもうんだ。.....ぼくらが、どんなあつかい、うけてるのか、しらんぷりなんて、そんなの....そんなの、わかんないけどっ.....ずるいと、おもわない.....?』[いつか世界が滅ぶとわかっていながら、ARKに所属するなんていう選択肢は、なかったのかもしれません。ルクレルク人でもなければ、そんな選択肢がないのは、当たり前かもしれません。おんなじくらい、レイにはアルマデルに所属するという選択肢ははじめから、ありませんでした。]  『..................ぼくにふねのこと、おしえてくれたのは....ぼくを、ここまでみちびいたのは。』[あなた、だったよね。]『.....ぼくは、うらぎりものをやめられない。』[きっと、あなたがいるかぎり。]『.....そうだよね。』[レイは編みぐるみをじっとみつめて、視線をそらさないままに言いました。いつのまにか、蛍光灯に照らされた影は混じり合っていることでしょう。....どこから、聴いていたのか。尋ねるように、《あなた》のほうを向きました。]
 
『そうだよね、とーま。』【危険察知3】【地獄耳2】   (1/22 21:09:03)


狗咬 当馬> 
「………………、何故そう思うんで?」(男は騙る。君がどう思おうが、何をしようが、何を背負おうがどうだって良い。ただ、単純に、あの時は気に食わなかったのだ。悲劇のヒロインを気取る君が、不条理を甘受し大事な何かだったはずのバケモノに食い潰されようとしていた君が、どうしてもかつての友人に見えて、介入してしまった。一切の能力を持たなかったあの頃の彼がどうやってあれだけの大きなカミサマと退治できたかは分からない。もしかしたら、あの時から既に狂っていたのかもしれない。それでよくまだ元に戻れるだなんて高を括れるものだ。)「別に好いじゃあありやせんか、辞めたけりゃあ辞めりゃあ良いんでさぁ…。そいともなんですかい?あっしが導いたから引き返せやしないってんですかい…?」「だとしたらアンタのオツムにゃまるでなぁんにも詰まってねえ見てえですねえ。」(彼はやっとその姿をドアの影から見せるだろう。どうして彼が此処に居たのかは分からない。君の寝首を掻く為でない事と、君を心配して看病していたという事でないのは確かだ。忌々しそうに眉間に皴を寄せて君を見下ろしたその男は自身の頭上に青い炎を灯せばそこから壱と刻まれた札を捥ぎ取るだろう。)「端ッから云ってんじゃあねえですか、あっしゃあアンタのそういう“抗わねえトコ”がどうしようもなく気に喰わねえって。」   (1/22 21:26:06)


レイ・ラベット> 
『やめたいなんて、いってないよ....わかってる。ぼくが、きめたことだから。』[レイをアルマデルに導いたのは、きみでした。きみが裏切り者だというシナリオが明らかにでもなれば、ARKに導いたのもきみだという事になるのでしょう。きみ《とーま》は、レイの言うことを気が狂った妄想だと一蹴せずに受け入れてしまいましたね。蛍光灯の下に晒されるふたつの影は駒を一つ進めたようです。]『.....そうだよ、ぼく、ばかのままでいいんだ。おとなになんかなりたくないんだ。』[レイはその時、壱の札がもぎ取られたのを目にしました。時刻は深夜、1:30。お互いの容量が回復するには、丸一日の猶予。....なぜきみがここにいるのか、それは、恐らく、レイが呼んだからでしょう。]『ぼくら(ルクレルク人)にひどいことをするきみを、ぼくはアークのひととしても、やっつけなきゃいけないし...ぼくのパパをころしたきみが、てきじゃないなら、なんなの。』 『ぼくは....もう、』[死ぬことというのは、いつからそんなに軽い事になったのでしょう。レイはもう二回も死んでいて、何かが変わらないっていうなら、気でも狂わないっていうのなら、そっちのほうが、ずっとおかしいことなのです。男の子でも、女の子でもない、大人でも、子供でもない、どっちつかずのこの少年は、やっぱりぐずぐずと曖昧なまま、アークでも、アルマデルでもないまま、ただのレイとして《わがままに》生きようとしていました。]『ひとりじゃないんだ。』[心の中である人を呼びます。きっとあの人はレイは裏切りものだと知っても、助けに来てくれるような、彼とおんなじおばかさんです。いいえ、来ないかもしれません、そうすればレイはまた命を堕とす事になるのでしょうけれど_______それでも、魂の導きに従いたかった。]〆   (1/22 21:48:34)