炭酸@Lulu>
(灰色へ。)(灰色へ。)(濃淡のある霧。さんざめく雨。それが野面を、向こうの丘を、樹を、仄白く煙らせていた。)(もうずっと止まない雨。)(雨滴の波は、音を飲み込み、いっそ深海の如き静寂を醸し出すよう。)(静かの海に、雨霧は深く立ち込めていて、山奥の山懐にいだかれた村は夢の中に浮かんでいるようだ。)「…………………………」(ガチャリ、チャリ。)(泥濘を踏み締め、雨を通さない特殊装備の2つの影が、静寂を割る。来訪者は、水の流るゝ安寧を、踏付ける。)『はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜まァ〜〜〜〜じアタシたちったら、貧乏くじっすよねぇ〜〜〜〜〜っっ』(純度の悪い砂糖を煮詰めたような声が、特殊装備に装着されたあなたの無線機から聞こえることでしょう。)『こォんな山奥の映えもしないド田舎にピクニックなんてさァ〜〜〜〜〜〜〜〜しかもジメジメしてマスしィ───────』『ねェえ、アマヤドリチャン〜〜〜〜?』『山道だったけどォお、だ〜いじょォ〜〜ぶですかァ〜〜〜っ?笑』>アマヤドリちゃん (1/26 20:45:56)
雨夜鳥 志乃紀>
(愉悦感に歪んだその瞳を初めて見たとき、彼女はそれに畏怖を抱き、また同時に__________『ねェえ、アマヤドリチャン〜〜〜〜?』『はーっ、はぁっ、は、……っ、だい、じょうぶ……っ、』(君のそんな間延びしたくらいシロップに返されるのは、少女の荒い息づかいだ。恐らく一般人でも体力の消耗が激しいような特殊装備となれない山道。湿気もあってか防護服の中は汗と蒸気にまみれ、人一倍体力の無い彼女にとって、それは地獄と言っても差し支えないような空間に変わりなかった。)『~~……じゃ、ない、かも……』(ふらつく足と若干ぼやけ始めた視界。時が止まり、どこかへ連れて行かれたような不思議な廃村は、彼女から着実に現実感を奪っていく。) (二人一組の任務である以上、一人が足を引っ張ればもう片方に迷惑がかかる。人間らしく「綺麗でいたい」と願う彼女にとって、足を引っ張るのは避けたかったのだけれど……、実際、そんな強がりを言ってられそうもないほどに、彼女の足はふらついていた。小さな小さな気遣いを押し通す気概も無いまま弱音を吐き、彼女は君に甘えるでしょう。) 『あの……、あそこ、で、その、きゅうけい、したい……、』(彼女はそう言って、ドアの開け放たれたままのひとつの倉庫を指さした。防護服のままじゃ、水一つすら飲むのに一苦労ですから。) (1/26 21:09:11)
炭酸@Lulu>
『あっッは、アマヤドリチャン必死ィ〜〜〜〜〜っっ♡♡』『すぅっごぉいっすねぇえ〜〜〜〜よくここまで頑張りましたねェえ〜〜〜〜♡♡』(貧乏くじと言えば、もう一方の彼女、君の方が貧乏くじだろう。フィジカルにそもそも差がある二人、尚且つ〝この性根の女〟が、君の足並みに合わせて行動する訳もなく、さっきからこの女は動物園の、柵の向こうの動物に向けるような目で、さっきから愉しみの出汁にいいようにされていたんだ。)『いいですよお?』『蒸し暑いったら無いっすモンねェ、こン中さァ』(若干、面白がってあなたの誘いに頷いた様子が否めないが、その倉庫の錆ドアを蹴り開くや否や、もう使われない農具を邪魔くさそうにどかし、冬を越すためだろうか。使う者が居ない放置された薪束にどっかりと腰かければ、大儀そうに防護服を脱ぎ、顔を左右に振るだけでクルンと髪が様になる。)(彼女の香水なのだろうか。ロリポップの菓子のような匂いが君のところまで届くだろう。)(カラカラと鳴る楽器のような屋根の音が、印象的だった。)「はぁ〜〜〜〜〜っっ、異常性の対策っつっても、これはキツイかったんじゃァねェですかァ〜〜〜〜〜っ?」「凄い息上がっちゃってたっすもんねぇっ?♡」(装備から補給用の水を口にしながら、ちょっとした運動後のように余裕を見せている彼女は、流石海の向こうのフィジカルと言うべきか。)(絶望的にひ弱そうな君のコトが、しんそこゾッコン(笑)のようだ。)>アマヤドリちゃん
雨夜鳥 志乃紀>
『あり、がと、ございぁ……、』(へろり、ふらり。君に面白がられていることに若干の不快感を、否苛立ちすら感じながら、彼女はそれでも礼を言い、君同様に家畜の飼料箱の上に腰掛けた。)「…………っあ“――――……、はぁあ”……」(防護服を脱ぎ、大きな大きな嘆息を一つ。女の子らしくない、はしたないと思えるそんな声は、彼女は普段ならきっと出さなかったし出せなかった。それは齢16の乙女にとっては当然のことだけれど、疲れ切ってしまっている今、声が溢れてしまうのも当然だった。 雨を防ぐために防護服を着ているのに、その中は雨に打たれたように汗に濡れ、神はぺたりと頬や額に張り付いている。ブラウスや下着はぐちゃりと濡れ、きっとそれは君の非じゃあないのだろう。だって彼女は、苦しいと分かっていたって、お守りだから、とカーディガンを中に着込んできたのだから。)「きつい、も、ほんと……」(水筒に口を付けたなら大きく喉を二、三度鳴らし、塩分タブレットを口に放り込む。)「あの、あの、ね、るるちゃ……もうちょっと、ゆっくり歩く、とか、お願いできない……?」(そんな風に君にお願いをしてみたのなら、彼女は視線を外に投げた。) (止まない雨。止まらない雨。いつから降り続けているのかも分からないそれは、一体どこからその滴をすくい上げているのかも分からない。たっぷりと水分を含んだ遠くの雨雲は泣き疲れたようにも、未だ真新しい悲しみにも見える。)「……、なんで、やまないんだろね」(漸く落ち着いてきた呼吸を零し、彼女はそっと目を閉じる。とっとっとっと、ととととたたた、てんてんかたたた。それは、そこに居たはずの人の生活の様相を叫ぶように家の屋根を、戸を、桑や道具なんかを細かく叩くのでしょう。今はもうだれも居ないこの倉庫もきっと人の生活の一部だった。古びた箱の表面をさらりと撫でたなら、自身の防護服が垂らしたみずたまりにふと気付いて、その中にそっと自身の人差し指を浸してみる。……事前情報じゃ『雨粒』に特異性があったみたいだけれど、雨水自体はどうなのだろう。そんな、小さな好奇心。) (1/26 21:57:59)
炭酸@Lulu>
「あっはァ、髪も服もグチャグチャじゃねェ〜〜〜〜っすかァあっっ♡♡」「かァいいねェアマヤドリチャン。」「Love you~~~~~~~~♡(ダイスキ)」(もっとゆっくり出来ないの、なんて情けないお願いをする彼女を見て、心無い言葉を浴びせ続ける。もうだって、防護服の中で雨に濡れないはずの君が、水を被ったようにずぶ濡れでクタクタなんだもの。ルルにとって、格好のお笑い草だ。)(そして、一息着いた君は、ようやく周りのことに目が行き始めて、ぽつりと言葉を零した。)『…………、なんで、やまないんだろうね』(とんとん。とか、とん、とかとんとん。トカトントン。)「さあァ?」(雨は止まず。)「………………………」(ざー) 「……………………ここには誰も居やしないのに。」「雨に触れたら…………………記憶やら人格やらがスクランブルエッグみてぇになる雨が降る理由も、分からねぇんですもん。」「火のないところに煙はたちやしませんからァ、」「この雨にも、〝そもそも村自体にも〟何かしらの意味はあるんじゃァねェンですかァ?」(それは、カミサマの存在の根底についての話だ。)(なぜ、イーコールに適合する人間が、十字架を背負った者ばかりなのか。イーコールが罪に反応し、凝縮し、定着するのならば───────)(カミサマの根底には、〝罪〟がある道理だと、ルルは思っていた。)「このカミサマは、〝止まない雨〟じゃねェんですよ。正しくは、〝突如出現した無人の村と、そこに降る止まない雨〟がカミサマなんです。」「だから、アタシらがここに踏み入れた時点で、もう腹ン中ァ───────」(君は、〝水〟に触れたね。)◻️ㅤㅤㅤ˹ㅤ記憶ㅤ˼ㅤㅤ˹ㅤ雨ㅤ˼ㅤㅤ𓊆汪,逸郷院喰塔下斗弧流度亜外院塔泥.𓊇𓊆乃尾風度亜外院……?𓊇ㅤㅤ(君の頭に流れるは知らない記憶。)(木枯らしのみが吹き付け、痩けた頬の男がぽつりと苦しさをつぶやく記憶。)(もう満足に食事もできず、悲しそうに不満を零す子供。)(ありもしない記憶が、まるで植木鉢から、別の鉢に植え替えられたように────────)(代わりに、君の………………何かの思い出は1つ減った。)「─────い、…………ぉい」「おいってば!!!」 (1/26 22:43:19)
雨夜鳥 志乃紀>
𓊆汪,逸郷──______──亜外院……?𓊇(触れた雨水は冷たかった。蒸気に熱され汗に冷やされたその指からはさらにじんわりと体温が溶け出して___トカトントン___彼女はだらりと力を抜いて、飼料箱へ体を預けた。)「……、なぁ、に?」(溶けた体温を埋めるように、じわりと頭に滲んだ記憶に、“彼“はうわごとの様に問いかけた。衣服はあまりに杜撰に見える。黄土色の顔は乾いた大地によく似ていて、それから。)(ふと視界の端に入った農具の傷を見て、じわりと涙腺が熱くなった。あの傷はたしか■■が手伝おうと持ち上げて、勢い余って_____ぼんやりと上を仰ぎ見たなら、雨宿り中の蜘蛛とパチリと目が合った。くそう、△□に払っとけって言ったのに。___△□、■■。)(聞いたこともないその名前、言ったこともないそのセリフ。頭に浮かぶそんな記憶は疑いようのない本物だ。この飼料箱がなんのためにあるのかも、その農具をどう使うかも全て全てがてにとるように分かるのだから。一つの記憶はほつれた布の糸のように、その端を掴めばきっと多くをなぞり、一本の線を抜き出せるのでしょう。彼もまたそうやって、その糸の軌跡を辿ろうと_____)「─────い、…………ぉい」「おいってば!!!」「_________へ、」(彼女は君に、きっと漸く気が付いた。汗に冷えたその唇は色を段々と失い、その指先はふやけている。雨を全身に浴びたような状態のまま冷えた空間で雨宿りなんてしていれば、そうなるのは至極当然のことだった。_____雨宿り、なんで。)「えっと……、えと、」(彼女はそろりと、“自身の”記憶を辿っていく。)(そうだ、私は今るるちゃんと調査に来てて__調査は、カミサマの__なんの、ために?だって私はARKのみんなと育ってきて、だからアルマデルの人たちは皆酷い人で、敵ばっかりで_____どうしてわたしは、“アルマデルの証が入ったこんな防護服を、着ているの”?)(彼女は慌てて君に視線を向け、それからそのとがった耳に安堵の息を吐いた。ルクレルク人は、守ってあげなきゃいけないもの。)「えっと……、るる、ちゃん、かえろ。……こんな、危険なの。しなくていいよ、るるちゃんは。」(アルマデルに入った際に自分で立てた、身の振り方の自分ルールも近いも決意も、今の彼女には残っちゃ居ない。)(アルマデルへの、敵意だけ。) (1/26 23:28:42)
炭酸@Lulu>
「…………………あ、あァ………??」(なんだ、その目は。)(なんなんだ、このクソッタレの村は。)(雨水に触れたら、このクソガキは人が変わっちまったように、さっきのあなたとは別物の目で、こちらを見てくる。)(そして、その視線の先は──────)【獣の勘×2】「(─────んで、今コイツはアタシの耳見やがったんですかァ…………?)」(その鋭い勘は、視線の先を当ててしまっていた。)(記憶が描き変わったのか。)(それとも失ったのか。)(あるいは両方なのか。)「(貯めてあった水に指先を触れただけで〝この有様〟だって言うんですかッッ??じゃあ、生身で外に出たりなんかしたらァ─────)………………は。」「いきなり何言いやがんですか、危ないからお家に帰ってろォ…………?」「今アンタの記憶の何を失って何を得たのか、知った事じゃねェですけどォ〜〜〜〜〜ッ…………………」「こンのコケラ風情がぁぁああ…………………このルル様に向かってェえ、どの口ききやがンですかァああ……………??????」(屈辱だ。)(登山道だけでばたんきゅうする卑劣で、醜く愛しいガキに、)(そんな情けをかけるような事をほざきやがって。)(あーー、あーーーーー。)(もう、やっぱキライだわァ、お前。)「テメェも、我が身知らずのまま、アタシを耳の形だけで判断しやがって。」「最悪ですよ、何もかもがくそ生意気にィ。テメェも、このクソッタレの雨も、この村もォォ」「…………………いいですかッ、テメェはアタシがもし負傷した時、テメェの体を使ってアタシがまた馬鹿やるためだけの、スペア!ス・ペ・ア─────ッッ!!!」「そのスペアに守られる馬鹿野郎がどこにいやがんですか少なくルル様の流儀じゃねェです──────」「ですからァッッッ」「…………………………もういいでしょう、休憩はァ。」「とっとと、そのだせェ防護服着てェ、アタシの後ろで惨めに遅れて来やがれです。」「そン頃にゃァ、テメェを困らせるモン全部アタシが何とかしますし………」「……………………そんくらいの時間もありゃァ、分かンなくなった自分見直す時間もありましょォが。」「……………………はァ。」「よぉおく記憶しやがってくだせぇよ雑魚が」 (1/27 00:30:50)
雨夜鳥 志乃紀>
(彼女の記憶は分断された。アルマデルに入る前と、入ってから。小さい頃からアルマデルは良くない組織と教えられ、ルクレルク人は守るべきだと教えられた。皆をだまして記憶を奪って、ルクレルク人をいじめる悪い奴ら。____が、どうしてだろう、自分はいつの間にか、その一員になっている。職員としてカミサマたちとふれあって、その寮に住んで、他の職員と笑い合って、それから、“アルマデルの職員を内緒で殺して”いた。どうしてこうなってしまったのか、どういう経緯でこうなったのか、本当に消えてしまったみたいに、どの引き出しを探してみても見つからないのです。)『こンのコケラ風情がぁぁああ…………………このルル様に向かってェえ、どの口ききやがンですかァああ……………??????』「……っ、」(混乱した頭をぐしゃぐしゃとかき乱すことも許されないまま、彼女は君の言葉に射止められ、その身動きを阻まれた。それはまるで蛇に睨まれた、蛙のように。……恐らく自分と同じか、それより少し下の、可愛い可愛い女の子。自分なんかより迫力があって強そうで、かっこいいし頼れる子。……、そうだ。) 『…………………………もういいでしょう、休憩はァ。』「……、ごめん、なさい」(深い溜息に隠れるようにそろりと体の力を抜いて、彼女は小さく息を吸う。ぽつりと音を零したのなら、君の言うとおり防護服に袖を通し、それから。__自分の持つ記憶がどこまであって、どこまで無いのか。その確認の為に、彼女は君の背を見つめながら、そうっと自身の軌跡を辿る。__私は確かにARKの中で生まれ育って、その中で生きてきた。それは確かに覚えている。のんちゃんのこともかささんのことも覚えてる。……かささんが、ルクスくんに殺されちゃったことも。それから私は…………、私は。)(分断された記憶の端を掴んだのなら、彼女は小さく息をのみ、無線機越しに君に問おう。)『あのね、るるちゃん。……、アルマデルにはいったときのこと。……覚えてる?』(もし自分が単純に忘れているだけならば、話の断片でも聞けば、きっと思い出せるはずなのだ。)(倉庫を再び出たのなら、二人の頭を防護服越しにぽつぽつと雨が叩くのでしょう。寒さのせいか、記憶障害のわずかな残渣か。がんがんと痛む頭に彼女は顔をしかめながら、彼女はばちゃばちゃと、水たまりを踏んだ。)
(自分が何故アルマデルに入ったのか。何故忌み嫌ってた、滅亡さえ望んでいた__否、今もほんの少しだけ望んでいるアルマデルの職員になったのか。自分の中でどう折り合いを付け、どう態度を隠したのか。何をルクスに誓って、何をアルマデルに隠したのか。__それらの抜け落ちた彼女にあるのは、ただひたすらの自己嫌悪と、ARKへの帰属欲求のみだ。)『なんで、……なんでわたしが、アルマデルの職員になってるのか、おもい、だせないの。…………、るるちゃんは、なんで?』 (1/27 01:07:41)
炭酸@Lulu>
(あの雨に触れ、どういう訳か、彼女は何かの記憶を失った。)(それこそ、彼女を構成していた土台となる記憶だったのだろう。)(どんなに堅牢な建物でも、砂上ならばいずれ崩れる道理に同じく。)(ますます、この人濯のカミサマの、恐ろしさが身に染みてくる。)(だが──────)(それがなんだと言うんだ。)(恐ろしいからなんだ。)(恐ろしくないカミサマなどいない。)(恐ろしくないニンゲンなど居ない。)(恐ろしく無いものなんてどこにもありやしない。)(散々雑魚だのと宣ったこの少女だって、〝イーコール〟に適合している時点で、普通に生きていれば背負うことは無い十字架を背負っているんだ。)(恐ろしく無いはずがない。)(彼女は、一先ず、ルルの言葉に従うのが吉かと、言われたままに防護服を付け直した。)(それを見てから、ルルも防護服を着直す。)(無線機越しの声が、ふと、聞こえた。)『あのね、るるちゃん。……、アルマデルにはいったときのこと。……覚えてる?』(藪から棒の問いかけだった。)(どうやら、少し記憶の整理は着いたらしい。)(その上で、その質問するならば)『なんで、……なんでわたしが、アルマデルの職員になってるのか、おもい、だせないの。…………、るるちゃんは、なんで?』 (ほうらやっぱり、彼女にとってはそれは重要な事なのだと。)(そして、その記憶が〝濯われた〟のならば、さっきの豹変の様子も頷けた。)(だが、頷けたばっかりに、なぜ自分の耳に、あなたが反応したのかが、いやに疑問に残った。)『────────────』『…………………………特別に、教えてやりますよ。』『アタシの産まれは、この国じゃねェんですよ。』『向こうのニンゲンは、元々差別が強い文化が残っていやがりましたから、耳が長いってだけで』『…………………ここより酷い仕打ちを受けちまうんです。』(身のうち話をするのは、苦痛だ。)(弱みをさらけ出しているようにしか感じない。)(だが、情が移ってしまったのだろうな。醜いものほど、愛おしく思えてしまう。)(君の事だ。)『クソガキだったアタシは、なんの力も持っていない。』『ただ、感情を押さえつける事しか出来やしなかったくそマヌケでした。』『…………………………でも、そのガキが鋭い刃物持っちまったんですよ。』『簡単に人を殺せるような、刃物を、まだチビのガキが、恨み辛み蓄えてる餓鬼に、刃物のルールが分かるわけない』『そんなの、ニンゲンじゃねぇです。クルレルクでもない。ただのクソッタレのカミサマと同じだ。』『………………アルマデルは、少なくともアタシを人に戻してくれた。』『この力の使い方を』『少なくともこの力を使うって意味を』『持たせてくれた。』『…………………………らしくねェ、アタシの黒歴史っすよ。』『…………………たったそれだけの、つまらねェ話です。』(弱みをさらけ出しているようにしか感じない。)(だが、情が移ってしまったのだろうな。醜いものほど、愛おしく思えてしまう。)(君の事だ。)『クソガキだったアタシは、なんの力も持っていない。』『ただ、感情を押さえつける事しか出来やしなかったくそマヌケでした。』『…………………………でも、そのガキが鋭い刃物持っちまったんですよ。』『簡単に人を殺せるような、刃物を、まだチビのガキが、恨み辛み蓄えてる餓鬼に、刃物のルールが分かるわけない』『そんなの、ニンゲンじゃねぇです。クルレルクでもない。ただのクソッタレのカミサマと同じだ。』『………………アルマデルは、少なくともアタシを人に戻してくれた。』『この力の使い方を』『少なくともこの力を使うって意味を』『持たせてくれた。』『…………………………らしくねェ、アタシの黒歴史っすよ。』『…………………たったそれだけの、つまらねェ話です。』『つまらねェ話の、つまらねェ理由ですから。アルマデルにしか無い魅力があったから、とか、そういう理由期待していたら、残念でしたねぇえ。』(最後に吐き捨てるように、締めくくる。) (1/27 01:34:56)
雨夜鳥 志乃紀>
(ARKの中の、その中の”一家族”。__殊に彼女のいたその集団内では、ルクレルク人というのは庇護の対象であったから。痛いことも悲しい事も沢山味わう彼らにとっての憩いの場であれるように。自分らの知らぬ苦しみを飲み込んで生きていかなければならない彼らが、少しでもそれを吐き出せるように。蝶のように花のように彼らを包み、一つの偶像を守るために偽物の感情で塗り固めたその場所で、彼女もまた。彼らを守り、彼らを蔑み、また。彼らの奴隷に成り下がって、生きてきた。)『向こうのニンゲンは、元々差別が強い文化が残っていやがりましたから、耳が長いってだけで』(だから。)『…………………ここより酷い仕打ちを受けちまうんです。』(だから、君の話したそんな言葉だけで、彼女は。)『………………、』「ゆる、せない。」(無線を切ったその合間に、溢れる感情を小さく零した。防護服を着ていて良かった、雨が降っていて良かった。零した呟きは拾われず雨音にのみこまれ、歪んだ顔は濡れた視界とくぐもったゴーグルで覆われる。……、苦しい苦しい飲み込んだはずの覚悟が要る溜飲は再び首をもたげ、彼女の喉を圧迫する。)(アルマデルを憎む自分と、アルマデルの中に居る確かな自分。どちらも本当のものなのに、その融解点はどこかに消えて、ヒートショックを起こして心の臓が止まってしまいそうなそんな悪寒が彼女を包んでいた。)(ただでさえアルマデル内にある様々な差別だって嫌いで厭で仕方が無いのに、こんな所よりももっと、なんて、考えたくもない。)(あぁ、でも。)『………………アルマデルは、少なくともアタシを人に戻してくれた。』『この力の使い方を』『少なくともこの力を使うって意味を』『持たせてくれた。』(君のその言葉に、”彼女は少し、救われた。”)『……そ、っか。』(小さな小さな安堵の色を混ぜ、彼女はそう息を漏らした。よかった、”君の故郷が汚くて”。)『んーん。……ごめんね、話させちゃった。』『思い出せなかったけど……でも、ルルちゃんのことが知れて、よかった。』(吐き捨てたそれを優しく優しく包むように、そんな教科書のような言葉を君に返す。庇護の対象として君を蔑み、また王の家臣が口を噤むように君に追従する。)(歪んだ”ルクレルク人”に対する対応は、そぎ落とした筈なのに。)(身につけた平坦な接し方は、留め具が外れて落ちたみたいに。)『ごめんね、もう大丈夫、だとおもうから。』『調査だけ早く終わらせて、”おうち”かえろ。』(極めて平坦な声で彼女は君に声をかける。自分の方が役に立たない人間なのに、そんなことは些細な問題だと言わんばかりに、君を視ないままに先を急ぐ。)(君の内側を宝箱にしまい込んで、封をしてそっと布で包む。蓋をして目を逸らし、その箱を傷つけないようにと大事に大事にしまい込んで。)『ね。るるちゃん。』(彼女は君に視線を投げて、君に分かるように首を傾げて見せた。) (2022/1/29 00:14)
炭酸@Lulu>
(あー、なんだか。)『……………………………ちェッ』(話すだけ話しをして、)(格好がつかないったら────────)(これだから嫌なんだ。身の上話を垂れるってのは、屈辱的だ。少なくとも、このルル様の流儀に反するし反吐が出る。)(───────大体だ。)(大体…………………これを話したからと言って何になるんだ。)(このツマラナイ話ががコイツの記憶の再起に繋がるとは、どんなミラクルな話なんだ。)(とても現実的じゃないし、)(御伽噺でもそんな滅茶苦茶なシナリオは類を見ない。)(………………………やっぱり、話すだけ損した。)(もう、しないようにしよう。)(もう二度と、話さな────────……………)『思い出せなかったけど……でも、ルルちゃんのことが知れて、良かった。』『…………………………………』(アタシは、良くない。)『ごめんね、もう大丈夫、だと思うから。』『───────っそ、良かったですね』(でも、あんたは、こんなキタナイ思い出話を聞かされただけで、憑き物が落ちたような変化を見せるんだからさ………………)(だから…………………)(そうだな。)(あー、言葉にならねェ、つぅか。なんと言いますか。)『調査だけ早く終わらせて、”おうち”かえろ。』『ね。るるちゃん。』(…………………………。)(〝そう〟だな。)『………………………最後に、これだけは言わせて。』(でも、だ。)『──────〝大嫌い〟』(アンタがアタシの耳で〝測った〟のは、許してない。)『…………………………けど────────』『また、アタシと調査、行きますよ。』(アンタは、戻ってもぼーっとしてそうだし、目を離したらどこか行っちまいそうだから。)(嫌い、嫌いだ)(命の使い方を、ずっと考えているお前の事が。)(あたしの目が黒い内は、あんたの命を、〝誰かの為に使わせないように〟。)「そんなのは、アタシが許さねぇですから」(それは、やはり、雨滴の波音に打ち消されたのだ。)ㅤㅤ𓊆 藍憂朱戸藍泥呑戸 雨音塔 代,跋都 座 凍流度僅捨手流凍流凍案度座霊院捨手流宇戸運戸酢都布………………𓊇ㅤㅤ𓊆藍流織流飢絵伊豆美意負尾亜優.𓊇 ㅤㅤ(雨はずっと、まだ、二人に降ったまま。)(でも、きっと、)(2人の何かを、雨は洗い流したのかもしれない。)〆 (2/3 01:38:57)