051&Michael

外@051> 
(貴方は廊下を歩いていた。仕事終わりだったかもしれないし、仕事の最中だったかもしれない気、もしかしたら仕事を〝サボるため 〟の行動に過ぎないのかもしれない。兎にも角にも貴方はこの、非常口の緑色と消火栓の光が掃除の行き届いた廊下にテラテラと反射した、やや薄暗いこの場所を歩いていたのさ。)(貴方は思わなかったろう。この5秒後。)(まさか、〝 こんなことになるなんて〟。)(バチンッッ!!!!!)(〝非常用電灯 〟に辺りが切り替わり、赤色の照明が突如として貴方の影を色濃く映す。)【───アルマデル職員各位に告ぐ───】【───リビングデッド〝No.051 〟が『管轄区域から脱走した』───】【──アルマデル職員は至急、ワクチンを保持し、〝 No.051〟に備えよ──】【──もし、拘束具が彼から外れていた場合──】【──〝 発砲を許可〟する。──⠀】数発頭部に弾を撃ち込み、動きを止めることを───】【 推 奨 す る 】(…ブツ、と放送が切れる音がした。シン、と静まり返るこの空間はやけに音を拾いやすい。嗚呼、今日はアンハッピーデー。日頃の行いが悪かったのか。或いは、……………)「………………キンヨう、ビ………………点検、シナイ、と、…………いけないノ、で、……………明日の8時ニ、…………」(…そうこうしている間にも。)「…………ある、までル、職員に、告ぐ…………」(ヒタリ、ヒタリ、なにかが這い寄る〝 音〟がする。)「……………キノウ、職員が、行方フメイ、で、…………」「…………ァ、……青、ィ、………ボールペン、買って、コなきゃ、……………………」(まるで人の鳴き声を真似するように。他愛のないいつかの職員の会話を真似ているのか、その言葉に意味はなく、触れることが出来たのならば恐ろしいほどに中身がない伽藍堂にゃあ違いがない。)(ヒタリ、………………)(そして〝 ソレ〟は貴方の前に止まった。)「……………『0』『5』『3』……………」「…………………………〝おうちに、帰りたィ 〟…………」「…………………、………………………」「…………………………、……………………」(赤い電灯に照らされた廊下にて、青と黄色の瞳が確かに貴方を捉えていた。前傾姿勢、足枷は無理やり引きちぎられたように外されている。涎をだらしなく垂らし、息はまるでしちゃいない。いかにも肉汁がありそうで、若くて、男にしては柔らかそうで、何より『体温』のある貴方は彼の目にどんな風に映っているかは言うまでもない。幸いにも彼の口にはまだ『口枷』はついているようだが、さて。鉢合わせになった貴方に問おうか。)(ワクチンは持っているか?)(彼を撒く足の速さは?)(貴方よりも〝 魅力的な餌〟で彼の気を引きつけるような何かは?)(拳銃は?)「………………、…『0』『5』『3』」「………帰リ、たい、…………」(ボソボソと呟く彼は立ち止まっていた足をゆっくりとまた貴方に向けて、近付けるでしょう。)   (2/1 20:19:04)


Michael(ミカちゃん)> 
「 …………〜♪」(その日は生憎、〝ツイてる日〟だった​───────筈だった。 仕事をサボり(正確にはサボった訳じゃないんだ!ただ、少し素早く終わっただけ。ホントだよ? )、街へと繰り出したのは数時間前。喧しい店内でスロットのボタンを押し続けた結果、大量のお小遣いで財布は潤い、チョコレートから駄菓子まで大小様々お菓子の入るポリ袋まで頂けたのだから自身のツキにフードを外し、空に敬礼すらしたい気持ちだった。軽い足取りに、混じる鼻歌は遠い故郷のものだったろう。(そんな浮かれた気分が、 彼に 〝遠回り〟をさせたのだ。 )​ ジジジと厭な音を立てる灯りが、ともすれば何かを予期していたのかも知れないが。 途端、揺らめく電灯。 バチンとイヤな音。 ​───────赤い照明 ? )「……………………え? 」(静寂に漏れだした声が響くのが妙に不気味だ。ボクの悪い予感は大抵当たる。 こんな事なら寒いからなんて理由をついて、保護サイトの中なんか入るんじゃなかった。 冷や汗がひとしずく細い首筋に伝うのを、 赤色がチカチカと照らしている。 ブツッ………………と、ちぎれる様な音の後、 スピーカーが口を開いた。 嗚呼嫌だ、続きが聞きたくない。​──────放送の途中、 ひたひたと足音が遠くから聞こえる。 不気味な赤色の羅列の、奥の、奥の暗闇から。 それから、 金属の擦れる音。 ) 『……………………ゃ………… タイ……………… 』(無意義な言葉は安いホラー動画の演出よりも恐かった。 獣(と表現していいのか定かではないが)と、 瞳が交錯する。 蛇に睨まれる蛙、狼を目前にした羊、何しろ足は竦んだに違いない。背筋が凍る。心拍数の上昇。 凍る身体を何とか動かし、 二、三歩後退る。 ああ待てよ、カミサマとやら、いくらボクが敬虔な信徒じゃあ無いからって、そんなのは酷いじゃないか! 幸と不幸は平均すると直線になるらしいが、 生憎ボクの幸福曲線は現在進行形で急転直下だ。)「( ええなんたってこんな目にッッッ!こんな職場はイヤだ! 退所だあ!福利厚生に安全管理がなってないっ! アルマデル第八支部、お前のコトだぞ覚えておけよっ! ) …………………あー、ぁー? 嗚呼、その、なんだろう、ええと、ボク……………… 」( たらり、と、獣の涎が地面に落ちた後。 ヤケになって口をついた恨み言すら意味が無く、厭な静寂に溶けてゆく。 張り詰めた緊張。 彼はもう訳も分からず、 右手に握り締めたポリ袋を君の顔面へと【投擲】したことだろう。)( 同時に。 ふっと、後ろを向き、 其れを皮切りに脱兎のごとくサイトを駆ける。 バイオハザード? アルマデル・オブ・ザ・デッド?とにかく彼の出せる最高速度で逃げ出した。 愉快で死に物狂いの〝鬼ごっこ〟の始まりだ。 彼、 運動訓練では万年最下位。 しかしながら、 火事場で彼が逃げきれたのは、修羅場で存分に発揮されてきたその逃げ足のお陰である。 )(拳銃も、ワクチンも、魅力的な餌すら無ければ、その場から立ち去る以外にあるまい? )「 ボクは美味しくないのでそのチョコレートでも食べててくださいお願いしますッッッツツツツ!!! 」 ( 逃走しながら、ヤケに大きい叫び声だった。不審者に出会った時は? 大声を出して逃げ出して周りの大人に助けて貰いましょう。 彼はそれを全て実行している。 人の多い方へと、最短ルートは脳内で構成済みだ。 『053』じゃなくてボクとしてはいち早く『110』でも押したい気分だ。 )「お帰りくださいお帰りくださいお帰りくださいいいいぃぃ!!!! 」   (2/1 21:35:38)


外@051> 
『…………………あー、ぁー? 嗚呼、その、なんだろう、ええと、ボク………………』「…………………………〝 ナ、んだろう、…………ボク 〟。」(彼はあなたの言葉を復唱し、小さく呟きまた歩みよる。本当だったら今ごろ貴方は友達と会っていたかもしれない。寂れた心を癒してもらうために尻尾を振っていたかもしれない。なんにせよ早めに仕事を終わらせたからと、その浮かれた気持ちのまま日常の断片にその身体をパズルのピースのように収めていたはずなのに。)(なのに、〝 この有様〟だ。)(拳銃もない。ワクチンもない。貴方以上に魅力的な餌はどこにもない。ならば貴方に残された選択肢は【逃げること】。)『ボクは美味しくないのでそのチョコレートでも食べててくださいお願いしますッッッツツツツ!!!』(貴方は彼の顔面目掛けて【袋を投げた】。パシッ………とそれは無造作にも当たり、カサリと地面それは落ちる。ゆっくりとした動きで拾い上げる彼。手に取ったのならばジィ、とそれを見やった後、少しばかり離れたあなたの背中に目を向けた。)『お帰りくださいお帰りくださいお帰りくださいいいいぃぃ!!!!』(…彼は、耳をピクリと動かし、口をきゅ、の閉じる。何を思ったのか、或いは何を考えているのか。全ては〝 反射〟なのだろうか。それは分かりゃしないが、きっとここで貴方が〝 背中を向ける〟のは、いずれにせよ得策じゃあ無かったのは言うまでもない。)(熊に出会った時。猛禽類に出会った時。肉食獣に出会った時。─────『理性のない愚者』に出会った時。〝背中を向けて走ってはならない 〟。サバイバル知識。その基本に沿うのなら。)「………………、………………」(タッ、……)(タッ、タッ、タッ、タッタッタッタッタッタッタッタッ………)(【⠀怪力3 】【⠀反射神経2 ⠀】【⠀直感2 ⠀】)(彼は袋を握りしめ、脚力に力を込めて貴方を追うように〝 走り出すでしょう〟。もしも、もしも貴方に追いついてしまったのならば。貴方が【追いつかれてしまった】のならば。彼は飛び上がり、貴方のことをもしかしたら押し倒してしまうかもしれない。何らかの抵抗、回避行動がなけりゃあ彼は、その時には下にいる貴方に跨って、ジィィィィ……………と見やる。)(嗚呼、きっと貴方はここで食べられてしまうんだ。無惨にも肉を散らばらせ、廊下でしばらく野ざらしになったあとゆっくりと『リビングデッド』になって行くんだ。まだ齢21、労基に訴える間もなく、貴方は理性なき『感染者』に──────……………)「…………………〝 ボク〟…………〝 ボク〟、…………………」「………………ォ、カエリ、……かえり、……………〝 おかえり〟。」(………………)(…──────〝 否〟。)(彼は何かぽつりぽつりと呟いている。動くものに反応したと言うよりは、『あなたの発した単語』に興味を示しているようだった。)「……………ぉ、かえり、………………………おかえり、…………」「……………〝チョコレーと 〟」( 仕切りに呟く単語。薄く液体の膜を張る目元。きゅう、と袋を握りしめ、あなたの上で小さくつぶやく。齢18アンデット。口枷が外れる気配はない。貴方が回避行動を行った場合は、言葉の内容こそ変わらないけれど、途中で立ち止まってしまうかもね。)


Michael(ミカちゃん)> 
「 ゔ、 っぁ!……………………………………」(ドッ、ドッ、ドッ、と。自身の心臓の音か床の音だか分からない、 唯然し、 追われているという事実は迫る風音とその他全身が否応なしに感知していた。 お帰りくださいとあう彼の声の響きだけが廊下に響き、チラリと後ろを一瞥した​─────── 反転。 一気に天井を向いた視界に、 その銀色が鈍く光った。その時にはもう、 勝敗は決まっていたも同然だ。大した筋力すらない彼に、 その大男を跳ね除ける力などは皆無。腹に跨られた羊にもう、力で抵抗する気は皆無である。 人VS何か。彼、 B級映画では最初の犠牲者になるタイプだった。嗚呼、こんな事ならと、思い返せば後悔ばかり。 嗚呼、それから、 家族への​。 ぎゅっ、と、強く、強く目を瞑った。​─────── …………が、しかし。 主張するのは頭部と打ち付けられた身軀の痛みのみ。 …… 薄く、 その長い睫毛に囲われた瞳を開いて。 ドアの隙間を覗くみたいに。 )「う、 ……………………?」(意外にも、溢れたのは間抜けな声だった。 スパイスを振られ皿に並べられ、それでも一向にナイフが入らないのだから、疑問に思うのは当然だろう。 狼のように凛々しく、鋭い瞳が浮かべたのが、寂寞なのか、郷愁なのか、果ては唯の生理現象だったのか。 阿呆な彼には分かるまい。 だがしかし、 それは一つの蜘蛛の糸。 一縷の希望に違いない。 袋を握り締めたのに、 果たしていくつの意味があったのだろう? 意味を見出すことにしか、 今現在の活路はなかった。 )「 ぉ、ッ………… おかえり …………? 」 (確かめるように反復する。 頭の中の疑問符は解消せず、 枷を掛けられた口元と君の瞳を 、 ベリーの瞳は行ったり来たり。 体感一時間、されど数分の出来事だった。 ああどうするか、と、 頭の中はグルグルと回り、脳味噌がバターになりそうだった。「 ちょ、チョコレートッッ! …………お、おいしいと、おもうよ! ボクなんかより、ほ、 ほら、 コドモは甘いものが好きだって、 言うだろ?ボクってば、ほら、甘くないし!! そ、その…………………兎に角、ほら、 チョコレート……… た、たべたい、の? …」 ( 〝チョコレート〟という単語、 それに果たしてどれだけの意味があったのか。 この場において、言葉というものの価値は曖昧で。 されど、その薄い糸に縋るしかない。兎にも角にも興味関心を示した事は確かであって、 彼は黒いポケットをゴソゴソと漁る。 ああ確か、 帰りに食べようと思っていくらか小分けのチョコレートをポケットに入れていた筈だ。…… ああ、ほら、あった。 ガチガチと震える指先で包み紙を開き、 そして、 そして………… )「 ………たべる、?チョコレート。 」   (2/1 22:46:35)


外@051> 
(蛇に睨まれたカエル。12匹の子ヤギに対するオオカミ。小動物と熊。例えればキリがないほどに、今の状況ってのは貴方にとっては【絶望的】だったろう。しかし、しかしだ。彼は貴方を捕食する気配がない。)『ぉ、ッ………… おかえり …………?』「……………ォ、…………………カエリ、」(それは反射だったのか。生前の微かな記憶の檻に閉じ込められた彼が懐かしく思う単語だったのか。貴方の言葉を復唱する彼は、貴方をその視界に収めたまま動かなかった。貴方はそれに見兼ねてか、動けないからこそ何か行動を起こさなければと思考したのか。震える薄い唇から、絞り出した言葉ってのは。)『ちょ、チョコレートッッ!』「………………………、……………………」『………たべる、?チョコレート。』『……お、おいしいと、おもうよ! ボクなんかより、ほ、 ほら、 コドモは甘いものが好きだって──────………』 (………正直、彼にはあまり言葉の意味は伝わっていないだろう。例えるならば『ちょ、チョコレート!■、おいしい■、●●☆□!■■☆☆●▲▼、■、■■、■☆●●▲▼■■好き■▲──────…』といった具合に。断片的に、本当に薄く意味が伝わる程度。B級映画のリビングデッドにしちゃ〝 やや頭が良い部類〟と考えても良い。それが不幸中の幸いだったか……)『………たべる、?チョコレート。 』「……………………〝 タベル〟。」(確かにここで会話が成立したように聞こえてしまうことでしょう。それがたとえ反射だとしても、それが例え貴方の言葉を真似ただけだったとしても、だ。チョコレートはなんなのか、震える指先で口元に近付ける様子は、野生動物のふれあいコーナー宜しくえさやりのよう。彼は口を開けて、それを咀嚼しようと……………)(…………する、………の、だけれど。)(〝 カツン〟。)「………………、………………」(〝 カツン 〟。)「………………………、…………」(アルマデルはしっかりしている。彼にこんなにも厳重な口輪を装着するだなんて。チョコレートはきっとこの隙間からじゃあ入らないし、届かない。彼は歯をカチカチと鳴らしたがてんでダメ。耳をへなぁ、とゆっくりと垂れさせ、煩わしそうに外そうとするけれど、勿論自分で力づくで外せちゃ意味もない。)「タベル、……………タベル、………………タベル…………………」(ぴすぴすと鼻を鳴らし、ポツポツと呟く言葉。涎が垂れる。お腹は空いている。あまりに切なそうに呟くそれはまるで子供がお預けでも食らったかのよう。もしかしたら貴方が枷を外せば、彼らチョコレートにありつけるかもしれないのだけれど………………)【▼枷を外しますか?】   (2/1 23:13:43)