木靴下@小鳥遊>
(名前と共に戒めの杭を打たれた。その身に軛を受けて生きてきた。)(恋をしてはならない。)(愛してはいけない。)(それは、己にとって毒になりうるから。)(そんな自分が。)(今日。)「(あああああああああああああああああああああっっっ!!!!!!!!どうしましょうどうしましょうッッ!!!!!!!服を選んでたら遅れちゃった!!!!!!小日向さんを待たせちゃうっっ!!!!!)」(──────────全力疾走していた。)(普段であればふんわりと飛んで簡単に移動できてしまう距離でも、徒歩となるとそれなりの距離になってしまうことを忘れていた。)(それに、貴方と出掛けるための服を選んでいたらこんなに遅くなってしまった。それだけじゃなくって、あんまりキツくない香水とか、爪や髪のケアだとか、お肌とか化粧とか。)(女の子ってお出かけだけでいっぱいいっぱい準備しなくちゃいけなくて。)(せっかくのお出かけなら、「ヒーロー」というお面は脱ぎたくて。貴方とのお出かけのために、態々可愛い靴を選んで。重りをつけてふわふわ飛んで行かないようにまでして。)(──────いっぱいいっぱい準備したのに、それなのに、遅れちゃったら申し訳ないわ。)(待ち合わせはもう少し先の、この角を曲がったところ。)(きっとボクより一足先に待っているであろう貴方に必死になって駆け寄る。)「ひ……は………はァ………ッ!………ご、ごめん、なさい……こ、小日向さ…………。ま、待ちましたか………??」(淡い茶色のワンピースに、クリーム色のニット。黒いブーツ。いつもの黄緑の羽の髪飾りは少し控えめに耳飾りにして。)(フローラルノート。淡い花の香りが彼女からふんわりと貴方の鼻をくすぐるでしょう。) (2/1 20:32:48)
小日向 啓之>
ぇぁ………っ!? ………大丈夫っすよ、俺もちょっと前に着いたとこなんで ( うわデートっpとか邪な思考は早くに頭から打ち消した。それでも出掛けませんかと問われた日から答えるまで、そして答えた日から今日までずっと心拍数は上がりっぱなしで、曲がり角から現れた貴女の姿を見た途端に元から多いのが倍になったのは云うまでもない。普段の支部内での格好と違って露出は少なく、街中ですれ違っていれば10人中10人が思わず見惚れているだろう女の子。そんな子が、一生懸命息を切らして此方へと駆け寄ってきているのだから、声が裏返ってしまったのも一瞬後退りしかけたのも必然だった。心拍数の上がりすぎで倒れてしまったり、しかけた足を必死で食い止めただけでも褒められたいまである。息を切らした貴女に小走りで近寄り、背を擦るか一瞬悩み、ふんわりと近付いたことで香った甘い香りに挙動不審になり………、背中を擦れなかったのは、いやいや勝手に触れるのはどうよという自制心を建前に、単純に女の子に触れることにひよったからである。開始数分でキャパオーバー、正直帰りたい。今日に到るまで何度友人に泣きついたことか。服装だって普段と違って、薄青のトレーナーに紺のダウンジャケット、スキニージーンズにブーツは変わらずではあるが、それなりの格好。しかし貴女の隣に立つには、色々な面が劣っている気がしてならず、さりとて帰りましょうかとか言えるわけもない。『 ……ほんとに、遅刻したわけでもないんすし、大丈夫っすよ。深呼吸して、あ"ー……必要だったら、水とか買ってくるんで 』 (2/1 21:37:14)
木靴下@小鳥遊>
(今日はちゃんと地に足をつけているけれど、重力を感じないふわふわとした淡い笑みはいつもと変わらなくて。彼女は人懐っこくって甘い顔ではにかんだ。)(急いできたから走って乱れた髪を手櫛で直して。崩れたスカートを整えて。)(「これでよしッ」って一呼吸おいて。)「えへへ、だいじょーぶですっ!遅れてごめんなさい。」「小日向さん、今日はいつもと雰囲気が違いますね。……とっても素敵ですっ!ドキドキしちゃう。」(ふわふわ。)(今日は浮かんでいないけれど、相変わらずその雰囲気は軽くて負荷を感じない。)(その言葉だって真意はわからない。いつものように吹き飛んでしまうほど軽い言葉なのか、それともその軛みたいに重くてキツい「呪い」なのか。)「ボク、男の人とお出かけするのって初めてで、どこにいったら喜ばれるのかいっぱい考えたんですけれど、」「小日向さんは甘いものって得意ですか?」(男の人ってどんな場所が喜ぶんでしょうって結構いっぱい考えたりしたのだけれど、小鳥遊にはそれがうまく想像できなくて。)「あ!もちろん!このお店、パスタが美味しいって有名なんですけど…!…今だったら二人で行くとデザートがおまけしてもらえるらしくって!」(もし貴方が甘いものが苦手だったら、なんて考えてついつい予防線を張ってしまうのは、貴方にこのお出かけを楽しんで欲しいからかしら。)(いつもは手癖でいじる髪も今日は三つ編みで後ろにまとめて結んでしまっているから、彼女は両の指先を少し絡ませて、少しもじもじと言い籠もるように続けた。) (2/1 22:10:19)
小日向 啓之>
、ぁ、ざっす ( 平常心、平常心。素数を数えて、変に意識してしまわないように。けれど言われなれない言葉の数々に呼吸は止まり、つんのめってしまった声が転ばないように口を動かした。大丈夫、ドキドキとは言っても、きっとこの男ほど意識してしまっているわけでも「ボク、男の人とお出かけするのって初めてで、」、「どこにいったら喜ばれるのかいっぱい考えたんですけれど、」これは深く考えれば考えるほどに深みにハマるやつ。そして男は臆病故に深く考えてしまいがちで、言ってしまえば滅法相性が悪かった。服装に、出掛ける場所に、1つ1つに頭を悩ませて、此処ならどうだろうと一喜一憂して、そうして今日勇気を出して口にした、そんな姿が可愛らしくない訳がなく。心臓を押さえて踞ってしまいたかったが、そんな奇行だって許される訳がない。『 …………小鳥遊さんも、今日の格好すげぇ可愛いっすよ。甘いものも大好きな方なんで、いっぱい考えてもらえてすげぇ嬉しいっすし、…小鳥遊さんの気に入った所なら、それだけで俺もその場所が好きなんで、 』結果として、一周回ってとてつもなく冷静になった。いや寧ろこれは冷静さ基思考の全てを失ったからか。さらりと口にした言葉は平常時であればけして口にすることはないだろう。嘘偽りはいっさいないが、どれもこれもが恥ずかしすぎて。だから、あんま緊張しなくても大丈夫っすよ、なんて、そんな言葉が続きそうなニュアンスで、ゆるりと一歩踏み出した。) (2/1 22:53:04)
木靴下@小鳥遊>
(『…………小鳥遊さんも、今日の格好すげぇ可愛いっすよ。』)「ぽひょ………。」(変な声が出た。)(あんまりにも情けなくて、不意を打たれたおかしな声。)(貴方の返した言葉に小鳥遊はピクリとも動かなくなってしまった。)(だけれど。)(次第に、その頬や耳は赤く、深紅の薔薇みたいに色づいて──────────。)「ぁう、ぇ……えぇう………うぅぅぅ…ッッ!?!?!?」(今度は声にならない悲鳴と共に空中に〝飛び上がった〟。)(とは言っても、今日はお出かけのためにきちんと靴に重りを入れてきたんです。だから体はいつものようにふんわり浮き上がることはなくって。彼女はきちんと規則正しく地面へと足をついた。)(彼女はしばらく聞き取るのが困難な言葉をゴニョゴニョと続けて、真っ赤になった顔を両手で押さえて、金色の瞳をぐるぐると渦巻かせた。)「も、もうっ!!歳上を揶揄うんじゃありませんっ!!」(必死に考えて出た反撃はそれくらいなもので。)(真っ赤な顔と早まる心臓、一抹の不安をふわり抱えながら、彼女は貴方と歩幅を合わせるように一歩踏み出した。)「あそこのお店、いつも香りが良くてとっても綺麗なお花を売ってるんです。」「あ!あのお店の石鹸、とっても肌にいいんですよう!よかったら今度お暇があった時寄って見てくださいっ!」「今日は選びませんでしたけれど、ここを右に行くと、レトロな喫茶店があって──────。」(所々、彼女はよそ見をしながら、ぽつぽつと街に並ぶ店について貴方に解説するように伝えることでしょうね。)(特に、〝石鹸〟とかは。貴方の手が荒れているのを見て少し気にしちゃったのかしら。)「ぁ。」(そうそう。今日ここにきたのは貴方に何も街並みの店を紹介するためじゃなくてね。)(彼女は小さく声をあげて、向いた方に視線を止めるでしょう。)(ワインレッドの屋根に、真っ黒なレンガの壁がとっても特徴的な店。店前のプランターには見事な真っ赤な薔薇が咲いていることでしょう。水をあげたばかりなのか、その花弁はキラキラとした水滴で飾られていた。)「ここです!……ここ、なんですけど。」(彼女が小さくなって声をあげてしまったのはお店についたことじゃあなくて。)(お店についた時、いやでも目についた人の量だ。目に見えてわかるほど、人が並んでいる。店員らしき青髪の青年が「並んでくださいー!」なんて最後尾の看板を持っていて。)「(ど、どうしましよう…っ!?前来た時はこんなに人はいなかったのに!!)」(予想外のことは付き物だ。こんなことになるならきちんと予約でも取っていればよかったのに、それをしなかったのは貴方が何が好きかわからなくていつでも行き先を変えられるようになんて保険をかけたからかしら。)「……あ、あはは……。こ、これじゃあ…お昼過ぎちゃいます…ね。」(笑い事では決してないのだけど。)(小鳥遊の目にはあからさまに困惑が浮かんでいるでしょう。えぇ。せっかく誘って、予定した先まで自分で決めたのに、こんな風に貴方を待たせてしまうんじゃあせっかくお出かけした意味が…なんて。)(彼女はちょっとだけ涙目になりながら、どうしよう、どうしようって頭を巡らせるんだ。) (2/1 23:41:59)
小日向 啓之>
わっ、ちょ、だ、大丈夫っすか………!? ( 飛び上がった貴女に男の瞳はまん丸く、すとん、と綺麗に着地したことに安堵して。男が妙に冷静なのは、我に帰れば貴女と同じかそれ以上の羞恥心に悶えかねないから、1種の現実逃避だった。それでこのような事態を引き起こすなら正気に戻った方がましな気もするが、戻ったら戻ったで、今度は男の方が天に昇りかねないだろう。勿論、文字通りの意味で。『 す、すんません………? 』揶揄いではないが為に、貴女の怒る意味はよく分からずに。頬を掻いて不思議そうに謝る男が、帰ってから言動を振り返って悶えたのは言うまでもない。『 小鳥遊さんは、自分でもお花を育てたりとかってするんすか? 』『 へぇ………俺一人じゃ絶対行こうとしなかったタイプのお店っすね…、………折角なんで、行ってみるっす。 』『 小鳥遊さん、街の事に詳しいっすよねぇ…。やっぱ、休みの日とかこうしてよく出掛けるんすか? 』歩幅を合わせて、貴女の解説に時折足を止めて。1つ1つに男は頷いて興味深そうに言葉を返す。ああ、だからこうも肌が………とか、再び脳裏を過りかけた邪念は振り払って。 テンポも良く、ハキハキと話す貴女の声は随分と耳に心地好かった。貴女の話し声が小さな呟きを最後にふ、と止まって、目線の先にはお店が1軒。まるで童話の中に出てくる洋食店のような、幼い夢の詰まったようなそのお店は列が出来ていて、だいぶ賑わっているようだった。唯一不味かったことといえば、……そのお店が貴女の目的地であったことか。困惑は目に見えていて、そういったときのどうしようと焦る気持ちは手に取るように察することが出来た。並ぶか、並ばないか。並ぶことは別段構わなかった。貴女と二人であれば、待ち時間も苦ではないだろうと思えたからだ。けれど、ふとした拍子に待たせてしまったことを貴女が気にして、こんな風に貴女の表情が曇ってしまうのは嫌だった。『 ………小鳥遊さん、 』『 このお店に来んのはまた今度にして、……今日は、俺の好きな店を紹介しても良いっすか? 』本当に恐る恐るのおっかなびっくり、けれどその全てを内心に納めて、手には震えなんて出さないようにして、ちょこん、と、一寸だけ、指先の先だけ男は貴女の手を取って、小さな子にするみたいに少しだけ屈んで目線を合わせた。また今度、そのワードに嫌悪感を抱かれないかは1つの賭けで、外れれば一生立ち直れる気はしない。それでもなんとか、『 あー"…………俺も、あんま女の子と出掛けたこととかないんで、予定立てたりとか上手く出来る気はしないし、小鳥遊さんの好みに合うかは分かんないんすけど……なんつーか、一緒に出掛けてるんすから、一緒に、こういうアクシデントとかも楽しんだり、…どうしようってなったら、こんな俺っすけど、頼ってくれても良いんじゃねぇかな、とか、 』意味のない時間だって、存在はしているわけで。貴女とならそういう時間だって多分楽しくて、何もなくとも居心地の良い時間には代わりなくって、そういう思いが伝われば良いななんて思うんだ。緊張してリードすることなんて出来やしないヘタレではあるけれど、『 ……ど、どう、すかね、 』 (2/2 00:33:53)
木靴下@小鳥遊>
(どうしよう。どうしよう。どうしよう。)(頭によぎるのはそればかり。そんなことを考えるなら少しくらい別の案を考えてみても良いものなのに、のぼけた頭じゃあなんにも浮かんでくれない。)(ただでさえ、人とお出かけするのは慣れてなくって、異性とお出かけなんて初めてで。こう言った失敗にだって、彼女は〝疎く〟って。)『小鳥遊さん、』「ッ……はい!」(ダメ。貴方が隣にいるんだから。年上なんだから。誘った側なんだから。ちゃんとしなくちゃ。)(ちゃんと。)(大丈夫って伝えなきゃ。)『このお店に来んのはまた今度にして、……今日は、俺の好きな店を紹介しても良いっすか?』「…………ほぇ…?」(思ってもみない提案だった。)(だってほら、貴方。…言っちゃあ悪いけど、あんまり自分に自信てものがなさそうで。控えめだから、多分そう言った提案も苦手なんだって。…ちょっとだけ思ってた節はあってさ。)(だから予想外で、彼女はぽかんと口を開けたまま止まっちまうだろうね。)(続けられる言葉はやっぱりどことなく、自信なさげで、傷付かないための予防を貼った発言だったけれど。)『……ど、どう、すかね、』(一寸。)(ほんの少し、指先だけ触れた貴方の手を、彼女は両手で包んで自分の方へと引っ張るんだ。)「……………………………小日向さん。」(一声。)(真のある、凛とした声は、真っ直ぐ貴方を見つめたその黄金の視線と共に送られるだろう。)「…………とっても素敵な考えです。」「……でも少しだけ、訂正させて。」(彼女は貴方の意図を汲んでくれただろうか。自分といて心地が良いって貴方が思っていることがちゃんと伝わってるだろうか。)(…もしそうじゃなくても、これだけは伝えさせて。)「………〝貴方はとっても素敵な人〟です。…だから、〝こんな俺〟なんて、寂しい言葉使わないでください。」「……ダメでしょうか?」(無理意地はしたくないから。)(だけどどうか、貴方がとっても素敵な人だってことはちゃんと伝わって欲しいから。)(どうか、貴方に、自信を持って欲しいの。) (2/2 23:43:16)