外@助六>
(アルマデル第8支部指定区域にて。瓶に詰まった監視カメラのあるこの場所で、彼は服の裾に手を入れながら肩を竦めて溜息をついていた。)(事の発端は数分前のことである。)(仮にも『便利屋』を名乗るからこそ、『雑用』を任せようとでも思ったのか。それとも彼が『物質やら薬学系の知識に長けていること』を買って、より詳しく調査しろ、という話だったのか。たまたまそこに居合わせた貴方と共に、『丁度いいや』とまとめて上司に1つ言われたのは、『味付け海苔の調査』である。奇しくも長いものには巻かれるタイプ、『守銭奴』である共通点を持ち合わせる彼らは初対面だろうと顔見知りだろうと、もしかしたら息ぴったりに「えェ~~~???????いやァ、…いかに人体に支障はないと言え、カミサマなんでしょう?〝タダ 〟でってのはちぃーーーーッッッッとばかし、虫が良すぎるんじゃあないですかィ?」だなんて、意地汚く値切っていたかもしれない……いや、貴方はお利口さんに黙っていたかもしれないのだけれど。)(さあ、回想はここまで。パイプ椅子に深く腰掛け、口を開いたのは彼の方だった。炊きたてのご飯の匂いが室内に立ち込める。)「……………………………──────とォ、快く了承したはいいモノのォォ……………」「………………アタシも暇じゃねンでさァ………………お宅もそう思いません?下っ端だからってこき使ってくれちゃって!!!!いやまあ、貰えるもんは貰えるからいいンですがァ……昼飯も食ってねえし………………あーーーーッ、……ぇぇぇーーーーっとォォ……………………名前は確かァ……………マルヒト、の嬢ちゃんでいいんですよねィ…………………?新入職員さん………………なんでしたっけェ、……へへ、最近『人の入れ替わり』も激しくて覚えんのも一苦労。」「………………お宅、好きな食べ物とかありやすかィ?」(カラカラと乾いた下駄のように笑みを零す彼。彼は、知らないのだろう。貴方が〝 誰のクローン〟なのか。この味付け海苔のお話は、貴方が生まれて間もない、『例の事件』が起こった次の日という認識でも構わない。) (2/4 13:10:31)
敗北@01>
『……それこそ、昼飯。食ってないから呼ばれたんじゃねーの?私らはさ。』ぐう、とお腹の鳴る音を鳴らしながら、それこそご飯を食べたばっかりでして……とかなんとか言っておけば、ぶつくさ言うような目にあうことだってなく、少なからず今こき使われたりしないんじゃないのか。と、文がどうやって組み上がっていくのかのつなぎ目を理解出来ていないような、途切れ途切れ単語を並べたような口調で、無表情で首を傾げる。『私はお腹すいているから、ここで一食分チャラにしたら大丈Vってワケ。好きな食べ物……か、なんでもいいよ、お腹に入るならさ。でも、あまりに不味いやつはやだ。ラズベリー味とか、プリン味とかにしたら……殺す。』いい名前を貰ったものだなあ、とやはり思う。一人目にアルマデルに着いたから一號。01。簡単だしわかりやすい。それなのに、名乗るとなると一から説明なのはバランスをとってなのだろうか。『新入生というか、最近死んだ第……02、か。その小隊長の能力で生まれたクローン。1番にアルマ出るに着いたから一號。で、識別称みたいにまるひと、って言われてる。由来は01(ゼロイチ)から。』『お兄さんがなんか、付けてくれてもいいよ。興味無いし。』ただし、別に何か他の名前を貰うのも吝かではなかった。それから、言いにくそうに目を伏せて___黒駒____一拍、間を置いてから。『ねぇ、君。質問があるんだけどさ。金のためなら結構危ない橋とか、渡れる人?具体的には、カミサマの相手とかできる人_____?』赤いカラーコンタクトを入れた瞳が、それが偽物の光だとは思えないくらいに生臭く、絖るように燐光した。 (2/4 13:32:27)
外@助六>
「……………ン、ン゛ンン、んなもん誰がッ!!!アタシだって折角食うなら美味しいもん食いたいに決まってますしィィィッ?!?なんですその、ラズベリーとかプリンってェェ………………」(うげえ、趣味が悪いのなんのって。いいやそれよりも『殺す』という単語にびくついているのか、冷や汗を垂らしながら『絶対にやらない』とここで誓った。彼はなんせ『小心者』だ。)(打って変わった貴方は何かを模倣するように無機質に、拙く言の葉を紡いで赤目を伏せている。どうやら貴方は新入生ではなく『クローン』。誰かをデータベースとして存続させられているコピーペーストと言ってもいい。しかし目前にいる貴方を、彼はどうにもそうとは割り切れないらしく 〝はぁ 〟と生返事をするしか無かった。だって彼は『まだ知らない』のだ。貴方ベース……第2小隊の人がどんな人で、何があったのかを。『まだ知らない段階』なのだから。否、知っていたとしてもその認識ができるかと言えればそれは定かじゃあないのだけれど。貴方は薄い唇から言葉を紡ぐ。)『お兄さんがなんか、付けてくれてもいいよ。興味無いし。』「…………………………………え、ええぇ????あ、アタシがァ……………………????いやァ、そんな名付け親だなんて、…………………………」(彼はあなたとは打って変わって、またも困ったように項垂れた。返答をどうしようかと思考する中、誤魔化すようにたちあがる彼は、貴方に言葉を続ける。)「まあでも今はとりあえず飯にしましょ!!!冷めちまいやすし、それからゆっくり考えるでもいいじゃねっすか。やっぱ王道は塩むすび、炊き込みご飯、混ぜご飯に焼きおにぎりィ、嗚呼それと──────…………」『ねぇ、君。』(彼は、しゃもじを手に取りお椀を右手に白米をよそおうとすることでしょう。琵琶法師さながら謳うように舌が回る様子に、終止符を打ったのは貴方だ。水面に絵の具の一滴が零されるよう、そこからじわりと滲んで行くように。赤目はこちらを見据えている。)『金のためなら結構危ない橋とか、渡れる人?具体的には、カミサマの相手とかできる人_____?」「………………………………………………あァ~~~~~………………」「………………へへっ、なんでィ、急にさ。そんなこと聞いちまってェ。ンなもン、…………………………」「…………………、ンなもん………………………」「……………………………………」「………………………………………」「………………アタシとって『金』ってのはァ、『選択肢』を増やすことなんでさ。『金』さえありゃ〝 人の世 〟ならば基本的にゃあなんでも出来る。『金』さえありゃあ飢えることもねえし人生が豊かにになる。『金』さえありゃあ、……………………」「……………まあ、そうさなァ……………」「………………………じゃあ、逆にお宅はどんなんでィ?金積まれりゃ、危ない橋は渡れちまいやすかィ?」「どうして守銭奴を貫こうと……………………?」(彼は止めて居た手をゆっくりとまた進め始め、ご飯をよそう。彼は曖昧な返答だった。正直はっきりとした返答を返すのは難しいと思う。だから逆に彼は聞いた。貴方はどうなのかと。味付け海苔の袋をピリ、と開ける音は静かに辺りに響いた。) (2/4 14:38:09)
敗北@01>
『私は____生きていたいだけ。生きるために金銭は必要だ、それは間違いない。それを誰かが恵んでくれたりすることはなくて、より大量に得なきゃいけないなら……自分の持ち分だけでも、誰かにとられるわけにはいかない。やるしかない。』『お兄さんの理由こそ____【それだけ】なのかな。』大義も過去も、生まれてから数日もないような命にはない。だからこそ、ただ生きていたいだけなのだと。それ以外には金を集める理由も、言外には危険を犯す理由もないし、反対に言ったら単に暮らしていくだけのために今立ちはだかっている障害が、かなり危険であるということでもあり。『食事(これ)もそう、生きてくために必要なものなんだから……当たり前じゃん。』味付け海苔を使い、チャーハンや天津飯、カツ丼。などなど当たり障りのないというか、だいたい察しがつくようなものを食べていく。そう悪くは無いな、と頷きながら。『……藍(あのひと)が持ち出した実家の財産。多分、私たちの年収の二、三倍くらいはあると思うんだ。だから____話だけでも聞いてくれない?お兄さん。』『これは、君たちにも必ずしも利がない訳じゃない。第01小隊小隊長、雨晴 高良さん、と言ったかな。君たちの支部の最終兵器としてカミサマになり殉職した。とレポートには、私は書いたけどね……。これがもし、今「生きていたり」したら____大変でしょ。』 (2/4 14:57:15)
外@助六>
(生きるためには金がいる。そりゃそうだ。なんの反論の余地もない。反論する気にもならない。なぜならば共感できるから。貴方の言っていることは至極真っ当で、筋が通っている。けれど何故だろう、その赤目が産まれたての赤ん坊よりも澄んでいるはずなのに、どこか澱んでいる矛盾を孕んでいるように、感じるのは。彼はゆっくりと目を逸らし、椅子に座り直す。貴方と似たような思考回路の中に、貴方とは違う何かを抱えた彼の根源は。)「………………………………………〝 妹〟が、居るんで。」(一言で表せた。【それだけの理由】だ。もしかしたら妹の生活費を賄うためかもしれない。或いは、………………………)(それでも彼は多くは語らず、頂きますと手を合わせる。味付け海苔の味は馴染みある【混ぜご飯】。口に運べば鼻腔をくすぐる和食の匂い。美味しいはず、美味しいはずだ。)(だけれど。)『藍(あのひと)が持ち出した実家の財産。多分、私たちの年収の二、三倍くらいはあると思うんだ。だから____話だけでも聞いてくれない?お兄さん。』『これは、君たちにも必ずしも利がない訳じゃない。第01小隊小隊長、雨晴 高良さん、と言ったかな。君たちの支部の最終兵器としてカミサマになり殉職した。とレポートには、私は書いたけどね……。これがもし、今「生きていたり」したら____大変でしょ。』 「……………………………………………………」(彼は、咀嚼した物質を飲み込んだ。)「………………………………、アタシは。」「………………アルマデルの小隊の〝 どこにも属していない〟、ペーペーで、………………ただ『妖怪』であるからと管理下に置かれた下っ端でさ。」「…………………………………………その金注ぎ込んで、アタシに〝 どうにかしてこい〟って話ならお門違いだってのは先に言っておきやす。……………………………権利も誇りもねェアタシに……まさかそんな。」「嗚呼いや、アタシに話してもいい内容なら飯を食いながらでも聞きやすが…………………………」 (2/4 15:18:26)
敗北@01>
『妹さん、ね。大事にしなよ……。』心からの言葉だった。何か大したことを言う訳では無いし、いちいち「良いこと」は言わないけれど。食事をする箸を一時止めて、彼の目を見て頷いた。それだけで、本心を話すには十分だと思うのだ。『お兄さんには何の権利がなくて、何の誇りがないの。お兄さんだけはなんで、他の局員と違うの。』縋り付くような甘えた言葉ではなく、切りつけるような要求だった。糾弾だった。『妖怪だから入った。私も一緒、能力で生み出されちゃったから保護された。』能力がないことと、能力がないから動かない人のままでいることは違うと。『だけど___妖怪だから入ったことと """"妖怪だからって意味無く、無理やり働いてるだけの人でいること"""" は違うんじゃないの。』言葉の引き金を引きっぱなしにする。心の銃身が焼き切れるほどに。『なれよ、ヒーローに。立てよ。ヒーローとして。報酬は用意したし、名誉も栄光もある。なんせ、雨晴サンがカミサマとしていくら再生をしてても、藍(あのひと)に頭を割られてる。そう長くはない。勝算だって、ある_____あのカミサマの能力、私はみんな見てきたんだから。』『勝てば大金、勝てば支部からの評価だって上がるだろ、勝てば単なる【妖怪なだけ】は終わり!!』『勝つんだよ、そろそろさ。』『私の頼みを今日断ってもいい。でも、でも!!お兄さんが【次やればいい】って思ったり【本当に大事な時には】って思ってたその【次】は【今】なんだよ。』 (2/4 15:37:49)
外@助六>
「…………………………………………つまりィ。」『報酬やるから雨晴隊長の生死の確認』及び、生きていたら『報告をした上で処分しろ』ってェ、……………………………………アタシに言ってんですかィ?」(彼は 貴方に1つ問いかけた。『ヒーロー』『名誉』『栄光』。何とも煌びやかで魅力的で、眩しい…………〝眩しすぎる言葉の羅列 〟。一攫千金だった。彼はお金が大好きだ。彼さえあればなんでも出来る。仏の沙汰も金次第。阿弥陀の沙汰も金次第。あればあるだけ都合がいいし、自分のように弱い奴は『金よりも大事なものを紡ぎ、守るために金が必要』なのだ。)「…………………………、………………」(彼はゆっくりと箸を置く。感情は、帽子の鍔で影がかってしまった目元からじゃあ読み取るのは難しい。だから彼はゆっくりと問い掛ける。)「……………………………1つ聞きてェことがある。雨晴隊長が最終兵器を使った。よっぽどのことがあったんだろゥ。……………………………それは良い、が。」「………………………………その雨晴隊長が仮に『生きている』として、……………〝 カミサマ 〟ではなかった場合。」「……………………〝お仲間さん 〟であるお宅が何をどうして─────……………………………………」「……………………………………………………いや、いい。」「やっぱり、〝 なんでもない〟。アタシ、聞かなかったことにします。どんなに金を積まれても、『命をかけるぐらいなら』アタシはただの〝 妖怪 〟でいい。」(『ライセンス︰警戒』…………彼は『詮索』をしなかった。1歩下がった。貴方が話し出す前に『辞めた』。後戻りができるうちに。)「アタシにはな、……………………………………妹がいる。アンタが言うように『大切』にしなくちゃ行けねえ妹だ。」「………………………………【もう二度と目が覚めない】と分かっていても、………………体温があって脈もある。生きなくちゃいけねえ理由がある訳で、……………………………それに、雨晴隊長は元は人間なんでしょう…………………………」「……………………………………………………妹に泣かれちまいます。〝 お兄ちゃんは〝 人 〟を殺したお金を使うの〟って。……………………アタシ妹の前では、……………………妹にとって『いい兄貴』でいたくって。」(彼はいくじのない人間だ。守銭奴を名乗るくせに死ぬのが怖い。死にたくない、〝 生きたい〟。生きなくちゃいけない〝理由 〟がある。彼は何かを故意的に傷つけたことなんか1度たりともなかった。拳銃は手が震え、死体を見れば嗚咽を零してゲロを吐くような小心者だ。そんな彼に『ヒーロー』なんて都合のいい言葉は眩し過ぎる。) (じゃなけりゃ下っ端でこんなことはしちゃいない。それに貴方はきっと『妹』は生きていると考えてるんでしょう。でも、違う。違うんだ。確かに生きてはいるのだけど、『もう笑いかけてくれることは無い』。延命措置で生きながらえている言わば『植物人間』だ。今も、今も、ずーーーーーっと。自分が死んだら誰が見舞いに行き、『殺した方が妹のため』だと見切りをつけている周り『金は自分で払うから』と見栄を切り、いつか目が覚めるかもしれないと誰より信じ失敗し続ける薬を尚も毎日調合するのか。)「…………………………………………」「……………………………………でも、何がどうあれお宅が『生きたい』ってのは、………………………重々承知です。理由は知りやせんが、………………」「……………………………………」「……………………………………ね、生きるにはやっぱり『名前』が居るでしょう。」「…………………………な、なのでその、……………………」「………………………………………………アタシ思ったんです。クローンだかなんだか知らねえが、………………………………もしも、その、『誰か』から『名前』貰ったら、……………………元の人間じゃあなく、その名前の『自分』として生きるのは、悪かねえんじゃねえかって。」「………………………………お宅の〝 ヒーロー〟になれやしない、ただの『妖怪』が手向けてやれる名前はねえけど、……………………………………………………でももしも納得出来る『アタシ』になったその時にゃあ、お宅の話もちゃんと真っ向から聞いて、それで、…………………………名前の、方を……………………………………」「ああ、いや!!!!!いやァ、その!!!!!!全然ほかの人につけてもらっちまっても構わねんですがッッッッ……………………………………」「………………………………──────どう、でしょうか、アタシもこうやって飯を食った中だ。『生きたい』と言われてる手前、························アタシも『死んで欲しい』だなんて、思えなくて。」(彼はゆっくりと様子を伺った。 嗚呼多分見切られてしまうんだろうな、とは思う。だって情けないもの。臆病なんだもの。でも、でもやっぱり放っておけなかった、てのはわがままで。知らん顔でここから出るのも難しくて、………………まだ『貴方達の事情』がわかっていない彼は、産まれたての貴方に拙く提案してみるんです。)「……………………………………あーーーー……………………つか、飯、食い終わりましたね……………………………………美味しかったっすねェ……………………」(話、逸らそうとしてるけど。) (2/4 16:27:42)
敗北@01>
『……合ってる。私の本体である布瑠部 藍は、君たちの裏切り者で、雨晴 高良を殺害しようとした。私はアークとしての任務を果たすためにアルマデルに帰りついた……。』袖を引く少女のようだった。毅然と、淡々と。詳しい経緯を口にしている。先程彼を試すように口にした言葉の何倍も、感情の動態を隠せているはずなのに。『命令は藍(ほんたい)のように生きていく、こと。真似をして、それに近い振る舞いをとること。中途半端で抽象的な命令だから、いつまでもは持たないと……思う。』変わらずに、怒る顔や笑い顔を今ひとつ知らないとでも言うような、無表情なままだというのに。きっと彼は普通の人なんだと思う。精一杯の話をしているんだとも思う。下手な話は聞きたくない、込み入った願いは知りたくない。そうだと思う____自分でも。けれど。『雨晴(あのひと)だって命懸けだった。勝負に勝って試合に負ける、なんてことをやりたいと思う理由がある?』「『誰か』から『名前』貰ったら、……………………元の人間じゃあなく、その名前の『自分』として生きるのは、悪かねえんじゃねえか」そんなことを言われたら。嘘も計算もつかなかった。知りたくない事なんだ。他の人を頼るべきなんだ。そう分かっても、だ……。『今カミサマとして意識を失っている彼は___「私」を標的にしてる。勝手に産み出されて、勝手に同じ姿にされ、て……。勝手に命令されたばっかりに、今、勝手に命を狙われてるんだよ、私。』みんな正直に、いつの間にか話してしまっていた。『そんなままじゃ、終われない。まだ、止まれない。』『だから_____私に。これから生きていけるように。このお話を終わらせて。そして……名前を、付けて。』 (2/4 16:47:08)
外@助六>
『……合ってる。私の本体である布瑠部 藍は。』「…………いや、待ってくれ。」『君たちの。』「……だから、だからアタシは話されても何できないってェ──────ッッ……………………………………」『裏切り者で、〝 雨晴 高良 〟を殺害しようとした。』「…………………………ッ゛、……………………………な、ン、……………………………」(ふと、淡々と話し始めた貴方を確かに彼は止めようとしていたはずだった。でも貴方は止まらない。無駄に勘のいい彼が引き金を引いてしまった。貴方の紐を〝解いてしまった 〟。奥歯を噛み締める。どうして話した、〝 なんで話やがった 〟。こんなのは気概のいい、もっと度胸のある他の、誰かの、キラキラとした【ヒーロー】がやるべきことじゃないか。知らなければ、関わらなければ背負う責任はどこにもなくなるはずだった。蓋を開けてみればこれだ。貴方は勝手に産み落とされたクローン。)(既存物をなぞれと命じられたけれど、その根源は純粋に『生きたい』のだと。怖いのだと。お金をかき集めるのも、淡々と飯を食うのだって、『生きるため』だと先程、どうしてあんな顔で呟いていたかようやく意味がわかった。)『今カミサマとして意識を失っている彼は___「私」を標的にしてる。勝手に産み出されて、勝手に同じ姿にされ、て……。勝手に命令されたばっかりに、今、勝手に命を狙われてるんだよ、私。』『そんなままじゃ、終われない。まだ、止まれない。』『だから_____私に。これから生きていけるように。このお話を終わらせて。そして……名前を、付けて。』「…………………………………、はは、……………へへ、……………」「………………………〝冗談〟だってェ、…………………………言ってくださいよォォォ………………」「……………………………だから、だから言ったじゃねっすかィ。なんでアタシなんだって、だってほら!!!見てくださいよアタシ威厳もクソもない、ヒーローの真逆を突っ切るような男でッッッッ……………………………………」「ですからァァァッッッッ…………………………」「……………………………………ッ、……………………」「………………」「…………………………………………、」「……………………………………じ、かんを、………………………………〝 時間〟を、ください…………………………すいやせん……………………ッ、……………………すいやせん………………」(……………………)(彼は、小さな声で貴方に謝って、後退りをして、逃げるようにこの場から立ち去ってしまった。嗚呼クソッタレ、どうしてくれるんだ。〝 知ってしまった〟じゃあないか。軽い気持ちでご飯食べようと思ったらまさか、こんなことになるなんて。)(……………そして。寄りにもよって。)(…………………………この後、〝マルス 〟から話しかけられるのは、また別のお話。)〆 (2/4 17:11:52)