白雪&Dr.ダン

白雪 > 
「随分と雰囲気が変わったようね」呼び出された部屋に入り、貴方に声をかけた。それは後ろ姿だろうか、こちらを向いているだろうか。なんだか眩しくてよくわからなかった。ホテルの一室に呼び出すなんてのは口説きの常套句のはずだけれど、生憎貴方とワンナイトをするような接点などいままでなかったはずだ。どういうつもりなのか、まずは貴方の言葉を待つとしよう。警戒しながら、後ろ手で扉の鍵を閉めた。>だんおじ (2/11 01:10:01)


Dr.ダン・D > 
「………イヌガミトウマ、殺されたってな。」(最近は禁煙がどうとか分煙がどうとか、煙草が吸える場所もかなり限られている。高級ホテルが故に此処は該当しないようだ。幸いなことに。窓を全開にしながら出窓の淵に胡坐を掻いて彼はそう話を切り出す。)「鴨葱乙里も殺された。」「………俺の仕事は今も昔も司法解剖医の真似事だ。医療に関わる者は、……内科だろうが外科だろうが、問診の際に患者の一挙手一投足を診て居る。腹が痛ぇ頭が痛ぇを一々CTやら放射線やらに回してちゃキリがねえからな。一種の心理学に近い手法を用いて症状を診ているんだが、………まあ、つまり、ダルいのは無しで行こう。……アンタは、【どっち】だ?」(その言葉は嘘偽りは抜きにしてどちらに所属しているかを尋ねていた。司法解剖医出身の人間はそう多くない、人智を超えるほどの医療知識となれば猶更の事。ならば彼は当然、イヌガミの遺体も、鴨葱の遺体も、そして、【君】の遺体も診ている。だからこそ、仮面狩りの矛先は君に向く。)「アンタの身体に有った弾創、施条痕は間違い無く円澪の腔線と一致していた。 ………どうして生きているアンタと、死んだアンタが居るんだ?」 (2/11 01:29:33)


白雪 > 
貴方の言葉を聞き終わった彼女は、酷く気怠げに俯き髪をかきあげながら額を抑えた。言わんとしている事はわかる。自分にARKスパイの疑いが掛かっているのだ。そして、貴方が彼女へ辿り着いた理由は彼女の意図したものと少し違うとは言えど、そんな状況を望んで作り出していたのは他ならぬ彼女自身だ。狗咬当馬も居ない今、まるで意味のなくなってしまった『仮面』がこんな形で首を絞めてくるなんて、因果応報としか言いようがない。『ダルいのは抜きで行こう』と言う言葉が、鉛のようにずっしりとのしかかる。あぁ、本当にその通りだと……言い訳をする気力も、もう何もかもなかった。「ARKの職員か、そうでないかってことね。実にタイムリーな話題。……【残念ながら】違うわ。ARKの人間が何を考えていたのか、私だって知りたかった、けれど。」ため息混じりに懐から出したのは、狗咬当馬が生前に使っていたサングラス。雪はそれに映ったものをもう一度写し出し、貴方に手渡した。説明をするために口を開くのも、億劫であるようだった。 (2/11 01:46:43)


Dr.ダン・D > 
「………そうか、……」(君が見せた能力、そこに捏造があるか否かを確かめる術は彼にはない。全てを信用するには値しない。しかし、それが事実である事を前提に推理すれば辻褄は合う。何より、この内容が真実であった方が彼にとっては都合が良かった。)「……アンタの能力、水鏡は反射物に該当するか?もしもそうなら、………血液が水鏡として機能すればその血液の持ち主が生まれて血を抜かれるまでの全てが見れる、という事で間違いないか?」(それは、このアルマデル第八支部にとって、ペルソナという仮面を被った裏切者にとって大きく盤面を動かすものとなるだろう。組織として活動する上で、そしてウイルス性のカミサマが確認されている以上、職員達が採血を行う事や健康診断が行われることは確定だろう。そして、それに最も近いのは、医療班であり元医療従事者である彼だ。)「俺の能力は音を発した地点の地形を固有空間である病棟へと入れ替える能力だ。……十分な機材が揃っていなくとも即席で採血程度なら可能、………アンタの力があれば、確実にペルソナを炙り出せる。」 (2/11 02:17:25)


白雪 > 
「ペルソナ……ARKのスパイの事を、そう呼ぶ人が増えてきているみたいね。」誰が最初に言い初めたのだろう。それこそ本人達なんだろうか。白雪は貴方と目を合わせないまま部屋を横切って、窓辺に半身を預けた。「水鏡は反射物に該当するわ。でも、そこまで万能じゃあないの。……恐らく……」想像を働かせてみて、と言わんばかりに小首を傾げて人差し指を蟀谷に当てながら続ける。「粉々になった鏡には、たとえ何かが写っていようと肉眼で捉えられなくなる。それと同じように、水という流動的なものに何かが写っていたとして、『写っている面』が底へ潜り込んでしまえば、写っているのかいないのかも、もう解らなくなるのだと思うわ。」期待に答えられなかったとは言え、目的が『ペルソナ』をあぶり出す事であるならこの能力が有用であることに違いはないだろう。眉尻を下げ、曖昧に微笑んだあと上げていた片手を下げ、所在なげに爪を眺めた。「……でも、貴方の能力を教えてくれてありがとう。……この間の会議の件があって、アルマデルも奪われてしまったから、貴方が突然ペルソナ狩りのような真似を初めたのは、そう不思議でもないとは思うのだけど……聞いていかしら。何か、それ以上の熱意のようなものを貴方から感じるの。どうして?」 (2/14 00:54:00)


Dr.ダン・D > 
「………知人が殺された。」(彼はそうとしか答えられなかっただろう。自分と鴨葱乙里の関係性を彼自身も整理できているわけではない。整理しようとすらしていなかった間に彼はその対象すら失ってしまったのだろう。遺体を診る数奇な医学に携わる彼になら鴨葱乙里の死に方を、そしてなぜ死ななければならなかったのかまで、読み解く事が出来るはずだ。そんな彼が動く理由それは、敵討ちに他ならないだろう。)「…俺自身わからない、……何故あの女の為に此処までするのか。………いや、俺の話は良い。つまり、対象から反射物を奪取出来ればアンタの力は使えるわけだな。それだけで十分だ。」(いや、もうひとつ話さなければならない事があった。話、というよりは脅迫にも近しいだろう。彼はズボンの後ろに差し込んでいた拳銃を取り出せば弾倉をずらし内部に装填された弾薬を確認する。6発、予備の弾薬は持ってきていない、どちらにしろ発砲する事は想定していない。だが、一か八か、賭けるなら賽の目を待つ者に勝機は無い。)「……あとは、アンタがこっち側に協力してくれるかどうかだ、雪さん。」(彼は弾倉を元に戻せば白銀のリボルバー拳銃の銃口を君に向ける。当然、特権階級である君は【シルバー・スランバー】の特性を知らない筈も無いが、…場合によっては敵対する覚悟すらあると意気を見せるだけでも天秤は傾くはずだ。)【聖遺物】シルバー・スランバー(白銀の微睡み)6発装弾回転式拳銃(ナガンM1895)のビジュアルだが装填した弾丸は着弾時に爆音へと変換され着弾による損傷は与えられない。弾薬の装填時に唱えた言葉が着弾時の音に反映される。常時は爆発音となっている。 (2/14 13:25:26)


白雪 >
 彼は死んだ知人とやらを『女』と言った。円澪の事が、少しだけ脳裏によぎる。「……脅迫?……」向けられた銃口を目を細めて訝しげに睨む。「これから仲良くやっていきましょうって相手に、ずいぶんな悪手(あくしゅ)ねぇ。何もそこまでしなくとも……大した戦闘能力もコネも無い私、アルマデルの懐刀でなければ特権階級になんかなれなかったと思わない?」壁から背を離して近寄り、銃の回転シリンダーをぐっと掴んだ。指に力を入れて、単純な握力のみで銃の無力化を試みる。「その聖遺物……ゴールデン・スランバーを元に作ったのかしら。私、あのカミサマは何度か研究しているのだけれど、単なる脅しでは人を殺せない性質のようだったわ。あなたのそれもそうなのかしら。」にぶい光を湛える白銀の銃身は、紛れもない反射物だ。雪は手で抑えたそれに能力をかけ、貴方の過去の片鱗を垣間見ようとしてみた。何かおもしろいものが見られれば儲け物ではあるが、戦闘態勢中は銃口を敵に向けているから、側面に映るのは意味のない背景だけかもしれない。それでも、この能力にトリックじみた嘘偽りがないことは証明されるだろう。ほんのサービスのつもりでもあった。「協力するのは吝かでもないわ。ARKに私怨など無いけれど、まがりなりにも命を危険にさらしながら当局に籍を置いている自覚はあるもの。邪魔立てする対抗勢力は目の上の瘤には違いない……それに手柄を稼いでおけば何かと便利そうだし。私、どちらかと言えば割り切れるほうなの。”仕事”、なのよね。これ?」銃身に映るあなたの過去を見て、意味深に鼻を鳴らしながらその髭面を一瞥する。「だとすれば。」威圧感を放ち始める。「───────上司はどっち?」彼女としては、”女王に対する礼儀”というものを教えてやりたいところだ。 (2/14 13:59:39)


Dr.ダン・D > 
「……ッ………」(失敗した、と思った。脅しとして効果を為さないのは間違いない、それは彼も分かっていたが、一寸の躊躇も無いとは思わなかった。ほんの少しの動揺でも引き出せれば流れはこちらにあると思っていたから。けど、動揺を引き出されたのはこちらだった。背中に伝う汗が妙に冷たく感じる、これをきっと背筋が凍り付くというのだろう。現状を打破する為の情報や知識が無いかと一瞬にして脳裏に断片的な記憶がぐちゃりと引き出しをひっくり返したように溢れ返る。まさかこんな美人を相手に走馬灯を診る事になるなんて思わなかった。自分の目に畏怖の念は浮いてしまっているだろうか、此処まで来れば何を隠したって何を晒したって同じような物だ。どうせアンタには全部観えちまってるんだろうしな。)「_______いいや、……自警団気取りの馬鹿が醜いエゴイズム剝き出しで追悼代わりの八つ当たりをしてるだけさ…っ………仕事なんて綺麗なモンじゃない… 」「アンタだってこっち側じゃねえのか……出逢う世界が“こんな”じゃなかったら、納得できるまで向き合えたかも知れないモンに未だに縛られてる、互いの生きる世界が“こんな”じゃなかったら、救えたかもしれないってエゴに呪われてるんだ。」(そうだとも、酷く恐ろしい。戦闘能力すら持たない貴方の何に怯えるのか、それは…未知である。この女には数値や書面じゃ読み取れない何かがあると思わせる風格が、こんなにも彼の声を、拳銃を握るその腕を振るわせるのだ。自信に満ちた貴方の瞳には暴力や権力では覆せない圧倒的な力があると、幻覚だろうが錯覚だろうが思えてしまう。そんなもんがあるはずはないと言い聞かせようとも、そこに貴方が、貴方のその瞳がある限り、この幻覚は、錯覚は、否、生物的な直感が、本能が、自分自身に訴え続ける。従うべきだと。)「………アンタに狗咬との関係性がある以上、まだ疑いが晴れた訳じゃない。 だから、………選べ、………容疑者として俺に嗅ぎまわられるか、相棒として、追悼代わりに喪服でも着て暴れまわるか…ッ!」 (2/14 14:24:16)


白雪 >
 仕事なんて綺麗なモンじゃない、という言葉に、何か引っかかるところでもあったのか雪はほんの少し首をもたげた。それは頷いているようにも見えただろう。「……そう……。」無気力な昼行灯という噂を真に受けていたが、目の前に居る貴方はどうだ。その愚直でさえある訴えが必死でないようには、どうも思えなかった。「ペルソナを見つけたら……」それをきちんと”始末”するつもりなのか。その問いは、口に出さずに噤まれる。恐らく本当の目的は無念を晴らす事であって、これは手段に過ぎないのだろう。余計な事を言って決断をにぶらせるより、このまま突き進ませたほうが良い気がしていた。その方が……「……なんでもないわ。」利害が一致すると。「そうね、良いわ。だけどこれは私情と言質をとったからには、私のエゴにも付き合ってもらいましょうか。」「私が貴方へ協力する為の条件を、3つ出します。ひとつ。インボルバーの研究を進める事。ひとつ。ペトリコールの研究を進めること。ひとつ。」銃口からぱっと手を離し、懐から財布を出す。財布の中から、クレジットカードを取り出して、カードで貴方の肩を叩いた。「……そのむさ苦しい”なり”を、なんとかすること。」これは建前だ。本音を言えば、返事をするまでに時間が欲しい。けれどそれをあえて口にせず、時間を稼ぐことにした。気が変わるかもしれないなんてご丁寧に忠告してやるほど優しくはない。 (2/14 14:48:13)


Dr.ダン・D > 「……ッくはぁ………アンタのその目、もう辞めてくれよ、失禁するかと思った。」(君が了承し、全ての条件を口にするとずるりとその場にへたり込み、クレジットカードを受け取る。身形を整えるなんて実に現役以来だ。とてもじゃないがマトモな服が自分に選べるとは思えない、その辺りは君の力をまた借りる事になるだろう。否…この先、この馬鹿な弔い合戦が続く限り、君の力を中心に事は動く。人殺しなんてできない一人の解剖医と得体の知れない畏怖だけを抱かせるハリボテの女帝、エゴと偽善と後悔で積み上げられたツギハギの王都はあまりにも脆い。どちらかが動けなくなった途端に機能しなくなる絶対王政に未来があるかと云われれば、きっと無いのだろう。だが、必要な条件は既に揃っている。進む以外に道があるとすればそれは惨めな六道だろう。)「近いうちにささっと済ませよう。この先支払い切れない借りが出来る、…まずはどっちから行く?」 (2/14 15:05:42)


白雪 > 
「……大袈裟ねぇ。どちらを先に研究するかは……任せるわ。今はアルマデルをとられている以上動きづらくはあるのだし、身仕舞いを先に整えてらっしゃいな。」つれないしぐさで踵を返す。入り口のドアに手をかけると、肩越しに振り返って微笑んだ。「宜しく、ドクター。」〆 (2/14 15:13:26)