十闇

高尾@十闇 > 
(__がちゃり。)(部屋のドアを開ける。つい此の間…『アルマデル第八支部』は。Arkに乗っ取られてしまった、のだ。)(ここは。今は帰ることのできない施設の寮の代わりとしてマリアン監督が借りてくれたホテルの室内、である。)「(ぼす、と、ふわふわとした布団に体を委ねる。)…はぁ、(酷い目に会う所、だった。)まさかあれだけで疑われる、なんてなぁ…」「…あ。(思い出した。ばさり、と起き上がる。)(そうだ。あの時僕のことを助けてくれた二人…えぇと、たしか。)鈴之芽さん、と、タローさん…いや、治郎、さん。(後で感謝しにいかなきゃなぁ…二人は今、何処に居るんだろう。)」(僕は。何故か、何故か__『疑われやすい』のだ。まぁ…こんな格好してるなら無理もない、か…)(昔から自分に自信がなくって、幻想に希望を抱くことしかできなかった。この格好も、この書き綴った妄想も。空想の中だけでも理想の自分で有りたかった。)「…僕は、臆病者だ。(だから、祈ることしかできない。)(この祈りも。唯の『逃げ』でしかない。前を向きたくない僕の逃げ道。)」「(…隊長。あの日、6番小隊に配属され挨拶に行ったあの日、コールさんのくれた言葉。)…『守りたい人は、死ぬ気で守りなさい。』(強い意志。僕は。隊長のような強い意志が__無い。)」(…此処、アルマデルでは『祈り』は通用しない。それなら。)…『捨てる』しかない。「(この世界で『希望』を見出す為に。この『翼』で高く翔ぶ為に。__いや。)…今は。翼だけじゃない。」(闇は人の視界を奪うだけじゃない。誰かを救うことだって、__きっとできるはずなんだ。)(誰かを守れるように。)(空想を本物にする為に。)…僕は。逃げるための『祈り』を捨てた。 (2/12 16:24:04)