01&鈴之芽景燵

敗北/01 > 
平凡な町の中、平凡な社会の片隅。これまで非日常しかなかったアルマデル第八支部という場所は敵の手に落ち、再起するその日に備えて、各々が各々の暮らしを歩んでいた折だ。『……はァ、はッ____』息を切らしながら走り抜けて、君のすぐ目の前で、重そうなボストンバッグを掛けた肩を揺らしながら俯く女性。切迫した姿を始めに、随分酷使したのだろう、派手なチャイナドレスが汗で張り付いて、今にも縺れそうに脚と脚の間に絡まっており、そこから僅か視線を落として足元に履いたそれが、アルマデルの扱う聖遺物(レリック)と呼ばれる秘密兵器であることが次に気にかかるだろう。そして、それから____『助けて、と、いうか……しばらく、上手く匿って。君は、確か……アルマデルの、人でしょ。』焦った様子で助けて、と見上げたその顔が_____髪型や髪色は違うけれども、いつぞや映画館でデートのひと時を共にした、故人、布瑠部 藍その人に瓜二つ……否、あらあの人はなんて間を置く必要すらないくらい、まぎれもなく本人であることが、最終的に今、どうしようもない慣れ親しんだ非日常だと____そう分かるだろう。 (2/13 23:00:55)


鈴之芽 景燵 > 
「ここは騒がしいところだな…夜も静かで無いのは良いことか悪いことか。(夜の街を歩く彼は街の喧騒に耳を傾け、呆れるように溜息をつく。山では夜に聞こえるのは風により揺れる木々の音、虫の音、獣が林を駆ける音。このくらいだろうか。だが都会では人の声や広告の音、車の音などとても騒がしい。夜の寂しさを忘れられるといえば良いのだろうが…そんなことを考えていれば目の前から突然見慣れない格好をした女性が走ってきた)助けてとな?一体何が………。(緊迫した状況であることは理解できる。汗の量からしても、かなりの走ってきたのだろう。流石にこちらも人の子、見ず知らずと言えど同じ施設の者が助けを求めればそれに応答するだろう。……だが、君の顔を確認すれば彼の反応は変わってしまうだろう。その目は何時ぞや屋上で見たその目では無く、また映画のときに見た目でもない。見定めるといった表現が正しい。まるで初対面であるかのように、獣が鉢合わせたときにお互いの強さを確認し合うような。とても友好的であるとは思えない目で君を見ているだろう。」〉敗北さん (2/13 23:20:57)


敗北/01 > 
『……ああ……もしかして。君は藍(あのひと)と知り合い、だったり……する。』この場合二択考えられた。ひとつは、彼女と友好的であったから、死人が甦ったかのような事態に驚いている。それもそうだ、死んだ仲良い人が生きて帰ってきたら、映画のように抱きしめるより先に驚きも何倍もになるだろう。ふたつは____裏切り者(ペルソナ)であった事実を認知して、警戒しているか。それもまま、有り得る。多分後者だと考えて……。『わたしは……あの人の能力で作られたクローン。カミサマなんかじゃないし、別になにか特別なチカラなんてない。単なる人間。あの人と多少似てるように振る舞う命令は出てるけど……あくまで、それだけだよ。』何度もやり慣れた挨拶だった。藍が甦ったとばかり思われたからだった。大体は疎ましい顔はしたけれど、第二小隊の人間には多少の情けはかけていたのか、本当に残念そうな顔をするような人も……たまに居た。ペラペラと素性を口に出来たことに自分でも驚いてから。『……で、本当は逃げるだけの予定だったんだけれど。アレ……どうにかなる?』「あは。カゲヌイ君頼んだ」なんて末尾につきそうな声音で、明らかに穏やかではない様子の数人の男が、バンから降りる。彼らは作業着やらフライトジャケットやらガテン系の体つきに見合った無骨な服装で、本職……というにはまだ真っ当な見た目だが、しかし。目の前に居るクローンを名乗る女性を連れ去り……少なくとも連行なりしようとしているのは、手にした布袋やロープなどから伺えるだろう。 (2/13 23:34:54)


鈴之芽 景燵 > 
「そのくろおんと言うのは分からぬが、お主があやつの写し鏡であることは分かる。状況的にどちらかが裏切り者であるとは考えていた、お主の顔を見ていたのはこの前向こう側の者が変身しておったからな。信用ならないだけだ…まぁ今もあまり信用にはならないが(見た目は同じでも違うことはすぐにわかる。そもそも斧を持っていないし脚も前回カミサマの街から走った際とは違う印象を受けた。これは彼が剣術を学んでいるゆえに気付いたものだろう。そしてあくまで彼は『君があちら側の人間である可能性がある』という理由のためあのような目で見ていたのだろう。)似てる振る舞いをしろと言われた割にはそんなことを言うのだなお主は。(前の彼女なら自ら突っ込んで居ただろう。どうやらくろおんと言うのは分身に近いものだろうと推測して)あまり面倒事は起こしたくないのだが…素人相手なら刀がなくてもなんとかなるだろうよ。しかし、しっかりと説明はしてもらう。今は幹部も混乱しているからな(見れば彼は刀を今は持っていないが、剣術を学ぶ際に刀を使えない状況の対処法は学んでいる。相手が素人であればそれで十分だろう。」〉敗北さん (2/13 23:50:52)


敗北/01 > 
『疑われたのは心外だけど_____確かに、その意見には賛成。私らしくなかったね、本当に。』かけられた命令(のろい)は、今でも頭の片隅に彼女が生きているように知覚された。アルマデルの局員である、正義の味方___だと自分を思ったことなんて一回もないけれど____である。それ以前に「追いかけてくるんじゃあ………ぶっ殺すしかねーなあ!」と叫ぶ声がある。同じ生き方をしている訳でもない、意識が繋がっている訳でもない。しかし、魂の部分は……共鳴するものがあったのだろう。『元々、逃げ回るなんて性にあわないんだ……やるしかねーえなあ!』鈴之芽を一瞥し、に、と笑う。彼が打ち漏らした分を、持ち前の脚力で顎に蹴りを美しいくらいに叩きつけて、地面に寝かせる。カミサマとやり合ったら一枚劣るにしろ、人間なら十分以上だ。『んじゃ、早速警察から逃げましょー……か。理由は走りながら話すから。』____ただし、喧嘩なんてやったら結局逃げなきゃならないのだが。『藍(あのひと)の実家に帰ってみたんだ、私……。そうしたらなんと、旅行中の列車事故だかで、家族がいっぺんに亡くなってたらしくて……遺産とか賠償金とか、一時的に入ってたわけ。せっかくクローンだから____』『あの人の養護教諭?だかの免許と一緒に、印鑑とか通帳、パクっちゃった。そしたら、相続の候補になる人たちや、実家の稼業潰したせいで無職になった人から追っかけられたってワケ♡』 (2/14 00:23:12)