エスト・レゼルヴァ >
「たくさん買えたなミスター!お前の分もせっかく買ってやったんだから着てくれよ?きっと似合う!」(彼女は山盛りの紙袋を抱えながら小躍りしながら君の周りを旋回して歩く。日はもう既に暮れようとしている。君が無理矢理持たされているのはハイビスカスのアロハシャツとテンガロンハットとポンチョが入った紙袋、オマケに買ったマラカスが歩くたびにかしゃかしゃと鳴って耳障りにも思えるかもしれない。一体どんなファッションセンスをすれば君にそんなメキシカンなファッションを強要するのか謎は深まるばかりだ。)「たくさん歩いたら腹ぁ減ったな?ちょっと喫茶店でも寄って行こうぜ~?」(彼女はソワソワしながらも片腕で山盛りの紙袋を抱え直しては君の襟首を掴んで、もしも叶うならそのままお洒落そうな喫茶店へと拉致していくだろう。アンティーク調な店内は人によってはガラクタの山、だが彼女にとってはおしゃれで可愛くて素敵なロマンの宝箱。そこでパンケーキやら何やらが食べられるとなったら浪漫と美味のマリアージュである。こんな化物が独りで入れる場所じゃないのは彼女も十分承知だ。だからこそ傍から見ればサーカス団かはたまた着ぐるみちゃんとコスプレくんに見える君を誘ったのだろう。) (2/16 19:07:26)
外@時計師 >
「〝 あらまあ! 〟」(カツン、と。杖の鳴る音がした。酷く弾んだ声色は、貴方の隣からだ。ガサガサと大きな袋からは歩幅を進める度に〝 しゃかりしゃかり〟と裏拍を置いてくる。ファンタジックで浮世離れ、彼は楽しそうな貴方に合わせるようにおどけた言葉を、〝 キリリリリッ、と続けたことでしょう。例えるならば嵐の前の静けさ………基、嵐の前の〝 晴れ模様〟。天候が変わるまで…)「〝 嗚呼、もうほんとなぁんてステキなのカシラァァ~~~~~ッ♡♡〝〟」(【3】)「〝 丁度イメチェンでもしてみようかと思っていたところなんですゥ~~♡♡これで遅れる心配もありませんねェ?? 〟」(【2】)「〝 ええ!〟」(【1】)「〝 ON the Mexican OFRENDA゛A゛A゛AAAAAAAAAAAAAAAAAAッッ!!!!!?????? (Day of the Dead).メキシコの【⠀オフレンダ(死者の日)⠀】にな゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ゛?!???!!!!!!〝 )」(カチャコーーンッッ………!!!)(ほらな、〝 時間ピッタリ〟。まるで耐えきれないと言わんばかりに、一際大きな歯車が鳴り響くと同時に、彼は貴方にブチ切れた。)「だァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァッ!!!!!!!!SHITTTTTTTTTTTTTTTTッ……………You're making fun of clockkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkッ………………………(クソがッッ……〝 ヒト〟を嘗めやがってッッ…………!!!!) ええもうホントなんといいますか屈辱的と言いますかマラカスの音はうるさいわショッピングの時のヒソヒソ声は煩わしいわ何よりアナタの肉時計ッ…アナタ〝仮にも 〟、〝一応は 〟ッッ…『レディ』なのでしょう????もう少し落ち着きを持って頂かないと──────…………」(彼は人より随分と沸点が低いことは言うまでもなく貴方も知っていることでしょう。しかし今回ばかりはこちらがキレやすい云々の話では一概に片付けることは出来まい?だって振り返っても見てご覧よ。自己主張が激しい背の高いハットに目隠し、隣にいるのはもふもふとした大きな兎。まるで【不思議の国(ワンダーランド)】を元にした戯曲団のような風貌はただでさえ一際目立つ。あれだけ止めたのに無理やり連れてきたのは貴方で、ショッピングモールでは絶え間なく絵本の挿絵から出てきたような我々を見てはヒソヒソと絶え間なく声が聞こえていたのだ。なのに貴方は無頓着にもこちらに荷物を持たせて持たせて持たせて、『あっち行こうぜミスター!』『おいこれはなんだ?!』と好奇心のあるがままに。)『たくさん歩いたら腹ぁ減ったな?ちょっと喫茶店でも寄って行こうぜ~?』「ちょっとアナタね、人の話聞いてるんですかッッ?!?!?!?!?!いいですか、大体買い物は計画的に…無鉄砲に足を運ぶからこんな時間になってしまうわけ、で……………………」(相変わらず話を聞かない貴方に対し、彼は文句を再び並べ立てようとする。言っても無駄だと分かって割り切れるほど単純なものでもない。まず今度、貴方に礼儀作法を教える時間を設ける必要がありそうだ。時間の使い方だってなってない。だからこんな時間に………)「………………………………」(こんな、〝 時間〟に。)「……………………ッッ?!?!?!?」「ご、ごごご5時46分36秒ッッ?!?!?!?!?!?!」(それは突然だった。否、大きな声を出すことは今に始まったことじゃあないが、慌てたように立ち止まるのは今が初めて。彼は現在時刻を叫んだその瞬間、貴方に向かって告げる。)「いやァーーーーッッ!!大変申し訳は、……──────なくないんですけどもワタシこれから『外せない用事』がありましてッッ!!何が言いたいかってあなたと呑気にお茶会までフルコースをキメて一日を過ごせやしないということです、6時までに仕事場に戻らなくちゃあいけなくてねェッッ……それじゃあ失礼しますよ、ええホント。こんなの二度と御免だッッ……………」(ガサリ、と勢いよく彼は貴方に荷物を押し付けて早々に立ち去ろうとするに違いない。くそ、自分(時計)ともあろうものが遅刻ギリギリまで気づかなかっただなんてッッ………こんなにも時間を無駄にするだなんてッッ………今から走れば間に合うかしら??いいや、間に合わなくってもどこか人気のない所へ………………………) (2/16 19:47:36)
エスト・レゼルヴァ >
「おいおいミスター…時計の針は待っちゃくれない、命は短い、なら人の目なんて気にしてる暇はない筈だろ?」(キィィィィンと長い兎耳の奥にまで轟く君の声にうへぇなんて気怠そうな顔で目を右から左へ日の出から日没を象る様にぐるりと回せば呆れたようにお言葉を返す。確かに彼女は人よりかなり落ち着きがない事は否定のしようも無く、それは君の言う通りだろう。しかし今回に限ってはただただはしゃいだ結果がコレだなんて一緒くたに云い切れやしないんじゃないか?なぜなら思い出しても見てほしい、お洒落帽子に高身長、服装だって一般市民とは一線を画したファンタジック一色。こんなバケモノウサギが並んでも許されるのなんて【ワンダーランド(不思議の国)】から出てきた様な君くらいなんだ。嫌なら力尽くでもあの作業台に齧り付いていれば良かったものを、君はこうして隣に居てくれる。途中でこっそり抜け出せなかったわけでもあるまい。)「それに私みたいなのに付き合ってくれる奴が少ない以上、一度のチャンスを最大限に使うのは然るべきだ。」(実際にショッピングモールでは夢らしい夢を少年少女たちに提供できたじゃないか。戦利品がたんまり入った紙袋でお手玉して見せたり、立ち寄って買ったバルーンでバルーンアートを作ってコソコソとこちらを見ていた老若男女に渡したりもした。身体が大きい分ひと吹きで風船が膨らんでくれるのは良いがあれはなんというか、ツメで割らない様にするのが大変なんだ。次から君がクルクルする係になってくれると楽で良いんだが。まあ、何にしても過剰過ぎるほどに周囲の視線を感じていた君には次回の買い物までに曲芸のひとつでも教えた方がよさそうだ。と、そんな言葉を返して居る内に…)『ご、ごごご5時46分36秒ッッ?!?!?!?!?!?!』「おい馬鹿っ!待て待て待てっ! 仕事場って365日24時間年中無休のコケコッコ屋さんだろ!?一日くらいサボったって誰も責めやしないだろう!それとも良いのかぁ…?お前が居てくれないと誰から見たって私はただの化物なんだぞぉぉ……此処で帰ったら閉店までウソ泣きしながらお前の名前呼び続けてやるからなぁぁぁ…なんか聞かれたらお前の職場の名前出して迷子の子供みたいにオトナに連れられて職場まで行ってやるからなぁぁぁぁ…お前だって食べたいだろパンケーキ、バニラアイスが乗っててラズベリーソースをお洒落に垂らした奴…!!! それともアンタが作ってくれるのかミスター…?」(彼女は慌てて君の首根っこをがしっと掴もうとするだろう。押し付けられた荷物もなんとか抱え込んで見せるが、わたわたとしてしまうだろう。それから恐ろしい脅し文句をボソボソと告げて眉間に毛皮越しでもわかるくらい皴を作ってぐいっと顔を寄せ付ける。置いていったら承知しないぞとばかりに。) (2/16 20:18:22)
外@時計師 >
(…………確かに、ついてきたのは此方である。1つ、彼は短気であるが本質的に【律儀】な男だ。貴方が色々な店に立ち寄る隙に逃げればいいものを、彼は足をコツコツ鳴らしながら〝ほら早くしてくださいよ 〟と急かすのみで立ち去る素振りは見せなかった。2つ。彼は案外ちょろい男である。バルーンアートだって、子供を楽しませることだって、ピエロの真似事だって、デートだって『こんなくだらないことをしてないでとっとと帰りましょうよ』と言っていたとて、もしも貴方が一言でも『あーあ、ミスターならやれると思ったのに、出来ないのか』と期待たっぷりで言ってみろ。〝完璧 〟に異様なまでの執着心を持つ彼は当然『はァ゛~~?!?!?!?!?!?!!それぐらい出来ますケド?!?!?!?ほら、ほらほらほら!!!!!ワンちゃんですよぉー!喉から手が出る程にクソガk………坊ちゃんとお嬢ちゃんはお利口さんに1列に並んでくださいねェ!そこのもふもふちゃんも触り放題なんで…………あ、ワタシはやめてくださいネ。』とそれを披露していたに違いは無いのだから。まあ、もしもそのくだりがあれば、の話だが。)(つまり何が言いたいかって、なんだかんだこの時間まで、それこそ〝時間を忘れるほど 〟一緒に居た彼にも否がある訳で、………でも、だけど…………それを認めるにはやはり彼は〝プライド 〟が高すぎる。責任を押し付けるように貴方に荷物を押し付けた彼は、早々にここから立ち去ろうと………)『おい馬鹿っ!待て待て待てっ!』「だァ゛ァ゛ァァァァァァァァァれが馬鹿ですって…………????????」(…嗚呼、いや。立ち止まり、彼は貴方の口振りに反論すべくドスの効いた声で問い掛けた。)『仕事場って365日24時間年中無休のコケコッコ屋さんだろ!?』「【⠀〝 クックロビン 〟⠀】ですけどね゛ッッ……………………」『一日くらいサボったって誰も責めやしないだろう!それとも良いのかぁ…?お前が居てくれないと誰から見たって私はただの化物なんだぞぉぉ……』「ですからワタシはあれほど〝 お友達〟を作れと…………………」『……此処で帰ったら閉店までウソ泣きしながらお前の名前呼び続けてやるからなぁぁぁ…なんか聞かれたらお前の職場の名前出して迷子の子供みたいにオトナに連れられて職場まで行ってやるからなぁぁぁぁ…』「………………あのねェ、エスティ嬢。アナタね…………」『お前だって食べたいだろパンケーキ、バニラアイスが乗っててラズベリーソースをお洒落に垂らした奴…!!! それともアンタが作ってくれるのかミスター…?』「……………ッッ゛~~~~~………」(逐一で訂正を加える彼に負けじと台詞を並べ立てる貴方。これが冗談ならまだ可愛いが、貴方ならばやりかねない。長い毛の奥に潜んだ瞳にはまるでうるうると涙が溜まっている錯覚さえ覚えそうなほどの情けない声。ヤダヤダヤダヤダ!と既に駄々を捏ねる寸前の貴方についに痺れを切らしたのか……………)「ッッ゛ワタシだってねェ暇じゃあないんです!!!!わざわざショッピングについて行ってやったんだ、それだけでも有難いと思って欲しいぐらいでッッ………ッッ゛…………『5分間』だ……………5分間は一緒に居てやりますッッ!!!!ワタシは食事は必要が無い、何せ完璧(機械)ですからネッッ………ワタシが同行した形跡を少しでも残せばアナタは『ある程度普通に食事』ができるわけだッッ…………それでいいですね゛ッッ!!!!!」(これは妥協案だった。クソ、恐らくはクックロビンに戻る前に切り替わってしまうのは確定事項だろう。それでも誰かに、…少なくとも貴方に〝 あの瞬間〟を見られなければそれで及第点じゃないか。違うかい。) (2/16 20:41:45)
エスト・レゼルヴァ >
「ふっふーん!そうこなくっちゃ!」(にへらぁっと至極幸せそうに口角を釣り上げてはあまりにも小さすぎるソファーに腰を下ろして目を皿のようにして硬直しているウエイトレスにパンケーキとパフェと紅茶を2つ注文するだろう。きっと時間もかからずに紅茶だけは来るだろう。だが紅茶が2つテーブルに運ばれてくるのは君が席に着いてから2、3分後くらいの出来事だろう。画してその間彼女は今日の買い物を振り返って机に買ってきた洋服を出してみたりかわいらしい小物を出してみたり、良い買い物だったなあ、なんて君に同意を求めるがその全ては人間サイズの物だらけだ。それは必然ではあるだろう。彼女のサイズに合う服が市販であるはずもない。)「あー…良い買い物は出来たし、紅茶は美味い…人に戻れたら、いーっぱいお洒落するんだ。そしたらお前も今日ほどは恥ずかしくないだろ?あーあ、お前にも見せてやりたいぜミスター、”元”の姿の私はシンデレラ並みに可愛いぞ~?16歳のピチピチJKだしな~?今度はお前を隣に連れてる私が恥ずかしくなるのかもなあ!お前単体でも十二分に目立つしなあ!」(楽し気に一人で話を弾ませる彼女は指先でティーカップを摘まんでちびちびと紅茶を飲むが実に1,2回もカップを傾ければ中身はすっからかんになってしまうだろう。元の人間に戻れたのなら、この一杯の紅茶を飲み干すまでにもっとたくさん話せるんだろうな、なんて思ってしまう。きっともうすぐパンケーキとパフェが来るだろう。そして、約束の時間もきっと、…来てしまうだろう。) (2/16 21:05:08)
外@時計師 >
(彼は店に入るや否や嬉しそうに椅子に座り、今日の買い物について語る貴方に腕組みをしながら肩を竦めていた。『あれが楽しかった』『これが見れてよかった』至極楽しそうに話す声と弾む鼓動に嘘はなく、時間を気にしながら彼は『ここで広げて、アナタちゃんと綺麗にしまえるんでしょうね』だとか『それはあの時はアナタがあんなことを言っていたから……』だとか皮肉混じりに嫌味に返答をしつつもどこかそう、〝悪い気はしない 〟のはここだけの秘密にしておきましょう。どんなひねくれ者だって、〝最悪だった 〟と言われるより〝 自分が関わった上で楽しかった〟と言われた方が、いいに決まってるんだから。)(【残された時間残り■■︰■■】)(…楽しい時間はあっという間だ。何をしていようが時は我々を置き去りにしたって気にもとめない。その癖早く店員が来てくれやしないか、と願う度に遠ざかる錯覚にさえ陥る。トントントントン、と指先を鳴らすのがその証拠、彼はあからさまに〝 焦っていた〟。)「……にしてもここの店、遅くはありませんか?早くして頂かないと…………………」(【残された時間残り■■︰■■】)(食われた時間、3分13秒02。そうかかることはなかったでしょう。彼は紅茶が来た時点で 〝 そろそろか〟と立ち上がり、ある程度の金を用意しようと──────……………)『〝 人に戻れたら 〟、いーっぱいお洒落するんだ。』「………………………………、………」(………する、はずだった。あなたが何の気なしに呟いたその言葉は。彼をピタリと止めるには、十分過ぎる。)『そしたらお前も今日ほどは恥ずかしくないだろ?あーあ、お前にも見せてやりたいぜミスター、”元”の姿の私はシンデレラ並みに可愛いぞ~?』「………………………、………」(こんな御伽噺を知っているかい。時計塔には『巨大なうさぎの化け物』が住んでいるのだと。兎は人目を避けるように篭っていたが、ある日時計の魔法使いに、出会ったのだと。…貴方は何者かに〝 化け物〟に変えられた。だからいつしか時計の魔法使いにお願いしたんだ。〝 人間に戻すチャンスをくれ〟と。)(そう、寓話上では、〝 語られている 〟。)(真実は彼が握っている。調律を整えたにも関わらず、明らかな〝 ズレ〟を彼だけが〝 自覚〟している。別になんとも思っちゃいないさ。だって、だってあの日、貴方に施したのは自分じゃあない、だから…………………………)「………………………あのね。なにか勘違いしてるみたいですケド。」「…………ワタシは主に貴方の『容姿』ではなくその『性格』について言ってるンですよ。」「…………どうせ目が見えないんですから。」(……関係ないと、割り切れば良かった。なのにそれを口にせざるを得なかった。一種の罪悪からだったのか、容姿がヒトでないことを引け目に感じて〝 恥ずかしい〟とこちらまで思っていると認識されているのが癪だったのか。とあるアンドロイドも、『ヒトであれば』と届かぬ未来に思いを馳せていた。それが、重なったのか。そりゃ分かりやしないけれど…………嗚呼、でも、だからこそいっそ。)「…………ねえ、エスティ嬢。ワタシは…………………」(彼は。)(キリリ、キリリリリ、キリ、…………)「ワタシはねェ──────……………………」(彼、は、……………………)(キリ、リリ、リリリリ、………)「…………ワタ、しハ、…………………………………」(キリ、リ、…………………………………)「………………………………………………………、………………………」(………………………………、……………………………)(──────〝 カコン〟。)(…………………………………………)(………………………………………………)(…………………………………………………)(………………………………………………)(…………………………………………………)(………………………………………………)(…………………………………………………)(………………………………………………)(…………………………………………………)(………………………………………………〝止まった 〟。)(どうやら時間が来てしまったようだ。沈まぬ陽光はないように、〝 時は意志なんざ関係ない〟。)(不自然に顔を上げた状態から、時が制止したかのように、彼はそこに〝あるだけ 〟だった。)(貴方の、目の前だった。)(…………〝カコン 〟。)(…………………………………貴方の目の前だった。)(カキ、………)(不自然に顔を上げた状態から、時が制止したかのように、彼はそこに〝あるだけ 〟だった。)(カキ、カキリリリリリ……………………)
(─〝 始まった〟。─)
(歯車が〝 逆向きに回り出す〟。)(ガクンッ………と頭を垂れる彼、歯車の音が正常に回り始めたその頃に。貴方が次、瞬きをしたその瞬間。〝 チリン〟という音ともに目前の男は『切り替わっていた』。ふわりと布を翻し、チリン、と月を模したピアスが揺れる。夜を掬い取りインク代わりに塗りたくったような穏やかな青色は。)「…………………………………………、………………………」「…………………………、……………」(無言で、顔を上げたんだ。…あげて、しまったんだよ。)
【─本日の調律が完了しました──】 (2/16 21:53:51)
エスト・レゼルヴァ >
「へっ、勘弁しろよ。私みたいのがしゃなりしゃなり振舞ってみろ。ひそひそ話じゃ済まないぜ?きっとみんな口を揃えて云うんだ、“アイツは気でも触れてるのか”ってな。だから…」(性格がどうとか云われれば、冗談キツイぜ、とばかりにひらっと手をひと振りして、冗談じみたジョークを口にしながら両手の二本指を顔の横でくいくいと曲げて見せる。その続きを語ろうとした途端に君は動かなくなってしまった。一体何が起きたのだろうか、なんて目を丸くしたまま君の様子をただぽかんと呆然と見つめる。)「………………………ミスター…?」(彼女の動揺と君の異変を意に介さないウエイトレスがパンケーキとパフェをテーブルに置いて、その間も君は動かない、ウエイトレスとパンケーキとパフェと君、そのそれぞれにきょろきょろと視線を代わる代わる向けてはいよいよ不安になる。)「…………………あ~…………………………………………knock,knock…ご機嫌よう?ご機嫌麗しゅう?」(彼女は君が何をしたいのかわからず、空中をノックするパントマイムを披露して、"一応"レディなのだから、なんて云われたのを思い出して思いつく限りの女性っぽい言葉を並べ立てるが君は動かない、難しい、君が求めていたのはこの反応ではないという事だろうか。)「…………参ったな、脅したの怒ってるのか?それともぉ……ハイビスカスより隣にあったおサルさん柄のアロハの方が良かったとか?」(新しい抗議の方法だとするのならあまりにも前衛的すぎる。条件を呑むまで一定の場所から退去しようとしないボイコットやクーデターはまあ見た事はあるけれど、こちらが何かするまでその場からというより身動き全てを含めて動かなくなるのは、見たことが無い。何はともあれ機嫌を直してもらうしかない、と不安そうにその顔を覗き込む。)「…とにかく悪かったよ、パンケーキ半分こしてやるから、んむ、ゆふひてふれ…ッ、_______________ン"ぐ…ッ!?」(それから彼女は小さなフォークとナイフを指先で摘まんで器用にパンケーキを半分にして、ぱくっと片割れを一口で大きな口腔へと納めては残りを皿ごと君に譲ろうとパンケーキを君の方へと押し進めるが、次の瞬間ビクッと肩を跳ねさせ今度はこちらが硬直するだろう。) (2/16 22:21:41)
外@時計師 >
(周りからは聞きなれたはずの有象無象と例えるべき時計の音の数々は聞こえることはなく、ここがあの『クックロビン』でないことを認知するのにはそう時間はかかるまい。鼻腔を擽る甘い匂い、周りの声、そして何よりも。)(──────────〝 ドクン〟と。)(大きく肉時計が跳ねる貴方の音は、この場では一際目立って彼の耳に届いていた。)「………………………、Why………………(…何故)」(それは貴方が息を飲む声色で判別したのか、それともその特有の心臓の音で判別したのか。顔を上げた先、彼には〝 誰がいるのか〟すぐに分かってしまった。驚いたように薄く口を開けていた彼は、思わず問いかけようとするだろう。〝 なぜここにいるのか〟と。だが、場所、そして数秒前の制止した時点での身体の体制。そして〝 音〟。刺し詰め昼間の自分自身と食事でも楽しんでいたのだろうと推測するのは、難しいことじゃあ無いはずだ。)「......... Aha, so that's what it is.(…嗚呼、そういう事か。)」「………………No, it's nothing.(いや、なんでもない)」(故に、この言葉は独り言なのか、タイプライターは鳴り響きやしなかったのさ。…このタイプライターは〝 彼等 〟唯一の記憶共有媒体であり、彼等の言語を貴方達にでも分かるようにと翻訳する為のものだ。)(けれど貴方なら分かってしまうだろう。)(驚くほど、タイプライターを介さなくてもその言葉は耳に馴染み、〝 彼が何を話しているのか〟が。彼は丁寧にネクタイを整え、手袋の端をつまみ、きゅ、と奥の方まではめ込む。フゥ、と小さく吐息を吐けば肩を竦めて言葉を続けた。)「………………、………so……………」「…………………………、………………I'm sorry ……………──────驚かせて申し訳ない。」(タイプライターは鳴り響く。貴方の耳には日本語も同然に聞こえているとも知らないと言わんばかりに。)「…………君は、初めて聞いた〝 音〟だ。知っての通り目が見えやしないが……………きっと、…」「………………、…………〝初めまして 〟………なんだろうさ。」「………………………彼は…………〝 弟〟はキミに話しちゃいないと思うが、………この身体は色々と〝事情 〟があってね。」「…………『弟』の方は、……………6時きっかりに眠りに落ちるんだ。次に目が覚めるのは朝の6時。…もしも彼とまだ話し足りないと言うのならば、その時間に店に来るといい。〝 元気 〟にやっているだろうよ。」(溜まった紙を机に並べて、貴方が見やすいように静かに置いておく。〝 初めましてこんにちは〟丁寧に綴られた文字は貴方にでも読めるでしょ。貴方を知らないと騙る彼。御伽噺は終わらぬままに。愛らしい貴方は魔法使いを忘れてしまっている。)(彼は帽子の鍔をつまみ、早々に、逃げるように立ち去る準備をしていた。)「……………………弟が随分と良くしてもらっているみたいだ、今後とも…………………そうだな、……………仲良くしてやってくれると。」「──────嬉しいよ、〝お嬢さん 〟。」 (2/16 22:57:50)
エスト・レゼルヴァ >
「……ッ、No,no no no …but why did… , but…………(いや、…そんなはずない、絶対、いや、多分、私は…っ)I… I think I've seen you before... " Where " was it?(私は…お前に逢った事がある、そうだろ?ミスター…?)」 (彼女は君の言葉を聞いて咄嗟に最近ではあまり使い馴染みの無かった言語を口にする。するりと、まるでその言語に聞き覚えが在るかのように。だとするなら、だとするなら、自分がこの言語を知った時代があるはずだ。今まで不自然なまでに気にも留めなかった自分の過去、それを探す切欠を与えたのは君のその言語に他ならなかった。一体、いつから自分は共通言語を使用していた?一体いつから自分はこの呪いを甘受していた?一体、いつから……自分は此処に居るのだ?その前は一体何を、していたのだろうか?)「……私の勘違いなら、それで良い、それで良いんだ、けど、……だとしたらどうしてこんなにお前の声で苦しくなるんだ?」(がしゃんっと君を引き留める為に慌てて席を立てば机に脚が当たり、食器がけたたましく音を立てる。もはや周囲の視線を気にしている余裕はない。叶うならば君の腕を掴もう。もはや今まで君と、否、君が云う弟と話していた時の様に君に適応した言語が自然と溢れる。周りの人間はきっと彼らが話している内容を察する事は出来ないだろう。出来たとしても完全に理解する事は出来ない。何故ならこの状況を、彼らの本当の姿を、事情を、知っているのはこの店で、この街で、この世界で、たった一人、君だけなのだから。) (2/16 23:27:45)
外@時計師 >
『……ッ、No,no no no …but why did… , but…………(いや、…そんなはずない、絶対、いや、多分、私は…っ)I… I think I've seen you before... " Where " was it?(私は…お前に逢った事がある、そうだろ?ミスター…?)』(……──────今から150年前。『世界の7割が崩壊した』。3割しか残らぬ安全地帯、今や公用語以外の言語は『死語』も同然で、彼が語る言語も母国語も『この世界で殆ど使っている人間はいない』。カフェにいる人間は彼等が何を話しているのかも分からないどころか、それが本当に『言語』であるかさえも分からぬ輩もいるんじゃないか。そんな言語を貴方が理解し、介するのは不自然極まりないのは言うまでもなくて、それで、………………)『……私の勘違いなら、それで良い、それで良いんだ、けど、……だとしたらどうしてこんなにお前の声で苦しくなるんだ?』「………………………………、……」「…………………1度、………………場所を変えようか。ほら、……荷物を持って。」(答えたが、答えなかった。答えちゃいけないんだ。ここで答えたら、全てを教えたら〝意味がなくなってしまう 〟じゃあないか。調律師が自ら調律を解くだなんて、〝 そんな馬鹿な話があっちゃあいけない〟。もしも叶うならば彼は貴方が荷物を取ってくるのを待つはずさ。代金を机に置いて店員に1つ、会釈をして店を1度出ようと促すだろう。)(カツン、コツン、カツン、コツン、…………)(【■■︰■■】)(ええ、きっと、店から出たのなら、物語は進むでしょう。)(【■■︰■■】)(秒針のように刻まれる足音が、冬宛らに、すっかり日が短くなり暗くなった街中に響くところから。杖をついて、昼間の1秒間の間に歩く早歩きではなく、きっかり1秒を刻みゆったりと。皮肉にも〝隣 〟を歩くよう。)「…………………悪いが、キミの期待には答えられない。…………見当違いだよ。私はキミとは〝 出会ったことすらない〟。」「………………………………〝 弟〟からほんの少しだけ、話を聞いて居ただけだ。」(彼は漸く答えた。夜空、街中、冷える空気、白い吐息を吐く貴方の隣で。ぼやけたネオンを後ろ背に、こつり、かつり、貴方の足音も遅れてズレて、聞こえてくる。)「……………………、………時にキミ、人間の手伝いをしているそうじゃあないか。…………〝 アルマデル〟として。」「…………、………私以外にもその言語を使う奴が居るのは、正直驚いたよ。随分と上手なんだから。……………だがもう………もう、ヒトと溶け込んで話すならば、………………ソレは〝 使わない方がいい〟。」(タイプライターは鳴り響かない。)(…赤信号とクラクションの音、背の高い現代都市、立ち止まり振り返る彼。車のライトに左側を照らされ、ピアスが揺れたその瞬間。……彼は、〝 もしも素直に荷物を持ってついてきてくれた【両腕がふさがっているであろう貴方】に、不意に杖を向けた〟。)(人気のない歩道で、路地に近い場所で。彼と貴方の周りに〝時計版とホロスコープによく似た『コード(陣)』 〟が現れる。)(〝 最終調律 〟。)(帽子の鍔をつまみ、顔を隠しながら小さく呟くでしょう。)
「……………………──────〝 キミの為〟だ。」
(願わくば、【夜との出逢い】を【無かったこと】にしてあげたい。【無かったこと】にした空白は『貴方が食べ損ねたパフェやら他の甘い注文』で、埋めてあげたい。完全に貴方の調律が、解けてしまうその前に。)(…なんの措置もなければ、『調律は完了する』) (2/17 00:04:09)