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らくださん (87kdkdto)2022/1/29 00:14 (No.12767)削除るるちゃんへ
(ARKの中の、その中の”一家族”。__殊に彼女のいたその集団内では、ルクレルク人というのは庇護の対象であったから。痛いことも悲しい事も沢山味わう彼らにとっての憩いの場であれるように。自分らの知らぬ苦しみを飲み込んで生きていかなければならない彼らが、少しでもそれを吐き出せるように。蝶のように花のように彼らを包み、一つの偶像を守るために偽物の感情で塗り固めたその場所で、彼女もまた。彼らを守り、彼らを蔑み、また。彼らの奴隷に成り下がって、生きてきた。)『向こうのニンゲンは、元々差別が強い文化が残っていやがりましたから、耳が長いってだけで』(だから。)『…………………ここより酷い仕打ちを受けちまうんです。』(だから、君の話したそんな言葉だけで、彼女は。)『………………、』「ゆる、せない。」(無線を切ったその合間に、溢れる感情を小さく零した。防護服を着ていて良かった、雨が降っていて良かった。零した呟きは拾われず雨音にのみこまれ、歪んだ顔は濡れた視界とくぐもったゴーグルで覆われる。……、苦しい苦しい飲み込んだはずの覚悟が要る溜飲は再び首をもたげ、彼女の喉を圧迫する。)
(アルマデルを憎む自分と、アルマデルの中に居る確かな自分。どちらも本当のものなのに、その融解点はどこかに消えて、ヒートショックを起こして心の臓が止まってしまいそうなそんな悪寒が彼女を包んでいた。)(ただでさえアルマデル内にある様々な差別だって嫌いで厭で仕方が無いのに、こんな所よりももっと、なんて、考えたくもない。)(あぁ、でも。)『………………アルマデルは、少なくともアタシを人に戻してくれた。』『この力の使い方を』『少なくともこの力を使うって意味を』『持たせてくれた。』(君のその言葉に、”彼女は少し、救われた。”)『……そ、っか。』(小さな小さな安堵の色を混ぜ、彼女はそう息を漏らした。よかった、”君の故郷が汚くて”。)『んーん。……ごめんね、話させちゃった。』『思い出せなかったけど……でも、ルルちゃんのことが知れて、よかった。』(吐き捨てたそれを優しく優しく包むように、そんな教科書のような言葉を君に返す。庇護の対象として君を蔑み、また王の家臣が口を噤むように君に追従する。)(歪んだ”ルクレルク人”に対する対応は、そぎ落とした筈なのに。)(身につけた平坦な接し方は、留め具が外れて落ちたみたいに。)
『ごめんね、もう大丈夫、だとおもうから。』『調査だけ早く終わらせて、”おうち”かえろ。』(極めて平坦な声で彼女は君に声をかける。自分の方が役に立たない人間なのに、そんなことは些細な問題だと言わんばかりに、君を視ないままに先を急ぐ。)(君の内側を宝箱にしまい込んで、封をしてそっと布で包む。蓋をして目を逸らし、その箱を傷つけないようにと大事に大事にしまい込んで。)『ね。るるちゃん。』(彼女は君に視線を投げて、君に分かるように首を傾げて見せた。)